夢は寛大じゃなくっちゃね☆
小休止であります
ちなみに一方はスィリィ嬢(冰頂)です。
もう一方は…?
「死か従順か、二点のうちひとつを要求します」
「いきなりずいぶんな物言いだな?」
「わかりました。では今後貴方の事はポチと呼ぶことにします。ポチ、這いつくばってお腹を出しなさい」
「しかも次はポチ呼ばわりですか。……一応聞いておくが、それってお前の趣味か?それとも、」
「ポチに口答えを許した覚えはありません」
「…聞く耳なしっすか」
「ですが私は寛大です。初めてという事で今回のみを許しましょう。そしてこれは私の趣味です、とは言っても所詮は私も私を形成する一部分にすぎませんのでその問いは無意味です」
「あぁ、そうなのね。つまりは両方の趣味か。ちなみに寛大な奴は現れるなりポチ呼ばわりはしないと思うぞ?」
「既に忠告はしました。ペナルティですお仕置きしましょう」
「…何故にそこまで嬉しそうなんだ?」
「嬉しい?私がですか?それはポチの勘違いです。決してポチを這いつくばらせて鞭打って服従させて従属させて、許しを乞うような求めるような物足りないような、そんな潤んだ瞳で上目遣いされると私はもう…などと悦に入りたいとは一片たりとも考えていません。全く、何とふしだらな期待をしているのでしょうか、このポチは」
「……あ、そう」
「と言うわけでお仕置きです。ふふっ、別に私がポチの鳴き叫ぶ声を聞きたいわけではありません。これはあくまでお仕――調教でしかないのですから」
「や、それは言い直さなくていいと思うぞ。というよりもいい加減に俺も素直に聞いてる分に腹が立ってきたのだが?」
「こんな美少女(外見)に飼育されるのです。光栄に思え、ポチ」
「段々と言葉使いが荒くなってきたな、お前」
「うるさいご主人さまに口答えするな、です。ポチの分際で」
「…と、話の流れ上一応聞いておく。その取り出した物は何だ?」
「全く、仕方のないポチですね。これは鞭です。無知でも無恥でもむちむちでもありません。そしてむちむちは私の敵です」
「ああ、確かにその体つ痛ぇ!?」
「ポチ、言葉は選びなさい。そしてポチの言葉は鳴き声と許しを請う叫びと私を讃える讃辞だけで十分です」
「いや、確かに今のは俺が悪かったかもしれないと認めないでもないがいきなり鞭で叩くのはいい加減やりすぎなんじゃないの痛っ!?」
「学習しないポチですね。私を褒めろ」
「ついに命令形!?……ゃ、その透けるような青い髪、と瞳、澄んだ泉のようで貴女様の心をそのまま表しているような美しさですねー、痛っ!!――て、何故に!?」
「あまり本当の事を褒めるな。照れる」
「…もー、俺にどうしろと?」
「うん、褒美です。ほら」
「……あのー」
「何ですか?」
「いや、足を差し出されても俺としてはどうすればいいのでしょう?」
「光栄に思いなさい。舐めていいですよ」
「俺はどこぞの変態かっ!?」
「この褒美は気に召しませんか?」
「召すかっ!!」
「そうですか。ならば…これならどうですか?」
「で、もう一度聞くけど手を差し出されて俺はどうすればいいんだ?その手を取ってどこぞとなりへ逃避行でもしろと?」
「それも悪くはありませんが違います。私の指を舐める事を許します」
「誰がするかっ!!つか、いい加減舐める事から離れろようべしっ!?!?」
「ここまで私の厚意を無下にするとは。折角のいい気分が台無しです。もう黙りなさい」
「ああ、今のでもう俺の方も限界超えたぞ?俺がいつまでも黙って鞭で打たれていると思うなよ!」
「いいですね。ではこの際ですからどちらが主人かという事をはっきりさせてあげましょう」
「……どちらかっていえば俺の方がご主人様なはずなんだけどなー?」
「そんな事実は認めないわよっ(認めませんっ)!!」
「――わお、唐突にステレオ」
「だっ、誰も貴方の事なんて気にしてないんだからっ!!」
「またいきなりそんなこと言われても…つか、何の話?急に入れ替わられると話についていけない」
「〜〜っ、私が貴方より格が上って事を身体に教え込むって事よ!!」
「おぉ、なんだかとってもやる気っぽいね?」
「当然!むしろ殺る気の勢いよっ!!滅びろ諸悪の根源!!!」
「って、黙ってやられると思うな!!」
「くっ、ポチの分際で小癪な。大人しく私のモノになりなさい!」
「…つか、まだそれ続いてたの?」
「好き…じゃなくて!愛してる…でもなくて!」
「一人漫才?」
「違うわよ!とにかく貴方は私の言う事を聞いてればいいのっ!貴方は全部、私のモノなの!!」
