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俺の時代が・・・! はい、未来永劫きません

唐突に関係のない話です。


このお話は、ストーリ? という感じな話です。

むしろメイドさんと旦那様の会話がメインであってストーリなんておまけです、的な。


自分でもひどいと思いますが、リハビリ、かな?

「――くくくっ」


「……?」


「クハッ、」


「72」


「……ゃ、違くて」


「つまりは何事でございますか、旦那様。仰りたい事があるのでしたらさっさと吐け、いえ口が過ぎました」


「本当に過ぎてるよ!?」


「私の口が過ぎるのはいつものことで御座います」


「……ゃ! それはまぁ、確かにその通りなのだがっ、その通りなんだけどっ!!」


「如何致しましたか、旦那様?」


「それって絶対本人が言うことじゃないだろうが、おい!」


「私の“おくちてくにっく”に旦那様もめろめろです。“おくちてくにっく”に旦那様もめろめろです」


「何故二度も言う?」


「取り立てて重要では御座いませんが無駄に二度申し上げてみました。旦那様が私にめろめろなのは公然の秘密ですので今更取り立てることでは御座いません。―-旦那様は私にめろめろです。これは極めて重要なことなので繰り返し申し上げてみました。意図は旦那様を無意識下から洗脳するためで御座います」


「ろくなこと考えてないのな、お前!?」


「はい。私は常に碌でもない旦那様の事しか考えておりません」


「それは、随分と、俺が言いたかったことと違うよな!?」


「旦那様が仰りたい事は重々承知しております。そしてご安心くださいませ、旦那様。私はいつでも旦那様の告白は受付中で御座います」


「ハハハ、何ヲ安心スレバイイノカ分カラナイヨ、オレー」


「では事細かに、詳細に、これでもかというほど濃密に説明致しますが、」


「いや、しなくていい。しなくていいから、そんなこと」


「!!」


「……ゃ、何を何故にそこでそんなに驚く必要があるんだ?」


「そう、で御座いましたね。私のことなど旦那様にかかれば裸も同然ということで御座いますね。そして旦那様に常に視姦されている私」


「――お前、沸いてんの?」


「いえ、旦那様の妄想は旦那様の妄想の中だけで押し留めておいて頂くよう、誠心誠意の欠片も持ち合わせずにお願いしたかっただけで御座います」


「それは何か、つかお願いとかする気もないだろ全然つか妄想ってなんだよ、妄想って!!」


「旦那様、まずはご自身の胸に手を当ててみてくださいませ」


「はぁ? 自分の胸に手を当てて聞いてみろって? はんっ、んなもの、こうして聞いてみたとしても俺にゃ、微塵もおもいあぎょぇ!!??」


「と、このように胸に手を当てれば人体の急所の一つである腹部ががら空きになります。くれぐれもお気をつけくださいませ、旦那様」


「げほっ、ごほっ、がはっっ!!??」


「旦那様、大丈夫で御座います」


「ぜ――んっ、ぜんぜん大丈夫じゃねえよ!? つかヤったのはてめぇだ、なに大丈夫とかてめぇがほざいてるんだよ!? そもそも何がしたいんだよぅ!!??」


「……もう一発、ご所望で御座いますか?」


「ごべんなざい」


「惚れ惚れするほどの屈服姿勢に御座いますね、旦那様。確かそのポージングは『土下座』というのでしたか。そして私は今こそ目の前に差し出された旦那様の頭を踏み砕いてみるべきか、みるべきか、大いに悩みます」


「いや微塵も悩んでないだろ、それっ、つか止めて!?」


「そもそも旦那様は何に対して謝罪を行っておられるのですか?」


「え、そりゃ……」


「そのように旦那様が軽々しく頭を下げられては、旦那様のモノたる私どもまで軽く見られてしまう危険性が御座います、あまりそのような軽率な態度は、……旦那様ですので仕方御座いませんか」


「何が!? と、言うか、俺が頭下げてるのはお前で、つか元凶がお前で、俺っつーかお前が全面的に悪くって……、あれ、何で俺が謝ってるんだよ? 俺微塵も悪くないじゃん!!」


「その通りに御座いますね、旦那様。ですからそのような軽率な行動は、控えろとは旦那様相手に申し上げませんが、せめて私の目の前でもう一度這い蹲ってください。今度こそ迷いなく踏み砕いてみせましょう」


