ACT XX. スィーカット-4
ほのぼの成分。
スィーカット・・・略称、小瓶の悪魔。世界も滅ぼせる力を持っているけど、今はただの小遣い魔。
ミミルッポ・・・スィーカットの主様、ちょっぴりお頭が弱い子
ライカーレ・・・お姉様?面倒見がいい、ミミルッポといつも一緒にいる
「ふぁ……赤いきらきら、きれー」
「こら、ミミルッポ。ふらふらするな、危ない」
赤い糸――何らかの力の結晶に近づいていこうとするミミルッポを慌てて止める。ついでに殺到してくる糸を腕をひと振りして一掃しておく。
……まったく、少しでも目を離すとこれだから危ない。
「ぶー、スィーのいじわるぅ」
「ほら、ミミルッポ、我儘言うんじゃないの」
「ライ姉ぇ、スィーがいじわる言うのー」
「いいから、少し大人しくしてなさい、ミミルッポ」
「うー、はぁい」
しかもライカーレの言う事は素直に聞くのだから、我の立場と言うものがなくて困る。
あの銀髪の娘に鍛えられているだけあって、ライカーレは――好奇心さえ疼かなければミミルッポも、それなりに力を使う事が出来る。
際限なく迫ってくる赤い糸を排除しながら、ライカーレが寄ってくる。
「ところでスィー、この現状ってどうなのか、分かる?」
「ふむ、推測でしかないが何者かが魔法……いや、これは魔術と言うものだったか? どちらにせよ何らかの力を行使しているという事だな。しかも規模が大きい。相当な術者だと見ておくべきだな」
「それで……この赤い糸って何だと思う? ……これっ、さっきから際限なく私たちを狙って来てるんだけど」
「そうだな、差し迫っての害はないように見えるが、だからと言って態々捕らえられてやる必要もない。ライカーレ、ミミルッポを連れて少し下がっていろ。面倒だ、周囲を一掃する」
「……分かったわ」
ライカーレとミミルッポが下がっていくのを見届けてから。
「……どれ」
一つ一つの糸の持つ力はそれほどではない。我でなくライカーレ程の力でも、少しだけ力を込めれば破壊できる程度に脆い。それにどういう意図があれ、ミミルッポに害を及ぼそうというのならば我は黙るつもりはない。
ほんの少しだけ魔力を集め――展開。空間に分散させて無制限に湧いてくる赤い糸を無差別に一掃していく。ヒト、建物には影響を与えない程度の魔力、赤い糸の構成を乱してやるだけでいい。
……よし。周囲一辺は一掃したな。引き続き魔力は展開しておくか。そうすれば余計な邪魔も入らないだろう。
「よし、もういいぞ、ミミルッポ、ライカーレ」
「赤いきらきらぁ〜」
ミミルッポが残念そうにしているが……まぁ、諦めてもらう他ないだろう。
「ライカーレ、少しの間ミミルッポの事を任せてもいいか?」
「ええ、良いけど……何か問題でもあるの?あの糸は一掃したように見えるけど……」
「いや、問題はない。周囲には我の魔力を展開しておいたから近辺にいる限り赤い糸に襲われる心配もないだろう」
「なら、どうして? 心配性のスィーにしては珍しい」
「……そんな事で本気で驚かれても困る。だが、だからこそだ。銀髪の娘やあの男への義理立てもあるからな。他の者――アメリアとファイの様子を見てくる事にする」
「ああ、そっか。それでマレーヌは……まあの子なら必要ないか」
「うむ、あの周到さならこの程度の規模の攻撃であれば問題ないだろう。心配があるとすれば潜在魔力だけが桁外れて高い娘――ファイの方だな」
「……確かに」
ライカーレが微妙な表情を浮かべる。
うむ、我にも今のライカーレが考えている事が分かるぞ。と、言うよりも混乱して道端で転んでいるような姿がありありと思い浮かぶ。
「そう言うわけだ。少し行ってくる。その間、くれぐれもミミルッポの事を頼むぞ」
「分かったわ。と、言うよりももうこの周辺は大丈夫なんでしょ?」
「それはそうだが万が一と言うこともある」
「……この心配性め」
「――性分だ。では、行ってくる」
「はいはい、行ってらっしゃい」
「ミミルッポも、少し行ってくる。大人しくライカーレの言う事を聞いているのだぞ?」
「うんーわかった。スィーはみんなの事を見にいくの?」
「そうだ」
「それじゃー、みんなのことよろしくね、スィー」
「ああ、任せておけ。では、行ってくる」
「いってらっしゃー」
「うむ」
……最初はファイの方に向かうか。
ほのぼの成分、もしくはギャグ成分が欲しかった!
…と、言うわけでスィリィ嬢を置いておいて、その頃の他の皆さんのお話。
かなり危機感がありません。そしてスィーカットは非常に過保護です。
ちなみに、もう何度かほのぼの?成分を欲していますが次はファイさんの出番です。ギャグ分はほぼ100%に増えます、その予定です。
ファイさん、転倒中。
アメリア様、リッパー様と談話中。
ミミルッポ、お昼寝中。
ライカーレ、膝枕中。
レム君、そろそろ地面に衝突?
メイドさん、準備万端。
ラライさん、???
…何か癖になってきた。