ど-XX. ある日2
それはある冬の日の事でした……て、違うか。
「ちょっと、あれはどういうことですかっ!!」
「ん、あれってのは何の事だ?」
「……ふざけるのは私が穏和にしているうちがいいかと思いますよ?」
「う、分かった。素直に話そうじゃないか。だからその嫌に迫力のある笑顔を止めてくれ」
「初めから素直にそう言っていれば良いのです。…それで、あれは一体どういうことですか?貴方の事ですから何かしらの意味がある事だとは思いますけど…」
「おお、実は結構俺の事かってるのね、お前」
「ふざけるのは止めた方が良いと、先ほど言ったはずですよ…?」
「ああ、分かった。素直に話す。今度こそ素直に話すって」
「次はありませんよ?」
「わ、分かってるって。それで、あれってのは勿論あれの事だよな」
「他に心当たりがあるの?」
「いや、お前に怒鳴られるような心当たりは……まああるにはあるが嫌悪と怒りを含んで俺に怒鳴ってくる内容はあれしかないな」
「…それで、一体どういうつもりです?」
「んー、どういうつもりもあいつ等が教えて欲しいって言うから俺は親切に――や、まて。確かに今のも含まれてるが冗談だ、軽い冗談。な?そう怒るなってば」
「先ほど次はないと言ったはずですよ?」
「…はぁ、仕方ねえな。んじゃ、真面目な話だがな」
「初めからそうしていればいいのです」
「どこぞの馬鹿が禁々呪――禁呪の中でも更に最悪なやつを使った。後始末は終わってるから影響はもう出ないだろうけど、短時間でも禁呪の影響が広がったのが問題だった」
「……それで、あれとどう繋がるのですか?」
「お前ならこれだけ言えば分かってるだろうとは思うが、あれは防護策だ。禁呪ってのは世界のバランスを崩すから禁呪って言われてるわけだしな」
「っ、だとしてもっ、あれはいくらなんでも無作為すぎるじゃないですかっ!!」
「あれ以外の策が思い浮かばなかったんだから仕方ないだろ。それに時は一刻を争ったんだぞ?一番伝が広くて伝染しやすいのがあれだ」
「それは、そうです、が……しかし、私たち…いえ、私以外があれを受けてどうなるか分かっているはずでしょう!?それをむざむざと…」
「死ぬよりはましだ」
「し、しかし…」
「多少の犠牲はこの場合仕方ない」
「………、本気で言っておいでで?」
「ああ、滅ぶよりはましだ」
「そう、ですか。………貴方がそう断言する程に禁呪の影響は強いのですか」
「別に、言い訳はしない。お前だって俺を怨むんなら怨んでも良いんだぞ?」
「いえ、怨みませんよ。私が貴方を怨めるはずないじゃないですか」
「……悪い」
「いえ」
「………」
「………」
「あー暗くなりすぎ。この話はもう終わりな、終わり。お前との雰囲気がこうも重くっちゃやってられねえよ」
「そう、ですね。私たちがこうでは駄目ですね。事後の策を考えなければ」
「そうだなぁ、どうするかなぁ…?」
「この際ですから世界を統べてみては如何です」
「さらっと怖い事言うなぁ」
「私の加護があるんです。不可能じゃありません」
「や、いい。だって俺、所詮一般人だし」
「………何処がっ」
「それに策は一応考えてはあるよ。全員を救うって訳には行かないけどな。そのためにはお前の力も貸してもらう事になる」
「私が助力するのは全く構いませんが…一体どのような事ですか?」
「ああ、それはな――」
「っ」
ちょっぴりネタばれ?を含んでいるかもしれないこのお話。どのタイミングで入れようかと迷っていたのですが…。
ここだっ!
と、言うわけで入れてみた。またまた深い意味はない。
ちなみに会話している二人は誰かって言うのは前回同様、内緒と言う事で。