RETURN TO THE BEGINNING OF 0.5 -幽世にて願うは御魂の想い-
珍しく副題が長い。
勘が凄く良ければ気づく事が出来て、それ以外はおそらく意味不明の会話。
…念話?
赤い空、赤い海、赤い景色―――
始まりは、何だっただろう?
全く、困りものですね
うん、本当にその通りだよ
死んだものは生き返らない、
でも神様の奇跡に願えばそれは別。だってそれが神様、創生の母だから
無茶苦茶ですよね。それにあの方、一度死んで拍車がかかってる気もします
あはは、うん、わたしもそう思う
でもその無茶苦茶があるからこそ私たちがこうしてここにいる。そう言えばお互い話し合うのは初めてですかね?
うん、お互い誰よりも近い位置にいたのにね。わたしは『学ぶ』前に死んじゃったから
そうでしたね。おかげで私は彼に遇えず仕舞い、しかも最後に残ってた私の“力”まで盗られてしまいましたし
…ごめんなさい
あ、でも別に気にしてませんよ。元々“力”になんて全然興味ありませんでしたから。それに、貴女と私がその気になれば“力”の奪取なんてお茶の子さいさい、です?
それは…それもごめんなさい
お兄さんでしたか?
うん、お兄ちゃん
まあ仕方ないですよ、肉親ってそういうものだと思いますから
あなたにも解るの?
一応ですけどね、分かりますよ。私にも似たような子はいましたから
ええと、それってもしかして今回の…――
はい、甘えん坊で本当に困った、妹みたいな子です。今回だって私の為に皆さんや彼にまで迷惑をかけて…。でも憎む事なんてできませんし?
分かるなぁ、その気持ち
ですよね?…とは言っても実は私もあの子の事、言ってられないんですけど
ああ、確かに。あなたの記憶だとそうみたいだね
ええ、彼に直接会うまでは私も似たようなものでしたから
むしろお母さんを取るな!みたいな感じ?
ふふっ、確かにそうだったかもしれませんね。今だからこそあの方の苦労が少しは身に染みますよ
うん、成長したって事だよね、それって
死んでしまってから今更ではありますけどね
確かに
それはそうと、どうしましょうか?
う〜ん、本当にそうだよね。まさか本当に『生き返らせちゃう』なんて思ってもみなかったし
あの方の“力”を知っていた私も信じられませんけど、実際にこうして私と貴女の意識がここにある事が何よりの証明ですからねぇ
身体の方は…私ベースみたいだね。どうしてか小さな頃の身体だけど
あの方のカタチも小さいですし、もしかしたら趣味かもしれません
あ、そうなんだ
可能性の話ですけどね。私も直接聞いた事はありませんし、もしかするとあの方ではなく彼の趣味かもしれません?
あ、そっちの可能性もあるんだ
はい
…微妙
…私もです
ちょ、ちょっと仕切りなおそっか
そうですね
……でね。わたしもね、本音を言えば生き返りたいよ?そうしてまだまだいっぱいの事を彼と一緒にしていきたい
そうですね、私も同じです。でも、違う
うん、死んだ子が生き返っちゃダメな気がするんだ。それはいくら神様の力でも――ううん、神様の力だからこそしちゃいけないんだよ
その通りです。……でも折角こうして完全に『生き返った』ですから私は時々でも彼と逢いますけど
あ、ずるいっ!!
そう思うなら貴女もそうすればいいんですよ
でも…
でももかしこもありませんって。此処では――それに私たちの間柄では我慢するなんて馬鹿げてると思いません?…初対面ですけど
……うん、それもそうかもね。…初対面だけど
ふふふっ
あははっ
で、どうしましょうか?
やっぱりそのまま私が生き返っちゃうって言うのは問題があるんだよね。それに、神様は許しても、何か別の理がわたしを拒んでる気がする
判りますか?
と、言う事はあなたも?
はい、世界の理、とでも言いましょうか。正直な所このまま私たちのどちらかがありのまま『生き返った』として、どうなるか分かりません、けど
少なくともわたしたちは無事じゃないだろうね。不思議と確信をもって言えるよ
私もそれに同意です。でももう一度彼に逢えるという事を考えるとその程度の事、とも取れますけどね
う〜ん、それは確かに魅力的かも。でもやっぱりちょっと怖いし…
そうですね。それに――
あ、やっぱりあなたも気づいてたんだ
そういう貴女も、ですね
なら考えてる事は一緒なのかな?
恐らくは。元々、私たちの違いなんて些細なものでしかないでしょうから
そっか、ならそうしちゃおっか
そうですね
ねえ、キミ?ずっとわたしたちを見つめていた、キミ?
「?」
うん、そう。キミの事。ちょっと話があるんだけど、良いかな?
「??」
まだよく分かってないみたいだね
仕方ありませんよ、まだ生まれてきたばかりですから
それもそっか、そうだったよね。身体が小さい頃のわたしだから、ちょっと変な気はするけど
「???」
あのね、キミはね、生まれてきたんだ。どんな形であっても、誰の思惑であっても
貴女は其処に確かに居ます。それは私たちが断言しましょう
いきなり生き返ちゃって、望まれたのはわたしで
私ですけど
わたしは私じゃないし、
私は貴女でもありません
だから、ね?
ああ、想像しましょう。貴女はこの先、どういう風に生きていくんでしょうね?
また、彼に逢えるかな?
貴女が――私たちが、私であるなら間違いなく。それは運命などではなく、きっと私は彼に逢いに行きます
そうだといいね。キミも…そう思ってくれるのかな?
「????」
あはは、まだ分からないかぁ
ですね
何も難しく考える必要はないよ?
はい、単純な事です。考える必要はなく、ただ感じるだけで良い
だからね、わたしはキミとして、同時にキミがこの先幸せである事を祈って――
私は貴女として、そして貴女がこの先彼と巡り逢える事を祈って――
――また新しく生まれればいい、そう思うんだ
一般的には奴隷の証と知られている、だが唯一“主の存在しない刻印”を身体に刻んだ、火のように赤き幼女。
言葉はない。
「……」
見上げていたのは、火のような景色。
―――始まりは、いつだっただろう?
スィリィ嬢編の一区切り。
最終話です。そしても物語ははじめに戻る、というやつです。
コレが言いたかった!(……と、言うわけではありません)
ちなみに私は英語が得意ではありません。ので副題に間違いがあっても突っ込まないでください。意味が通じればいいのさっ、意味が