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harem!〜カオス煮、いっちょ上がり!〜  作者: nyao
【スィリィ・エレファン編】
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ACT NEXT→アルーシア


それは、いつか訪れるかもしれない先のお話。


はじまりは特別でも珍しくもない、何でもない事。


わたしの生まれた村は貧乏だった、だから売られた。きっとそれだけの事。


ただ有り触れた…それだけの事。


両親なんてものの顔は名前も覚えてないし、私が奴隷になった経緯もはっきリとは覚えてない、けれど。



最初の景色は檻の記憶。


耳を割く音、痛みを与える人たち。そして、壊れているわたし。


わたしは『奴隷』と言うものらしい。ううん、それ以外のわたしは知らない。


でもそんな『奴隷』の中でもわたしは壊れていた、そう言われ続けた。


殴られた、蹴られた、いたかった、いたかった、痛かった。


でも、よく分からなかった。直に“痛い”が分からなくなったから。


感じない、思わない、知らない。ぜんぶが流れて消えていく。


ただあの時見上げた火みたいな赤が、記憶に刻み込まれた赤い世界……それだけが、残っていた。





二番目に覚えているのは人の顔。


わたしをじっと見詰めて、その人は一言だけ呟いた。



「違う」



と。


何が違ったのだろうか…?





三番目ははじめてわたしに“きれい”というものを感じさせた。


くすんだ銀髪の、人の顔。


微塵も動かずに涙を流し、ただ微笑んでいたその人をわたしははじめて“きれい”だと感じた。


如何して彼女は泣いていたのだろうか…?





振り返ってみれば、想い――感情が芽生え始めたのもそんな些細な事からだった。






………



「おはよう、アルーシア」



「う、ん…?わたし、寝てた?」



「うん、思いっきり。疲れ溜まってる?」



「かな?自覚、ないけど…」



それにしても懐かしい夢を見たと思う。随分昔の、わたしがこの館に来た当初の夢。わたしが何一つ知らなかった時の事。喋る事すらできなかった当時の事。


こんな言い方だと勘違いされそうだけど、別に今のわたしがいっぱいものを知っているわけでもないけどね。あの時のわたしが本当に何も知らなかっただけの事だから。



「訓練の方、辛いんじゃない?」



「ううん、それは…大丈夫」



「そう?でもお姉様から直々に教えてもらってるんでしょ。色々と大変な事だってありそうじゃない?ほら、他の子達からとか…」



「う〜ん、それは、確かに」



言われてお姉様――不思議と誰も本名を知らないあの人――の姿を思い出す。


くすんだ銀髪の、女の人。一人のご主人様――レムって言う人。多分偽名だけど――といっぱいの“隷属の刻印”を刻まれた人たちが住むこの館の誰もが最も尊敬する人で、強くてすっごく綺麗な人。同性異性問わずに憧れている子だって一人や二人じゃない。


お飾りの――と思われている――ご主人様、レムに最も近しい人で、わたしにとっては色んなものの師匠、先生、友達、そしてきっとわたしの憧れで初こ――



「あわわっ」



「あ、アルーシアまたお姉様の事考えてたでしょ?」



「…うぅ、やっぱり分かる?」



「当然。その顔見れば一目瞭然よ。あー、それにしても羨ましい奴め、お姉様に個人授業してもらえてるなんて…うりうり〜」



「あわわ、やめ、やめてよぅ、パーセルゥ」



「だーれが止めるか。この――」



「その辺りで御止め頂いて宜しいでしょうか、パーセルゥ様?」



「「――」」



パーセルゥ――今更だけど、わたしと同室の子で、ちなみに部も同じ護衛部――の動きが止まる。ううん、わたしも同じ。だっていつの間にかパーセルゥの真後ろにいたのは――



「おおおおおおお、お姉様!?!?」



「確かに私はパーセルゥ様より歳を召しておりますがその呼び方は何とかならないものでしょうか?いえ、決して不快に感じている訳ではないのです。それよりも、宜しいでしょうか。休憩時間が終わっても現れないアルをお迎えに参ったのですが、彼女を譲渡していただけますか?」



「ははは、はいっ、どうぞっ!!!」



て、ねぇ?


パーセルゥめ、わたしを物みたいに扱うのは止めて欲しい――



「はい、確かに受け取りました。ありがとう御座います、パーセルゥ様。――ではいきましょうか、アル?」



とか思ったけど、どうでもいいや。……お姉様の目が怖い。わたしが遅れた事を怒ってるようだ。


そのままわたしは小脇に挟まれる形で引っ張られて休憩所から連れて行かされましたとさ。



わたしも当初はパーセルゥや皆と同じ――でもないか。わたしの場合はちょっと特殊。まあお姉様を前にしたパーセルゥの緊張も分からなくもないんだけどね。……うぅ、戻ってきた時、他の娘達からの詰問とか怖そう。あの部屋にまだパーセルゥ以外の娘たちも居たしなぁ。



「うぅ〜」



ぱたん、とドアが閉まって、いつもの訓練場に着いた。それからお姉様はしっかりと鍵を閉めて、小さくキーを呟く。魔法栓呪、それも高等の部類にあるもの。破れるのはこの館内じゃ数人程度だと思う。それもいっぱい苦労をして。


つまり、それほどまでにこの部屋で行われているわたしたちの“訓練”を周りに知られるわけにはいかないという事。それは、わたしにも分かっている。今のわたしには確かに理解できる、うん。



「疲れが溜まっていたようですが少し、無理をさせすぎましたか?」



見惚れてたのに気付くと、心配そうな顔。日頃全くの無表情の彼女がわたしだけに見せてくれる――何気にわたしの自慢。まあ他の子たちには後が怖くて自慢できる事じゃないけど――表情。



「うん、大丈夫。ちょっと……少し前の事を思い出しただけだから」



「そうですか」



「それよりもごめんなさい。転寝のつもりだったんだけど、時間に気付かなくって……」



「いえ、宜しいですよ。これは根を詰めれば良いと言うものではありませんし……何より私――私たちにはアルの身体が一番心配です」



「あ、ありがとうございます」



「お気になさらずに……では、はじめましょうか」



「――はい」





お姉様と向き合って、行うのはこの世の理。





前々回?の会話文のヒントその二。

……ヒントなのか、これは?一層訳分からなくなる気もするし、どうなのでしょうか?


ちなみにこのお話は前書きにもあるとおり、ずっと未来のお話になりますのであしからず。

ちゃんと起こる事かも定かじゃない、今の時点じゃ夢のようなお話。


アルーシア・・・重要人物?昔は無口なお姫さんだったりしたらしい?らしい?『1〜10辺り』に出てきている、かもしれない。

パーセルゥ・・・アルーシアと仲のいい子。ちょこっとだけ『8, どれいと“刻印”』のお話に出てきてたりする。



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