ど-99. お手伝いと手伝ってみようと考えた
旦那様は子作りに励んでおります?
「キウラというのはどうでしょう?」
「……」
「では、サラサでは?」
「……」
「これもご不満ですか。では…」
「だーうるせー!!俺が今、誰の為に何をやってるか分かってる!?」
「はい。存じておりますとも。旦那様はご自身の下品極まりない欲望の為にご自分に従順で愛くるしい生命を作り出そうと懸命に研究を行っていらっしゃいます」
「や、事の発端はお前が妙な事言いだした所為だし」
「文句を言いつつも私の要望に応えようとなさってくださっています旦那様に深い愛を感じます。ですがやはりご自分に従順であると言う事は外せません?」
「そりゃ、な。無暗に反抗的なのよりは従順な方がいいさ。ついでに可愛くて、素直な……って、何言わせるか」
「メッチャンは旦那様には渡しません!」
「…メッチャンって誰だよ。それとお前は俺の邪魔をしたいのか、やっぱり邪魔したいのか、どっちなんだよ?」
「一応、手伝いたいですと申し上げておきます」
「一応って何ですか!?」
「言葉通りの意味ですが、おかしいでしょうか?」
「おかしいよ!おかしすぎるよ、つかあれか、一応を無くすとやっぱり邪魔する気満々なのか??」
「そんな事は御座いません。ニュールの誕生を私は心待ちにしております」
「またニュールって…それは今俺が作ってるホムンクルスの名前のつもりか、そうかそうなのか」
「サマサマにケチをつけるおつもりですか!?」
「何で怒ってるんですか!?…それにまた名前違ってるし。お前の方こそ真面目に名前をつける気はあるのか?」
「愚問です。言い換えるならば旦那様の存在意義と同じ質問でございます。マリエールの名前のどこがいけないと、旦那様はおっしゃられるのですか?」
「いや、そもそも俺は名前が悪いなんて一言も言ってないし」
「当然でしょうとも。私の考えた名前が旦那様に却下されるなど、などとっ!」
「いや、だから何をそんなに興奮してらっしゃるのですか、と。それと俺が言いたいのは俺の邪魔をするなって事だよ」
「邪魔、私が邪魔と仰られ――」
「ゃ、それはもういいから」
「では旦那様、私にお手伝いできることは何かございますでしょうか?」
「…そうやって一瞬で態度を変えられるのもなんだかな、って思うよ俺は」
「旦那様は酷い!」
「何が!?てか、話の流れが飛んでて意味分からないのですが」
「それはそうと旦那様、研究の方はいかがでしょうか?」
「…さっきの台詞はなんだったんだ、一体。……まぁ、研究の方は順調、とは言えなくともある程度の目星は立ってきたってところかな。昔かじってた知識が役に立ちそうだからな」
「そうですか。それはよかった」
「で、だ。お前は俺を邪魔する気なのか、それともやっぱり邪魔する気か?」
「…先ほどより、何故邪魔をするという選択肢しかないのでしょうか?いえ、旦那様がお望みでしたら私も喜んで邪魔をさせていただきますが」
「いや、別に望んでないから。嬉々として手を振りあげなくてもいいから。あと足も身体も全身駄目だぞそもそも邪魔するな?」
「了解いたしました。私としても旦那様の邪魔をするのは本意ではございませんので」
「の、割には嬉々としてたよな、お前」
「旦那様は顔が悪いので仕方ない事でしょう」
「え、顔が悪いって断言!?つかそれって関係なくない?」
「いえ、全く以て主旨にあっております。…それで旦那様、何かお手伝いする事は御座いますか?」
「何か話を逸らされたような…」
「そんな事はありますとも」
「あるのかよ!?…で、手伝いね」
「はい」
「……お前、何もするな。それが一番だわ」
「………………はい」
本日の一口メモ〜
子作りを懸命に頑張る旦那様。方向性が微妙に違うなんて言っちゃだめです。それがお約束というもの。
いつの間にやらあと一話で100回目。と、言うよりも一日一回の更新なんて無理でしょ?と思いつつこんな感じに…いいのです、いいのですよぅ。
と、言うわけで
ラスト、1
旦那様の今日の格言
「やる気があるのはいい。要はそれを空回りさせない事だ」
メイドさんの今日の戯言
「旦那様には噛み合う歯車が存在しておりませんので空回りしかいたしません?」