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harem!〜カオス煮、いっちょ上がり!〜  作者: nyao
o メイドさんとご主人様
127/1098

ど-95. 見てはいけない、でも見たい


未知とは即ちロマンです?


「ドアがそこにあると開けてみたくなるのはヒトの心情ってものだと思うよな?」



「ちなみに旦那様が悩んでおられるのは通称『開けずの扉』と呼ばれているモノです。努々開こうなど考えぬよう、お願いします」



「ああ、分かった。判ってる、解っているよ」



「と、言いつつ何故旦那様の手がドアへと伸びていっているのですか?」



「不可抗力だ。開かずの扉と聞いて開けようとしない奴がいるか?」



「後悔しても知りませんよ?それと開かずの扉ではなく、『開けずの扉』です。間違わないで下さいまし」



「…開けずの扉?開かずの扉と何が違うんだ?」



「開かずの扉はどうしても開かない扉です。そして『開けずの扉』とは誰も開けようとしない扉の事でございます」



「……む、向こう側に何があるんだ?」



「言えません。こればかりは旦那様の命とあっても、口を開くわけには…」



「どうしてもか?」



「どうしても、でございます」



「「……」」



「お、お前がそこまで言うものがこの先に…ごくっ」



「旦那様、あらかじめ申し上げておきますが、見れば必ず後悔いたしますよ?」



「ふん?俺が後悔?これでも世の中の粋も辛いも見て味わってきたお前の主人さまだぞ?こんなずっと住んでる屋敷の中の、たかが扉の向こう側にあるもの程度で後悔なんてするはずないだろ?」



「旦那様がそうまで仰られるのでしたら止めはいたしませんが、私は注意いたしましたよ?」



「くどい」



「……では、旦那様のお心のままに」



「おう。では、御開帳…ごくっ」



「………ふぅ」



「――」



「……旦那様、もう扉を閉めてもよろしいでしょうか?」



「――」



「では、失礼しまして。閉めさせていただきます」



「……はっ!?」



「旦那様、ご気分はいかがでしょうか?」



「後悔した。見なきゃよかったと今になって心底悔やむ」



「そうでしょうとも。私は事前に申し上げましたよ、必ず後悔します、と」



「あぁ、本当にその通りだったな。確かに、これは『開けずの扉』にふさわしいな」



「はい。何と言っても原初の白龍『ルーロン』様のいらした時代から存在しているものらしいですからね」



「…正直、初めてみたな。これ、もしかして聖遺物か?」



「はい。私はそう聞き及んでおりますが。聖遺物――人の死に集い、魔を呼ぶモノ。その力、ヒトに扱いきれず、されど人にしか扱えぬ矛盾した存在。誰もその行方を知らぬモノ。…最もこの場所は強固な結界に守られておりますので魔を引き寄せる心配はいりませんし」



「まぁ、魔を引き寄せたところでお前がいるから、問題もないけどな」



「…そうで御座いますね」



「聖遺物、恐るべし」



「いえ、他の聖遺物はもっと整然とした…武器や防具などの形をしていると聞き及んでおります。なんでもこれだけが特別だとか」



「……あぁ、それもそうだよな。こんなもの、この世に二つとあってたまるか」



「では再びこの扉は鍵を閉めておきます」



「…てか、こんな物騒なもの、物理結界とか張って誰の目にも触れられないようにしろよな。はた迷惑な」



「いえ、それがそうもいかず…」



「何でだよ?…それにしてもお前にしては何か言い淀んだな?」



「それが、実は出るのです」



「…何が?」



「私も、以前は旦那様と同じ考えでした。そして結界を張って誰の目にも触れぬようにしたのです。するとその夜に――」



「よ、夜に?」



「出たのです、夢に。それも毎晩毎晩。今までの生であれほどまでに後悔した事は未だかつて…一度しかないと言えましょう」



「一度って言うのは当然あの時の事で…つー事は実質一番後悔したって事か」



「旦那様も思い浮かべてくださいますよう。アレが、アレが毎晩夢に出てくるのですよ?そのたびに起きて酷い後悔を強いられるのです。アレを悪夢と言わずなんといたしましょう」



「……、た、確かに。俺なら体験したくもないな」



「私も、知っていれば決して結界などかけは致しませんでした」



「…成程。だからここの扉には錠しかしてないのか」



「はい」



「………よし、見なかった事にしよう」



「それが宜しいでしょう」



「じゃ、行くか。俺は何も見なかった。あぁ、見なかったとも」



「さて旦那様、本日は如何なされますか?」



「ん〜そうだな、久しぶりに護衛部の方に顔を出してみるか」



「…きっと護衛部の皆様も喜ばれる事でしょう」



「そうか?しかし、お前にしては随分と殊勝な物言いだな?」



「いえ、そのような事は。それに私が行くと皆様大変喜ばれますので、間違いはないかと」



「………、あぁ、別に俺が顔を見せるから喜ぶわけじゃ、ないのね」



「全く以て、相変わらず旦那様の妄想癖は酷いものですね?」



「うるせっ」



「では、まいりましょうか」



「あぁ。………………一刻も早くここから離れよう」



「……えぇ」





本日の一口メモ〜


聖遺物とは魔と死を呼ぶ危険なものです。

ちなみに何を見たのかはご想像にお任せしますってところで。

個人的には“ぐちゃぐちゃのどろどろ”な感じだと思います?



旦那様の今日の格言

「世の中には知らなくていい事もある、これは真理だ」


メイドさんの今日の戯言

「ちなみに『知らなくて〜』の前に『旦那様は』と言う主語が入ります」


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