表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1095/1098

 REVERSAL-08

久しぶりなのでキャラクタ変わってる? かもしれません。


跡で読み返して帳尻を合わせよう。まずは何より先に投稿だ!

「……いま、なにが?」


つい今し方、目の前で起きた出来事が少女――朝霞あさかゆうは信じられないものを見たように、大きく目を開いたまま固まっていた。

羽を生やしたゴリラが現れた、それはまだいい。たとえ16年の生の中で初めて見た生物であったとしても、ここは“彼女にとって”異世界だ。何も問題、と言うより今更その程度で驚いたりはしない。

だから驚いたのはもっと別のこと。

46閃までは“数えられた”。けれどそれ以上は無理だった。この世界に着てから何故か強化されていた夕でさえ視線で追えない、どころではない。一体どれほどの回数斬り刻めば5メートル超の生物が肉片一欠片すら留めずに血の花火になって弾け飛ぶと言うのか。

それを、辛うじて数えることができたのがたったの46回。


――彼女は知らない。例え一振りだとしても紛れもなくこの世界『最速』の連撃を目で追うことができたと言う事実の凄さを。



「わたしはさすらいの旅人ラライ。そう言うわたしは誰ですか?」

「えっ!? ……いや、ラライ、さん? じゃないの?」

「私の名前を知っている!? ……中々、出来る」

「えーと……」

「うにゅ? ……はっ!? いや待って、今はそういうときじゃないから。落ち着いてー、しっかり意識を保つのよ、ふぁいと、わたしっ」

「……」

「……んっ、まだちょっと頭がぼっとするけどこれくらいなら何とかっ――お願いだから灼眼あなたは出てこないで!? 多分、絶対いろいろとややこしくなるからっ!!」

「……」

「ぁっ」

「……えー」


何だろう、このひと、色々とあぶないひとだったり?


「こ、こほんっ、ふふふふふー、そこまで呆けられるということは私の冗談もまだまだ捨てたものじゃないですねっ!」

「は、はぁ……」

「とっ、とにかくっ、今のは軽い冗談っ、ジョーク。或いは腹芸! 何か変なこと言ったり一人で変に喚いたりする変な人じゃないから!! そういうのは全部レム様なんですっ!!」

「えっと、まあ、はい。わ、わかりました」

「ほ、……ほんとうに?」

「……まぁ」

「あー、うー、うぅぅぅ、なななならいいですっ!」

「……」


すごく恥ずかしがってらっしゃるのはよくわかった。顔真っ赤にして、口調も早口だし。

でも美人ってずるい。女のわたしから見てもこういうの、可愛く見える。必死っぽいのがなんとなく助けたくなっちゃうとか、頷きたくなっちゃうとか、みたいな――なんて思ったり。


そのわたしの“認識”は一瞬で吹き飛ぶことになる。


「で、――貴女の方こそ何者ですか?」

「――ぇ」


そこに、一瞬前までの彼女はいなかった。

あれ、なんだろ、急に寒く……?


「この世界には在ってならぬ黒髪黒瞳を持つ貴女は一体“何”ですか?」

「ッッ」


眠たげだった半開きの目、いつの間にか彼女はその瞳でしっかりとわたしの姿を捉えていた。

変わったことといえばただそれだけ。一瞬張り詰めたような空気は今はもう霧散しているし彼女――ラライと名乗った女性もただわたしを見ているだけであってそれ以上でもそれ以下でもない、はず。

彼女に悪意はない、害意もない、それはわかる。分かるけど、なのに震えた。震えが止まらなかった。


怖い、怖い、怖い、こわいこわいこわいこわいこわい


どうしようもなく震えていた。訳が分からない。

この理不尽極まりない“異世界”に着てから命の危険なんて、むしろ感じない日のほうが少なかった。何度も死にかけたし、絶望もしかけた。

――あぁ、“そういう意味”では師匠と一緒だったあの時間のなんて安らかだったことか。いやだからって師匠に感謝なんて絶対しないけど。

でも目の前のコレは違った。貞操の危機とか死ぬとか……違う。


次元が違う、格が違う。

根本的ニ意味ガ違ウ。


「……」

「ああ、そんなに怖がらなくてもいいですよ? というよりそこまであからさまだと流石に傷つくのですが……わたし、そんなに怖いですか?」

「……ッッ」


口を開こうとしたけど歯がガチガチと鳴るだけで声は出せなかった。出たとしてもソレは悲鳴だった、気もするけれど。


「えっと、困りましたね。私としてはただレム様の匂いのする貴女がレム様とどんな関係なのかが気になっただけなんですけど……」

「……」

「はぁ、まさかここまで怖がられるとは思ってもいませんでした」

「……」


足、すくんで動かない。

声も、目の前の彼女が何か言ってる気もするけど正直頭の中に入ってこない。


「う~ん、どうしたものでしょう……?」


いやだ、こわい。ここにいたくない、にげたい、でもからだうごかない。

いやだ、いやだいやだいやだいやだいやだっ!!!


「……と、言うよりコレは流石に怖がられすぎる気が、」

「い、」


体が光る。周りが染まる。いつか、見たことがあるような光景。でもわたしはしらない、何も知らない。

だってわたし、何も悪くない!


