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harem!〜カオス煮、いっちょ上がり!〜  作者: nyao
【スィリィ・エレファン編】
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ACT XX. スィリィ-23


シリアス?でも続かない


スィリィ・・・実は貴族、という忘れ去られた設定がある、女の子

スヘミア・・・ロリ…だけでいいか

ラライ・・・ネボスケ…で充分だな



「はい、そこまでだよ」



「――、」



動かない…?


振り下ろした腕が、私の意志とは関係なしに停まる。



「っ、何で…何で動かないのよっ!?こいつに、アイネを傷つけたこいつに私は――」



喚いても、叫んでも、私の腕は動かない。まるで誰かの身体を乗っ取られているような…。


反射的に振り返って冰頂を睨みつけ、すぐ勘違いだった事に気づいた。



冰頂が呟きを洩らす。



「他者の行動への強制割り込み――この力は、」



そうだ、私はこの力を“知って”いる。そして私は知っている、その力を揮うモノと同じ称号を与えられた“彼女”の存在を。


まさか“彼女”がこんな場所に、なんて思いもしたけれど、私のすぐ傍には『冰頂』がいる。殊更おかしくは…ない。





それは世界でも五指に入る、絶対的強者の一人。


他者を意のままに操り、巨大な蛇の魔物を配下に連れた魔性の女。


強大な力を操り、時には女神として、時として魔女として連ねられる自由性、もしくは危険性。


使徒の一角の名を与えられた彼女の名前は――





「点睛の魔女、スヘミア」





空耳かと思ってたけれど、さっき声が聞こえた方向に振り返って『点睛』を探す。



「――?」



おかしい。小さな女の子が一人いるだけで、他には誰も。点睛の魔女、魔性の女なんてそんなヒトはどこにも見当たらな――



「おーい、今何かとっても失礼な事を考えてた気がするのは私の気の所為で合ってくれてりするのかな〜??」



小さな女の子がふくれっ面で睨んでくる、けど全然怖くなくって、むしろ微笑ましいくらい…じゃ、なくて。私が探しているのは『点睛の魔女』なのよ。こんな小さな女の子じゃないわ。


…見渡してもどこにもいない。隠れている様子もない。……本当にどこにいるの?



「えっと、私の事を無視しないでほしいんだけど…?」



「?…ぁ」



「おぉ、やっと私の偉大さに気づいた?」



「誰かと思えば『心は輝いてるか?』なんて聞いてきた変人じゃない」



「――ふ、ふーん」



「それよりもあなた、『点睛の魔女』がどこにいるか知らない?」



「――へ、へぇ、ほぉ、そんな事聞いちゃうんだ?」



「……って聞いても解るはずないわよね」



私を拘束しているはずなのに、捕まっている本人ですら居場所が分からないんだから。


と、思ってたら横から冰頂が奇妙な事を言い出した。



「スィリィ・エレファン、先ほどから何を言っているのですか、点睛の魔女ならばずっと貴女の目の前に――」






「あはっ♪」






っ?!?!



訳のわからない、でも今まで生きてきた中で間違いなく一番の悪寒。全力で本能が回避を選択する。


同時。



「!?」



“自分”で自分の頬を殴りつけようとして、咄嗟にもう片手で押えこんでいた。



「あ、危な…」




「私にはね、我慢できない事が五つだけあるんだよ」



意外と多い。やっぱりお子様――じゃ、なくて。



「一つはね、レム兄様に馬鹿にされる事。もう一つはレム兄様に慰められる事。あとレム兄様に子ども扱いされる事とお姉ちゃんの悪口を言われる事」



目の前の女の子が早口で言った事の全部が意味不明だったけど、分かった事が一つだけある。



「それとね、最後に――私の素敵言葉全集もしくはぽえみぃを貶される事なの。覚えておいてね、“冰頂”の小娘さん?」



――この子が、どう見ても子供にしか見えなくて自分で自分の言葉に酔ってるような変人だけど、コレが間違いなく“点睛”だわ。



感じた事のない怒気と、まさに王者が醸し出す雰囲気に身体が勝手に震えてくる。



「謝ったって許さないから。存分に猛省してもらうよ、覚悟――」




「て、スヘミアさん、いきなり何しているんですか。スィリィさんが怖がってるじゃないですか」



ぽこり、と横から延びてきた手が“点睛の魔女”を叩く。って、そんな事したらどうなるか――



「…ぷー、だって、この子が私の事を馬鹿にしたのがいけないんじゃない」



「したんですか?」



「してません」



“点睛の魔女”の凍えるような瞳(錯覚)に何も考えずに答えてしまいました。



「ほら、スィリィさんもこう言ってます。私が言えた事でもありませんけど、ちゃんと時と場合を考えて下さいよ、スヘミアさん。今はただでさえ非常に危ないコトになってるんですから」



「でも〜…そりゃ、そうだけどさっ。ラライちゃんだってもし顔に傷つけられたらどうする?」



「殺ります」



「ほらね?」



「…ぅ、今の、乙女心を利用するのは卑怯じゃないですか?」



「卑怯じゃない。むしろ真っ当さっ!!」




……そう言えばどうして私の名前を知ってたんだろう?それにラライって最近聞いた気が?