「『せめて』の意味が分からねえよ!? てか頭踏み砕くとか宣言されて這い蹲る馬鹿はいねえよ!?」


「私は過去にそのような理解不可能なことを申し上げてくる殿方を64,315人ほど拝見したことが御座います」


「マジでかっ!!??」


「はい、内一人は、申し上げる必要もなく目の前におられる旦那様で御座います」


「いや、そんなこと言った覚えないし、俺」


「『殴りたいなら殴れ。俺のことを殴りたいなら好きなだけ殴れよ、ああ、いいぜ』との言葉は嘘だったのですか?」


「……」


「旦那様」


「……あー、それは、ほら、あれだ、今はほら、あの時とは時と場合と状況が違うから、つかお前もよくそんなこと覚えてるよなぁ、おい」


「私が旦那様を好きなだけ殴れる言質を忘れることは御座いません」


「……」


「と、言うのは理由の1厘ほどで、残りは旦那様の私共へのお言葉ならば一字一句、そのときの旦那様の表情や雰囲気、態度、空気にいたるまで忘れるはずが御座いません」


「それはそれで、何と言うか、まぁ……頭の無駄遣いじゃね?」


「ちなみに“旦那様の寝顔集”は私の記憶を頼りに売り出しておりますが中々の売れ行きに御座います」


「売れ行きって何!?」


「……おっと。これは旦那様には秘密にしていることに御座いました。どうぞ、お忘れいただきますよう、宜しくお願いいたします」


「忘れろって無理だよ!? て言うかココは俺、問い詰めて良いところだよな、だよなっ!?」


「対価として私の寝顔集でございますか? こちらでございます、どうぞお納めくださいませ」


「は? ンなこと誰も言ってねえよ……」


「と、口では殊勝な事を仰りつつもお受け取りになられるのですね、流石は旦那様」


「あ、いや、これはつい反射で……というかお前はなんでこんな物作ってんの? いやそもそも何故に持ち歩いてる?」


「私は、今までの私どもの言動、場の雰囲気、会話の流れ等、一から十までが全て私の想定通りに御座います、とはあえて申し上げることはいたしません」


「いや、それ言ってるから、既に言ってるからな、それ!?」


「ちなみにこちらには“悩殺ポーズ集~旦那様へ愛をこめて~”をご用意しておりますがご入用、御座いますでしょうか?」


「本当に何作ってんの、お前!?」


「そうで御座いますか、必要御座いませんか。それは誠に残念、」


「……あー、いや、ちょっと待て」


「はい、旦那様」


「あー、んー、その、なんだ? “悩殺ポーズ集”とやら、ちょっとだけ興味があるな。み、見てみたいカナー、なんて」


「どうぞ、旦那様」


「――なななんだよ、その目はっ!? 言いたいことがあるなら、」


「いえ、今旦那様に申しあげることは御座いません。どうぞ、存分に“お楽しみ”くださいませ?」


「……くっ、なんだこの敗北感は」


「……ふふっ」


「ど、どれ。では早速――」


「……」


「……」


「……」


「……」


「……ためしにシャトゥに見せたところの感想では『グハッ!? か、母様もう許して!!! がくがくぶるぶる』だったのですが如何でしょうか?」


「……」


「ああ、ついでにシャトゥはそのあと地下迷宮に叩き込んでおきましたが、……旦那様?」


「……」


「旦那様!」


「あ? あ、ああ。いや、うん、まあ……」


「如何でしたでしょうか?」


「えー、あー、一つ、重要なことを言っておく」


「はい」


「いや、その前に確認だな、うん」


「確認で御座いますか?」


「――コレ、他にもあったりするのか?」


「いえ、御座いません。いくつかのポーズは場の空気に呑まれしまい、少々調子に乗りすぎたポーズも御座いまして……流石の私のも恥ずかしいので、ソレ一冊、旦那様にお見せする用しか用意してはおりませんが。それが如何されましたか?」


