ど-98. 赤ちゃんをつくろう
ちぇっくめいと
「赤ちゃんが欲しいです、旦那様」
「……あ、そう」
「……」
「……え!?」
「如何なさいましたか、旦那様?」
「え、いや、その…今とてつもないセリフを聞いた気がしたのだが…、気のせい、気のせいだよな?あはは」
「旦那様がどのような幻聴をお聞きになられたのかは私にはわかりかねますが、私は先ほど赤ちゃんが欲しいです、と申し上げました」
「……はぁ!?おま、いきなり何突拍子もない事を言い出してるんだよ」
「突拍子もない…そうでしょうか?」
「ないに決まってるだろ。大体がどこをどうしたらそんな結論が出てきたんだよ」
「発情期が来ました」
「は?何それ?」
「それを私に説明しろと。旦那様は羞恥プレイがお好きなのですね」
「いや別にそんな事は言ってな…」
「では説明させていただきますと、発情期とは繁殖期、すなわち子孫を沢山残しましょう、という事でございます。……まさか、より具体的な行為まで説明した方がよろしいのでしょうか?」
「ゃ、そもそも説明自体を求めてなかったから。発情期の意味くらい俺にだって分かるよ。俺が聞きたいのはそう言う事じゃなくて、お前に発情期なんてものあったのか、って事だよ」
「そうですね。万年発情期の旦那様には想像しがたい事かもしれませんが、私にも発情期くらい存在しております」
「そ、そうか」
「旦那様、何をお照れになっておられるのですか?」
「い、いや。なんでもない」
「そうですか。では続けますが、今までの話は前振りの冗談ですので気にしないでください」
「おい!?」
「…如何なさいましたか、旦那様?」
「今、さらりと俺の純情全てを流したな、お前」
「旦那様は相も変わらず妄言がお好きですね。純情な旦那様などどこを探しても存在しているはずがないと今この場で断言いたしましょう」
「俺の純心は、今穢された!」
「旦那様を穢してしまいました……ぽっ」
「おま、何本気で照れてやがりますか!?」
「それはそうといたしまして、飛竜達の子育てを見ておりましたら私も行いたくなりました。旦那様、赤ちゃんが欲しいです」
「…それは、冗談じゃなかったのね」
「冗談でこのような事を申し上げる事はございません」
「そう、か。…赤ちゃん、か」
「はい、赤ちゃんです」
「欲しいのか」
「はい、欲しいです」
「で、お前は欲しいと言ってぽんと出てくるものだとでも思っているのか?」
「旦那様、私はそのような子供ではありません。ちゃんと心得ておりますとも。心得ているからこそこうして旦那様の元へ参ったのではありませんか」
「……」
「旦那様?顔が赤いですよ?」
「うるせ」
「はぁ。…それで旦那様、赤ちゃんの件ですが」
「実はそれも冗談でした、とか」
「いえ、そうではなく」
「あ、そうなのね…」
「何を落ち込まれているのかは追及いたしませんが…………そろそろ旦那様のお返事を聞かせていただいても宜しいでしょうか?」
「返事?何のだよ?」
「赤ちゃんを…恵んで下さるか否かを、です」
「くっ、仕方ない。こうなったら俺も男だ。やるさやってやるやってやろうじゃないか!!」
「……旦那様」
「そう潤んだ目で見つめるなよ。俺だってやる時はやる、それだけの事だ」
「流石は旦那様。では、未だかつて創造神以外誰もがなしえなかった生命創生を行うと言うのですね」
「え、いや、そ…そんな大げさなものじゃなくね?」
「大げさなものではないとは、流石は旦那様。では、私は名前を考える事に致しますので、旦那様の方はよろしくお願いいたします」
「え?あれ??ちょっとま」
「では失礼いたします」
「って、……何で行っちゃうんだ、って俺一人で赤ちゃんを作れと?……創造神以外、生命創生、俺一人――――ま、まさか人工生命体、ホムンクルスを作れ、と?………んな無茶なー!?」
本日の一口メモ〜
地味に続きます?
いや、続かないよ?
ちなみに旦那様はやればできる子です!
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旦那様の今日の格言
「神をも恐れぬその所業…ふふふ、いいさ、やってやろうじゃねぇか」
メイドさんの今日の戯言
「旦那様、ふぁいと」