「って、あれ…ラライ?」



よくよく見ると“点睛の魔女”とボケ合っていたもう一人の女の人。


言葉遣いから雰囲気、何もかもが違うけど、あれは姿だけは間違いなくちょっと前に会ったあの『寝ぼすけぼけぼけ娘』じゃない。



「やっぱりまた会っちゃいましたね、スィリィさん」



「って事はやっぱりあの寝ぼすけでボケボケしてた、ちょっと前に会った、あのラライ?」



「――スヘミアさん、やっぱり殺りましょう」



「ほらね?ラライちゃんだって賛成なんじゃない〜」



「そうですね。甘い顔をした私が愚かでした」



「ねー?」



「えぇ」



「…はい?えっ、ちょ――」



ええ!?何でか分からないけど私ってもしかして今すっごい命の危機?



どうすればいいのか考えようとして――次の瞬間、全部吹き飛んだ。



「――冰頂!?」



私の背後から。


青い景色が全てを染め上げる。それは凍える世界。それは清浄なる静止。それは穢れなき澄んだ青。


一瞬で『凍りついた青い世界』が目の前の二人に牙を剥く。




「「っ!?」」




「冰頂、何を――」



「何を、はこちらの言葉です。スィリィ・エレファン」



「どういう事よ?」



「目の前の二人が何者かを正しく理解しているのですか、と聞いているのです」



「だから、どういう事よ?」



「“点睛”が私に敵対すると宣言した事と、“灼眼”――この者が現在の元凶である事を理解しているのですか、と聞いています」



「なっ!?」



「それともスィリィ・エレファン、貴女は既にアイネ・シュタンバインの事を忘れてしまいましたか?」



「っ、そうよアイネは――」



「私が応急処置を施したので今は心配いりません。それよりスィリィ・エレファン、決して目の前の二人から視線を外さぬよう。一つの油断が命取りです」



「っ、判ったわ」






「うわぁ〜、すっごぉい。きれー」



「ミミルッポ、触っちゃダメ。これは、何と言うか…割れるかも?」



「や、そもそも生きてるの?これってまだ生きてるの??」



「喚くなエルフの娘。二人ともちゃんと生きてはいる。しかし冰頂め…こちらの娘の胸の傷が致命傷とは言え随分と思いきった事をしたものだな」






後ろから聞こえてきた声の内容とか、すっごく気になりはしたけど。


一応、一応冰頂の事をちゃんと信じて、二人から目を離さずに後ろは振り向かないようにしよう。






「あれ?あの子たちって――」



「知り合いですか?」



「知り合いも何も…って、もしかしてラライちゃんは知らないのかな?」



「??」



「あの子たちが、」






「スィリィ・エレファン。彼女らが油断している最初が肝心です。最速“灼眼”と最狂“点睛”の二人が相手では正直私の戦力では心もとない。同時に一気に畳み込みます。いいですね?」



珍しい、冰頂が怒ってる――じゃない。冰頂って言うのはつまり“私”と同じなんだ。つまり、冰頂が怒ってるって事は私が怒っているというのと同義。



「…えぇ、判ったわ」



そう、私は怒っている。この訳の分からない状況は当然の事、アイネをあんな目に合わせた事に頭の中が真っ白になりそうなほどに怒りを覚えている。


思えばラライと初めて会ったあの時、去り際の言葉。あれはこの時の事を言ってたんだと思うと、どうしてもっとはっきりと教えてくれなかったのか、そもそも何でこんな事をしたのかとか、色々と恨み辛み事が湧いてくる。



「あぁ」



――これは間違いなく私の怒りだ。それに冰頂も呼応している。



さっき完遂できなかった殺意がまた湧いてくる。そして今度こそ誰にも否定はさせないんだ、っても思う。



「≪私はあの日の事を覚えている――≫」



「スィリィ・エレファン?」



「――行くわよ、冰頂」



「…ええ、分かりました」






「≪私は願い乞う、私は貴方を赦さない…と≫――冰頂、総てを停めなさい」



――“私”が望むなら




「って、何してるの冰頂の子!?」



「スィリィさん!?今はそんな事してる場合じゃ――!」



「そうだよ聖遺物がユグドラシルが――!」



どうすればいいのか、総てが解る。私は“私”であり、“私”は私である。だから、冰頂の全ては私の全てでもある。


ついさっきまで隣にいた冰頂が今はいない。だって私は“私”であって、私が二人いる必要はない。当然、私ははじめから一人だったんだから。




魔術ではない、魔法でもない。ただ世界を改変させる純粋な“力”。



告げるのは一言で良い。



私の世界。赤の世界も、緑の世界も――すべてを青に染め上げて。








「「――“凍て”」」











一方。



「…ふむ、何か大変そうだな」



「スィー、何落ち着いてるのよ?!」



「あわっ、あわわわわっっ」



「我はミミルッポさえ無事ならばそれで良い」



「あわわっ」



「あぁ、もうこの馬鹿は…。それとエレム、あなたはちょっとは落ち着くなさい」



「で、でもね、ライカーレ?使徒様達が…」



「知らないわよそんな事っ。ほら、ミミルッポも何か言うっ!」



「う〜んと……スィー、がんばっ!」



「全て我に任せろ!!」



「……ほんとっ、この馬鹿はぁぁぁ」





話が先に進まない。

何やらお話が混沌としてきた気がします。書いてて自分でもどこへ行くのやら、といった感じ。

取り敢えずスィリィ嬢、相も変わらず自爆っぽく話の流れを悪い方へともっていっております。


ちゃんとヒトの話は聞きましょうね?


…しかし、メイドさんやレム君、ついでに恐らく何か危ない事をしているファイさんはどうしたものか、と悩んでみる。

(そう言えばマレーヌって子もいたなぁ、と思いつつも、もういいやって事で)


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