ACT XX. ファイ-2
今はちょっぴりスィリィ嬢はお休みです。
ファイ・・・天災料理人?の奴隷の女の子
アメリア・・・元・お姫様の奴隷
スィーカット・・・世界を滅ぼす力を持った悪魔、らしい?
カゥルヒム・・・そんな人いません。単なるメイドさんの偽名です
「アメリア様?」
不意に聞こえたのはそんな声だったと思う。
思うって言うのは、それなりに理由がありまして、それもそもそも…
「これは…どういう状況でしょう?」
「見ての通りだ、女。奴は賞金稼ぎらしいがカラートから指名手配中の元王女のアメリア・ヒン・アトラビを捕まえようとして、このざまというわけだ」
「…なるほど」
あのー、冷静に説明しないでほしいのですけど、スィーカットさん。あとあなたはどちらさまでしょうか、と思ってアメリア様の名前を呼んだ女性の方をみてみる。
「♪」
「??」
何を勘違いしたのかウィンクをくださいました。ありがとうございます。
と、いうより本日も実況は私ことファイでお送りしておりますが……いや、何を思っているのだろ、私。
正直な話、そろそろ緊張の糸が切れそうです。
「後、ひとつ汝に言って置く。その娘に傷一つつけてみろ、生きて帰れると思わない事だ」
でっ、でしたら今すぐに助けてくださいー、スィーカットさんー!!
状況はこうです。
アルゼルイに来て、今日は私とアメリア様とで少し街へ出かけようという話に何故かなりまして、アメリア様が酒場に入ろうと仰られて、私などが止める事が出来るはずもなかったのです。
それで酒場に入ったら、いきなりこの男性に襲われたのです。……心臓が止まるかと本気で思いました。やはりカゥルヒム様が常々おっしゃられている通り、男の人って怖いですっ!!
…レム様はお馬鹿だしスィーカットさんは男の方って雰囲気がしないのでそれほど怖くありませんが。
首に剣を突き付けられて、後ろからはお酒臭い男の方の息が……き、気持ち悪いっ!!
それにとても怖い。胸の奥がなんだか熱くて…今にも破裂してしまいそうな気がする。
あと、スィーカットさんは気づいたらいました。
た、助けて下さいましー!!
「大丈夫、心配いりませんよ」
本当でしょうか?
一応私の訴えかけに頷いてくれましたが…出来るならば早急にお願いしたいものです。もうそろそろ恐怖で意識が飛びそうですので。
いや、本当にあれですね。もうどうしようもないってところまで来ると人って逆に冷静になれるんですね。あ、もう駄目です。
「…、?」
ふんわりと、いい香り。あの男の方のお酒の臭いじゃなくって、何か花のかおり?レム様の大事にしていらっしゃる花壇の香りと同じような…。
「ね、心配いらなかったでしょう?」
「は、はぁ…?」
はて、私がちょっと目をつぶってしまった間に何があったのでしょうか?
女の方が私を抱きしめてくれていて、さっきまで私に剣を突き付けていた男の方はその女の方の足もとに…。
と、思い出しました。
「もう、だめぇ…」
「え、ちょ――!」
ぷつん。
はい、それ以降の事は覚えていません。
…と、言うよりもその頃のファイさんと言う方が正しい気もします。
いつもに比べて登場人物がわんさか出てくるスィリィ嬢の物語…と言うよりも『灼眼』の物語。
ここで出てきた女の人と言うのも新しい登場人物です。前回のラライさんだってそうなのです。場合によっては『点睛の魔女』スヘミアちゃんも出るかもしれませんが…。
レム君、『幼女拉致監禁調教連続通り魔容疑指名手配』継続中。
…容疑が増えてるって?気のせいですよ。