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harem!〜カオス煮、いっちょ上がり!〜  作者: nyao
【スィリィ・エレファン編】
150/1098

ACT XX. いん、スフィアZWEI


ZWEIに意味はない。


マイハニー=ミリアレム

男=アルゼルイ教育機関の学長で、ミリアレムの夫



それはアルゼルイ教育機関の、その中でもほんの一握りしか知らない中核をなす場所。


誰もいなかったその場所に、不意に一組の男女が現れた。





「無理しちゃダメだよ、マイハニー?」



「……あなた?」



「君の身体は君だけのものじゃない。僕たち二人のものなんだから。もっとちゃんと気をつけてくれないと僕は安心して仕事も手に付かないよ」



「私だってそうですけど、仕事はちゃんとしてくださいね。……ではなく、今までどこにいたんですか、探したんですよっ!?」



「ああ、それはすまなかったね、マイハニー。しかしね、僕としても君の元御主人様や『白面(びゃくめん)』に協力を断られたからにはしなければいけない措置ってものがあったんだよ。許しておくれ」



「……そんな事を言うのならば、やっぱりあなたは知ってるんですね、今回の件について」



「ああ、知っているとも。君が今回の件について知りたいというのならば教えるけれども、どうかな、聞きたい?」



「ええ、聞きたいですね。それとハインケル先生の件についても何か弁明があるのならば聞きますけど?」



「ハインケル? ……あぁ、あの龍種の落ちこぼれの子の事か。せっかく生き残った数少ない龍種だって言うのに、あの子は馬鹿だねぇ、わざわざ使徒の前に出て行くなんて自殺願望でもあるのか、それとも未だに『小人の根絶と龍種の復興』なんて夢物語を追いかけてるのかね?」



「と、言う事はやっぱり知ってたんですね。彼が龍種の生き残り……あの色からして青龍ですか、そうであるという事を」



「それはまあ、当然。髪と眼の色を偽装してあげてたの僕だし? 今回ので偽装が解けちゃったみたいだけどね」



「……あなたってば、もう」



「う〜ん、とある筋から頼まれてたんだけど育て方を間違えたのかな? あの子、何を勘違いしてか自分が龍種って事に誇りを持っちゃってたからな〜」



「あなた? 私は真面目に話をしているつもりなのですが、そうやって一人で自己完結した話し方をしてしまうのはあなたの悪い癖ですよ?」



「ん? ……ああ、ごめんよマイハニー。許しておくれ」



「……許します。許しますけど、ちゃんと私にも理解できるように話して下さいね?」



「ああ、当然だとも、マイハニー」



「ならお願いします」



「……そうだね、それじゃあ、まずは根本的なところから話していくとしようか。ねえ、マイハニー、君は『灼眼(しゃくがん)の剣士』を知ってるかい?」



「知っています。と、言うよりもまだふざけているんですか? 私がラライ様の事を知らないはずがないじゃないですか」



「まぁ、それもそもうか」



「えぇ」



「ならね、どうして彼女に『灼眼』と言う、黄昏の時代の十二使徒の一角の名前なんて大層なモノがついているのか、考えた事はあるかい?」



「それは、『灼眼の剣士』ラライ様が昔いたという十二使徒と同じくらいに強いから、と言う事では……ないのでしょうね、あなたがこう言った聞き方をしてくるという事は」



「うん、その通り」



「ではどういう事か御説明いただけますね?」



「うん。まあ確かに彼女が十二使徒並に強い、と言うのは確かだろうし、その考え自体を否定はしないけどね。でも違う。……神は死ぬが滅びはしない、と言うのがあってね。かつての神たち、三神十二使徒は全員が死んだ。でも滅んじゃいない」



「……滅んでいない、つまり転生か何か、『灼眼』と言うのは十二使徒そのものである、と言う事ですか?」



「流石マイハニー、理解が速い。こんな言い方だと多少語弊はあるかもしれないけど、つまりはそう言う事だよ」



「それで、今回の街で正体不明の赤い糸の出現や“暴走”が多発している件と『灼眼』との関わりは何ですか?」



「焦らないの」



「ぁ、ごめんなさい」



「うん、そう言うマイハニーも可愛らしくて素敵だけどね?」



「……もうっ、は、話をずらさないでください」



「はいはい、っと。……そしてね、かつての三神十二使徒が残した負の遺産って言うものが幾つかあってね……と、言うよりも自分たちを殺した種族たちを殺し尽くすような陰険極まりないもの、つまりはこれが負の遺産なんだけどね、これを残していないのは一番最初に滅んだとされている使徒『昏白(こんぱく)』と綺麗さっぱり殺され尽した女神シャトゥルヌーメ、それに消息不明の使徒『燎原(りょうげん)』、これだけしかいないわけだけど」