目の前が真っ白に染まって、そこからの“わたし”をわたしは知らない。



◆◆◆



既視感を覚える暖かな光に周囲が満たされる中、ラライはその暖かさに意図せず胸を高鳴らせた。

けれど即座に否定する。

これは“彼”じゃない。まだ名も知らぬ、つい先ほどであったばかりの彼女が発したものであり、“彼”のものでは決してない。

その証拠に、何故ならその暖かさは見せ掛けだけの偽りのモノだったから。


「――ぜんぶ」

「?」

「わたしがころしたいのちも。わたしがころされたいのちもぜんぶがうそ。だってわたしはしらない、こんなの知りたくないっ!」


名前も知らない彼女ユウが言っている意味はラライには分からない。

何を言っているのか、何を言おうとしているのか、何を伝えたいというのか。

ただ分かるのは何かを絶叫して、心の底から何かを懸命に否定しようとしているということだけ。


だから、それは決して“彼”のもの足り得ない。


「……状況が著しく理解できませんが、一つだけ忠告しておきます」


いつ抜いたのかさっぱり覚えていない愛刀を握りなおして、ラライは刃を反しその切っ先をユウへと向ける。


「正気を保ちなさい。“それ”は力であって“あなた”ではない」

「うるさいっ、うるさいうるさいうるさいっ! わたしはこんなセカイ認めない、バケモノなんて知らないっ、ヤクサイなんて知らないっ、『魔王』なんて、『勇者』なんて、そんなのそんなのそんなものっっ!!」


よくわからない、どうにも話の通じていないユウの様子にラライは大きくため息を吐いた。


「……もう何なんでしょうねぇ。私はただなんとなく、レム様の匂いがしたから来ただけなのに。もしかしなくても“また”何か厄介ごとを押し付けられちゃったかなぁ~?」

「わたしはただっ、元の場所セカイに帰りたいだけなのにっ!!!!」

「元の世界、それにその髪と瞳のいろ……あー、なんとなくだけど分かってきました。もしかして今世間で噂になってるイセカイ? からの『勇者』サマってことですか。……あれ、でも『勇者』って確か男の子だって聞いたような?」

「こんなっ、こんなの……ああああああああああああああああああああああああ!!!!」


ユウの周囲が物理的に爆発する。

ただ放っていた光が直接物理的な破壊の力に転化されたその瞬間、その胸中の憤りをぶつけるようにユウはラライへと向かっていた。


恐怖する――それは理不尽セカイの写し身たる女神の愛子まなこであるが故に。女神の系譜はただそれだけで、そこにあるだけで最早恐怖の対称にしかなりえない。

憤怒する――それは理不尽これまでの全ての不幸が意図せずも女神へと繋がっている事を直感で理解している為に。その理不尽を女神の系譜へと嘆く。


これまで溜めていた、或いは溜めていたことすら本人が無自覚だったソレは理不尽きょうふを以って理不尽ふんぬとして爆発した。

或いはただ、その身に宿っていたユウ自身知らないはずの暴力を手負いのケモノの如く際限なく周りに撒き散らすだけ。


「きょわっ!? 何いきなり、」

「わあああああああああああ!!」


振るう、振るう。技もなく、力もなく、ただただ振るう。

目の前のモノを排除する/排除しなければ。訴えるのはただその本能だけ。


「きゃ、危な……、力、暴走してる?」

「ああっ、ああああ、ああああああああ!!!!!!」


消す。消さなければ。殺す。殺さなければ。

アレはだめ。コレはだめ。敵対してはいけない。相対してはいけない。

やらなければ……殺らなければただ殺られるだけっ!!


だから振るう。ただ力を振るう。がむしゃらに、懸命に、それこそ命をとしてユウは暴れ続ける。ソレしか残されていない。


「――ふう、仕方ないので『ガス抜き』に付き合ってあげます。えっと……、……? て、あ、まだ私、あなたの名前も知りませんでしたね。まあコレもレム様の言うところの“運命”とやらなのかな? 著しく人為的な気もするけど……あぁ、レム様っていつもこんな感じで姉様と戯れてるのかなぁ、っとと」

「あああああああああああああ!!!!!」


暴風、暴圧、暴力。

振るわれる全てをラライは紙一重で避けていく。この程度――ケモノの如きそれでいてノロいだけの一撃など何度来ようと当たる気がしない、

常人ならば初撃で肉塊になっていてもおかしくない暴力の嵐だとしても、【灼眼】ラライにとってはその程度でしかない。あるいはユウ自身、それを無意識に理解しているからこそ、ラライを相手として選んだのかもしれないが。


「あ、コホン。では――名も知らぬ貴女。まずは殴って黙らせる。詳しい話はそれからです! ……で、良いんだったかな、こういう場合って?」


少しだけ悩んだ上で、ラライは考えることを放棄した。


「なせばはる、ならなかったら……うん、ぜんぶレム様のせいだからっ!」

「ああ! ああああ!!! ああああああああああ!!!!」

「――じゃ、ちょっとだけ痛いと思うけど、我慢してくださいね?」


直後、見えなくなったラライの姿は理性なく暴れ狂うケモノ如きに捉えられるはずもなかった。



だれかっ、このストーリがどこに向かってるのか教えて!?

という感じで勝手に動き回る登場人物たち。

もう勝手にしろや、とか考えるとシャトゥとか魔法少女プリティ・リューン(笑)とか最終残念思念体ルーロンとかのシリアスブレイカーどもが右往左往しだすので困ります。

まあ、気楽にいきましょう。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