「…いやん、えっち」
「――それが悪い?」
「開き直られた!?」
「ふふふっ、いいから、いい加減捕まりなさい。悪いようには…しないわ」
「その笑い声と手に持った鞭を捨ててくれれば少しは考えなくもない」
「交渉決裂ね」
「微塵も考える気なしっすか!?」
「初めから貴方にある選択肢は鳴き叫ぶか、助けを叫ぶか、私を褒めるか、とにかく私を悦ばせる以外にないのよ」
「随分と偏った選択肢だなぁ、つか結局さっきまでと変わりないのね」
「――私、自分に正直になる事にしたの。貴方を求めてる私を厭ったりしないわ」
「この台詞だけ聞けば素敵に勘違いできるな」
「しなさいよ!!」
「逆切れ!?…だからさ、その手に持った鞭を捨ててからもう一度話し合おうぜ?」
「これは…私のポリシー、もとい、ちゃんと貴方を調教する為に必要なものだから手放すことはできないわ」
「だから何故そんな結論に達する!?」
「私、正直になる事にしたの。大丈夫、今のヘタレな貴方でもちゃんと私好みに矯正するから」
「俺の全人格無視ですか!?」
「時には犠牲も必要よね?」
「や、それを本人に向かって素晴らしい笑顔で言われても…」
「いいから頷いときなさい!!」
「んな事で切れるな!!」
「切れるわよ!!」
「無茶苦茶だ!!」
「貴方の方が無茶苦茶よ!!」
「何で!?」
「だって、こんなに私を狂わせておいて…貴方の事しか考えられないようにしておいて、何もしないってそれはあんまりじゃないの?」
「………」
「な、何か言ったらどうなのよ!?」
「……ゃ、つーかいつからそんな素敵展開に?」
「はっ、初めからよ、はじめてみたときから私はずっと貴方のと・り・こ、なんだからちゃんと気づいてよ、って何言わせるのよ恥ずかしいじゃない!!」
「………ビバ、ハーレム」
「うぅぅ、これもあれもそれもどれも全部あなたのせいなんだからっ!!!!」
「……よぅし、よぅし、判ったオーケー任せとけ。つーかどんと来いっ」
「う、受け入れてくれるの?」
「むしろ望むところ」
「じゃあ――」
「………あ、あれ?この縄は、それと手に持ってる鞭はいったい何ですか?」
「さっきから言ってるでしょ、ポチ。まずは調教と矯正しないと、使い物にならないじゃない?」
「…あっれー???」
「ふふふっ、この瞬間を貴方に出会ってから幾度夢見たことか」
「はっ、そうか、これは夢だ、夢に違いない。つかこんなハーレム要因として自分から申し出てくる奴がいるなんてその時点で夢に違いないんだ!!」
「失礼なこと言うわね、ポチの分際で。ふふふっ、さて、どうしようかなー?……うん、まずはやっぱり――」
「夢だ、夢だ、夢だ。これは夢だ、夢に違いないんだー!!!」
「ふふっ、その歪んだ顔も素敵よ、ポ・チ☆」
「ぃ、嫌ぁぁぁぁ!?!?!?」
「………」
「おはよう、ってどうしたの!?すごい汗じゃない」
「あ、悪夢だわ」
「悪夢?何か悪い夢でも見てたの、スィリィ?」
「…えぇ、まあ、そうね。すっごい悪夢だったわ」
「そうなの?」
「そうなのっ!!」
「わあっ!?って、急に怒鳴らないでよぉ〜」
「…夢、いいえ、あんなのが私の願望なわけないじゃない。あれはあくまで支離滅裂な夢の話であって、だからほら、あんな事やそんな事や…ごにょごにょ」
「スィリィ?スィリィさーん、聞こえてますか?おーい」
「………(ぶつぶつぶつ)」
「こりゃ駄目だ。……でも本当に悪夢、だったのかなぁ?その割にはスィリィってば笑ってた気がしたんだけど、気のせいかな?」
――“私”は黙秘します
「?いま何か声が聞こえたよーな……」
「いや、だから、でもほんのちょっとは――って何を血迷ってる私!?そんな事あるはずが…で、でも、あぁ、うん、いやいやいや……」
遥か彼方で――
「ん?どうかしたの、“点睛”」
――……
「“点睛”?」
――トリック・オア・トリート?
「え、いきなり何?」
――……
「もう、本当にどうかしたの?」
――ノープログレム、マスター
「いや、私はあなたのマスターじゃ…ま、いっか。大した事とかしてたわけじゃないよね、“点睛”?」
――イエス、マスター
「ならいいよ」
――……とりっく・おあ・とぅるーす、冰頂?
警告
本文章は本編の登場人物とは一切のかかわりを持ちません?
多分、無関係なはずです。
無関係…だといいなぁ。
全く関係のない知識ですが、“点睛”の能力は一種の意識操作です。
本人の願望を夢として見せるなんて、朝飯前ですね☆
……えぇ、本当に関係のない知識ですけど。




