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harem!〜カオス煮、いっちょ上がり!〜  作者: nyao
o メイドさんとご主人様
120/1098

ど-90. 繰り返す非日常


性懲りもなく…まさに彼らのために存在する言葉。


「性懲りもなく、って言葉知ってます?」



「私の辞書にはございませんが存じております。旦那様の存在そのものという意味で間違いございません」



「…何故に?」



「何故も何もないでしょう。性懲りのない、と言えば旦那様、これは世の常識ではありませんか」



「いや、そんな嫌な常識、俺は断じて認めないから」



「哀しい事でございます。旦那様がお認めにならずとも、既にこの事は世に知れ渡っておりますので。彼のチュエトリア地方では『夜の旦那は性懲りもない』との言葉もございますし」



「ゃ、それ多分意味が違うから。後、その旦那と俺とは全く係り合いのない別人だから」



「そうでしょうか?しかし夜の旦那様が性懲りがあられないのは確かな事だと存じ上げますが?」



「どうしてそんな結論が出てくるのかを言ってもらいたいものだな」



「では僭越ながら。旦那様、いい加減に“隷属の刻印”を刻まれた方々への夜這いは無理であると、悟られてはいかがですか?」



「……」



「その沈黙が何よりの証拠。全く、ですから旦那様は性懲りがないと言うのです」



「いや待て」



「何か言い訳でも仰られますか?」



「あー、まぁ、そもそもの問題として、だ。………お前、ありもしない事をさも事実のように語るなよ?」



「では先日夜中に東の棟で旦那様のお姿を拝見いたしましたのは?」



「先日…ああ、あれか。あれはだな、ふと妙な魔力を感知したから一体何があったのかと確かめに行ったんだけど」



「なるほど、つまりは旦那様は私が仕掛けた罠に態々掛かりに向かわれた、と。旦那様のご趣味は相変わらず理解できませんね?」



「俺としてはね、むしろいきなり亜次元に放り込まれて七日ほど生死の境を彷徨ったわけですが。その事について何か弁明は?」



「ございません。そもそも旦那様が夜中にそのような場所に赴かねば何事もなかったのでございます」



「…ああ、そう言えばあの魔法、何故か俺の魔力波動にだけ同調するようにご丁寧な仕掛けが施してあったからな」



「ちょっとした出来心でしたが、旦那様もご不幸であられますね?」



「それをお前が言う?」



「私が言わず、他の誰が申し上げましょうか」



「だな。お前はそう言う奴だよ」



「御褒め頂き感涙の極みにございます」



「かんるい、ね」



「何か仰りたそうなご様子。如何なさいました、旦那様」



「敢えて突っ込みはしないが。つかお前は少しくらいは言動をつくろったらどうなんだ、と俺としてはつくづく思うわけだが?」



「何故、繕う必要がございましょう。この身には臆する所など一も御座いません」



「お前ってそれを本気で言ってるからなぁ。時々すげぇ、って羨ましくなるよ」



「そうでしょうか?」



「ああ」



「それは、何ともこそばゆいですね」



「ちなみに厭味だぞ?」



「そんなっ、旦那様は私の心を弄ばれて、そんなに楽しいと言うのですかっ!?」



「……うわっ、すっげぇ理不尽だ」



「そうです。理不尽です」



「いや、お前の口からそんな言葉が出てくる事自体が理不尽だ、って言ってるわけだが」



「旦那様の存在は理不尽の塊ですね?」



「え?それ俺に尋ねてるの?つか俺は別に理不尽の塊なんかじゃないからな?」



「旦那様がそのような事を仰られても実に説得力がございません」



「わあ、さっきからこいつにだけは言われたくない、って言葉を連発されてる気がするなぁ」



「それはどのよな意味でしょう?」



「そのままの意味だよ」



「旦那様が時折しか正常な御言葉を吐かれないのは既知の事で御座いますのでよしとしましょう」



「よくねえよ、てか、俺の言葉はどこまで信用がないんだよ!?」



「それは………、旦那様、話の輿を折るようで申し訳ないのですがよろしいですか?」



「あん?つーかお前が話の輿を折るのはいつもの事じゃねぇか。いまさら遠慮せずに言えよ。遠慮されてるとそっちの方が何かあるんじゃないかって不気味だ」



「では。旦那様、今のこの状況がまさに『性懲りもなく』ではございませんか?」



「……」



「……」



「……」



「さて、話を戻すとして、お前性懲りもなくって言葉知ってる?」



「はい、存じております。旦那様の代名詞でございますね?」



「違ぇよ。お前の存在と不毛極まりないこの会話の事だ」



「不毛極まりないとは…そんな」



「いや、それはちょっと言い過ぎだったかもしれないけどな、毎度毎度パターンが同じ過ぎるんだ」



「…成程、それはそうですね。ならば旦那様が被虐思考の持主である、という根本的問題をどうにか致しませんと」



「それは色々と間違ってると思うんだ、俺」



「では早速プランを練ってみる事といたしましょう。旦那様、申し訳ございませんが本日はこれにて失礼させていただきます」



「って、聞いてねぇ!!もしかして?や、もしかして俺ってまた『性懲りもなく』墓穴掘ってるのか!?」





「さて、どうでしょうか?」





本日の一口メモ〜


いつ平和な彼らの日常です。この物語はそんな淡々とした日々を書き綴っております……と、今更ながらに言ってみる。



旦那様の今日の格言

「だから、ヒトは過ちを繰り返す」


メイドさんの今日の戯言

「旦那様は過ちそのものですが」


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