「それで、あなたがこんな話の振り方をするという事は、あの赤い糸……あれは『灼眼』の負の遺産、と言う事ですか?」



「そう言う事になるね。――『灼眼の因果』、魔術名は確か……“因果の意図”だったかな?」



「……それで、“因果の意図”と言う魔術はどのような効果がある代物なんですか?」



「解らない」



「……わからない?」



「うん、解らない。君より長く生きてはいるけど、僕自身アレを見るのは初めてだからね、取り敢えず“因果の意図”から発生した赤い糸に絡みつかれると暴走……と言うよりも無理やり力を引き出されるのと、赤い糸が襲う相手は無差別じゃなくって何らかの選定――多分力のある者を選好みしてるって事は分かるんだけどね。それ以外はさっぱり」



「力のある、だからエレファンさんは……。しかし、それは性質が悪いですね」



「うん、そうなんだよね。潜在能力のあるヒトばかりの力を無理やり引き出す、つまりは“暴走”させる。下手に力のある者が揃ってれば――例えばアルゼルイみたいに未熟だけど将来有望みたいな子たちがいるような場所だと簡単に都市一つを吹き飛ばしてしまう」



「……その割には余裕があるように見えますけど?」



「うん。僕も本来なら今頃ひーこら云いながら避難勧告とか、力のある子たちを集めて対城塞用の防衛魔法の構成とかを行ってたところなんだけどね」



「なにかあったんですか?」



「実に不思議な事だけどね、今この街にはほとんどヒトがいないんだよ」



「ヒトが、いない?」



「そう。時間にして“因果の意図”の展開するほんの少し前、不自然なほど自然に、ほとんどのヒト達がこの学園都市から出て行ってしまっている。理由は『急に親の顔が見たくなった』『恋人が急病にかかった』『天の啓示』『宝の地図』『商品がなくなった』、他にも千差万別と様々」



「それは……」



「うん、君にも判ってるとは思うけどね。どこかのお節介な魔女の仕業だろう。第一、百万の奇跡が起きる事以外でこんな事が出来るのは恐らく世界中でもたった一人しかいない」



「……スヘミア様」



「そう、『点睛の魔女』。ほぼ間違いなく、彼女は今この街のどこかにいる。……誰の差し金かは知らないけどね」



「それで、ならあなたは一体何をしてたんですか?」



「まあ、君の元御主人様からのありがた〜い忠告をだね、聞いてあげてたんだ。本当に念の為の最終手段だけどね」



「それは一体……」



「ひ・み・つ。知らない方がきっと驚けると思うよ?」



「驚く必要はどこにもないんですけど……?」



「まあまあ。……それにしても凄いよねぇ、思えば今このアルゼルイの中に『灼眼の剣士』『点睛(てんせい)の魔女』なんてW.R.ワールドランキングでも五本の指に入るだろう化け物、感じた限りだと彼女らに匹敵するかもしれない力を持った存在が一、二……四つ、それに及ばないまでも強い力を潜在する子たちが十数人。吃驚するほどの力が揃っている」



「それは……確かに」



「そして対象の力を“暴走”させるって言う代物の“因果の意図”と言う名前の魔術。……はてさて、『灼眼』サマは何をお考えになってるのやら。ぞっとしないねぇ」



首を傾げる男。それを不安そうに見つめる女。



沈黙を破ったのはそのどちらでもなく、








「別に隠してはいない。知りたいなら教えようか?」








「「っ!?」」



赤い髪、赤い瞳を携えた、赤い世界を掌るモノの一角――『灼眼』



「私はね、ただ一つを望むだけ。たった一つの笑顔を取り戻す、そんな軌跡を願っているだけ」



虚空から現れた赤い糸は瞬く間に世界を覆い、そればかりか声に呼応するように空中に何かを織り込んでいく。



「――“応報の揺籠”、解凍」



空中に浮かぶのは、大きな赤い揺り籠。そしてつい先ほどまでいたはずの男女二人の姿はいつの間にかなくなっていた。





「……さあ、次の舞台を始めましょう」



誰もいない赤い世界、彼女は再び歩き出した。




ラライさんが活躍しております……と、言うのとはちと違いますか。

ただ『灼眼の因果』順調に第二シーケンスへ移動してますね、


一応補足として、覚えていないと思いますがW.R.とは『世界で強い人10人』というものです。『白面』『灼眼の剣士』『点睛の魔女』『燎原の賢者』とかがランキングに入っております。



スヘミアちゃん、こっそり暗躍中?

レム君、お散歩中

メイドさん、流離い中

ファイさん、そろそろ限界です

スィリィ嬢、我に返る


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