ACT XX. アメリア-2
その頃のお姫様2
アメリア・・・元・王女な奴隷の女の子
スヘミア・・・『点睛の魔女』ロリ
こと、とカップを置く、目の前に座る小さな女の子。
正直、これが世界でも五指に入るといわれているあの“点睛の魔女”だなんて未だに信じられない。
容姿も、性格も、どこからどう見ても小さな女の子にしか見えないのだから。
…何だかレムの屋敷に来てから頭痛の種が増えた気がする。
「今起こっているのは“灼眼の因果”ってものなの。どー言うものかって言うとね、わたしもよく知らないんだけどね、何がしたいのかは大体想像がつくよ」
「ソレはどういうものなのです?」
「うぅんとね、“因果の意図”って言うのはあくまで手段のはずなんだよ。『灼眼』が執着を持っているのは“燎原の再構築”っていう一点だけ。これは確かな事なの。私で言えば“点睛の眼”って事だね」
「“点睛の眼”?」
「ああ、ごめんごめん。それだけじゃ分からないね。う〜んと、断罪の調べ、世界を壊すどうしようもない殺意…みたいなものだよ。これも説明が難しいなぁ。……まぁ、わたしの場合は比較的対処が楽らしいからいいんだけどね。中でも一番厄介なのがこの“灼眼の因果”なんだって」
「…はぁ?」
「それはそれとして、“灼眼の因果”についてだったよね。目的は燎原の再構成、要は生き返らせようって事。そのためにはいっぱいの“力”が必要で、それはもう“女神”の奇跡に匹敵するくらいの力じゃないと無理なんだよ」
「あ、あの“女神”の奇跡と言うのは…?」
「そっか、これにも説明が必要か。うん、えっとね、説明しにくいんだけど、要はすごい力だって事。どれくらいかって言うと一つの世界を創れちゃうくらい…って言っても解らないか。まぁその力だけで世界を百回は破壊できるくらいの力だよ、て言えば分かるかな?」
「ひゃ、ひゃっかい?」
「うん、そう」
規模が大きすぎて想像がつかない。…最も、それくらいに凄く大きな力だと覚えておけばそれでいいのかもしれない。
「それでね、多分それだけの力を集める方法が、“因果の意図”なんだと思うんだ」
「……それだけの力を、どうやって?」
「うん、“点睛”に街のヒト全員を避難させるようにって言われた時はピンとこなかったけど、外から様子を見てて大体のところは見当がついたよ。“因果の意図”って言うのはね、要は力のバイパスラインなんだよねー」
「ばいぱす?」
「そっ。一つじゃ足りない力も沢山集れば大丈夫、って事だね。更に逃げられないようにどこかに収容して〜、もしかすると他にも何か力の増強とかしてるかもしれないね」
「…はあ?」
「う〜ん、全然分かってないって顔だね。まあ、解ってなくても大丈夫だけどね」
「そう言えば、私はどうして無事なんですか?スヘミア様のその理論から言えばリッパーと同様、私もどこかに行っていないとおかしいんじゃないですか?」
「まー、多分だけどね、アメリアにはほとんど力がなかったんじゃないかな?だから“因果の意図”にも無視されちゃったの。力がないから無事って言うのも皮肉な話だとは思うけどね〜」
「はぁ、なるほど」
無事なら無事に越した事はないんだけど。…なら、リッパーは大丈夫なのかしら?
「さてと、じゃあそろそろ…」
「あ、行かれるんですか?」
「うん、このまま放置ぷれいもラライちゃんに可哀そうだしね、わたしも微力ながらお手伝いしてくるよ」
「そうですか」
「…あ、それと紅茶、美味しかったよ?」
「ありがとうございます」
「それじゃ、またね、アメリア」
「はい、、スヘミア様」
「う〜ん、その“様”って言うのにはやっぱり慣れないなぁ〜」
と、最後にそのようなぼやきを残してスヘミア様は入ってきた窓から同様に出ていってしまわれた。
「…ふぅ」
もう覚めてしまった紅茶に一口、口をつけて、窓から外の世界の景色を見る。
――真っ赤に染まった世界。見ているとまるで何かの生き物の腹の中にいるような不快感が付きまとう。
結局、スヘミア様の言っていた事の半分も理解できなかったのだけれど。
「つまりはもう少し待っていれば解決するって事でいいのよね?」
そう言う事なんだと思い、私は紅茶を淹れ直す事にした。
二人はのんびりティータイム。
アメリア様は今回の件、ある意味で一番の部外者です。