「そうか。これは現存するのは一冊だけか。ふー」


「然様で御座いますが、如何なさいましたか?」


「よし、じゃあ言うぞ!」


「あ、はい」


「こういうの、今後作るの一切禁止な、お前」


「成程。つまり旦那様の私の艶姿はほかのモノに見せるつもりはないという、独占欲かつ嫉妬心でございますね、分ります」


「その通りだ」


「……ぇ」


「あん?」


「……」


「?」


「……ぃぇ、何でも御座いません。失礼いたしました」


「まあ、手かこんなものが世界にばらまかれるとかしたら……チッ、世界滅ぼす気でもあんのか、てめぇ」


「そうですか。旦那様が他の者には見せたくないと……ふふっ、旦那様がそこまで仰られるのでしたら致し方御座いませんね」


「? 何かやけに嬉しそうだな、お前」


「いえ、そのような事実は御座いますが」


「??? よく分らんが……――はっ、何か突然閃いた! 今がチャンスかっ!!」


「……ふふっ、多少のことで御座いましたら今ならば見逃して差し上げましょう」


「何か、内容的にとても恐ろしいことを言われている気がしないでもないが、まあいい!! 今が良ければそれでいいさっ!」


「それで旦那様、何か思いついた、とのことですがどのような碌でもないことを思いつかれたのですか?」


「ふふ、聞きたいか。そうか聞きたいか!」


「いえ、それほど聞きたいわけではございません」


「……き、聞きたいか。聞きたいよなぁ! いや聞きたいって言えよ!?」


「では『聞きたい』、と」


「そうか、聞きたいかー、なら仕方ないなあ、ハッハッハッー!」


「一応、そう申し上げておきましょう」


「んっ。で、なんだがな、」


「はい、旦那様。この際もう仕方がないのでお聞きすることにいたします。如何なさいましたか?」


「ここで一つ、俺はお前に重大な発表をしなければいけない」


「発表、でございますか?」


「ああ。と、言うか閃いたとか思いついたとかじゃなくて、そもそもさっき言い出そうとしてたことを思い出しただけなんだが」


「ああ、旦那様。そのような意味のない前置きは結構ですので、どうぞ本題だけを簡潔に申し上げてくださいませ」


「う、うむ。まあ、軽く言うとついに時代が俺に追いついた、みたいな?」


「そうですか、それはおめでとう御座います」


「ありがとう? ……じゃ、なくて!」


「どうかなさいましたか、旦那様?」


「何と言うかお前の反応がどうも今一、いや俺もちょっと軽く言い過ぎたかなーとか思うけどさっ」


「はぁ、つまり何を仰りたいのでございましょうか、私の愚かな旦那様は」


「よ、よし! さっきの、もう一回やり直そう。ちょっと言い方が軽すぎたかな? とか思わなくもないし、やっぱりこういう重大発表には周りの空気とか大事だよな!」


「周りの空気と言われましても、私の旦那様しかこの場にはおりませんが」


「あー、いいんだよ、細かいことはっ! とにかくっ、テイク2だ!!」


「はい。ではテイク2、スター……と?」


「うっしっ!!」




◇◇◇




「クククッ、あーはっはっはっ、げほごほっ!?」


「ああ、旦那様。そのように馴れない高笑いなどなさるから……いえ? 存外そうでもなかったでしょうか?」


「げははははは、ごぼぼぼぼぼっ」


「咽てまで高笑いを続ける必要性があるのでしょうか、旦那様?」


「ぐふっ!?」


「……旦那様、大丈夫でございますか?」


「ついに来たっ、ついにこの時がっ!! 時代がようやく俺に追いついた!! 俺の時代の――到来だ!!!!」


「あくまでご自身の痴態は完全スルーなされるとは、流石は旦那様。何をなさりたいのか、私は理解したくはありませんが」


「細けぇことは良いんだよっ。そんなことより、」


「そんなことより?」


「俺様の時代到来だぜ、ヒャッハー!!」


「では旦那様、お尋ねいたしますがどのような理由を以てして旦那様の時代が到来したとおっしゃられるのですか? 納得のいく説明を求めます」


「……いや、今ここでそんな冷静な質問は、せっかく上げてるテンションを無理やり地の底に引き摺り下ろすような質問は望んじゃいないんだが?」


「それは大変失礼いたしました。では――……うひゃああああ、ついに旦那様の時代の到来ですかっ、すごいですねっ、やりましたね、旦那様っ」


「……何か、これはこれで無性に『てめぇ俺を馬鹿にしてるだろ、絶対』って感じがして酷くムカつくわけだが。――いや、いい。今はこれ以上を望まいでかっ」


「はい、それが正しい選択でございます、旦那様」


「と、言うわけで俺の時代が到来したわけだが、」


「それは既に決定事項なのですね、了解いたしました。はい、旦那様。つきましてはつまり旦那様のお力を地上の者共に見せつける“審判の日”の到来がいよいよ間近に迫ってきた、ということに御座います」


「いや、“審判の日”とか俺は初耳なわけですが……」


「まさかっ、旦那様の口からそのようなテンションを下げるようなお言葉を聞くことになろうとはっ!! 流石の私も思いもよりませんでした!!」


「あ、や、……わ、悪かったよ。クククッ、その通りだな、下々の者共に俺の偉大さ加減を見せつける時がついに来た、つまりはそういうことだ」


「はい、旦那様!」


「――あれ、なんだろ? 何か俺今、取り返しのつかないことをしてる気がしないでもないような?」


「では旦那様、旦那様のすべてを地上の方々に魅せ付けるべき最も効率的なルートと行動計画は既にこちらに用意して御座います。どうぞご確認くださいませ」


「……なんでそんなもの用意してんの、お前?」


「それは当然、まさに今このとき、時代が旦那様に追いつく時を待ち焦がれていたからに相違御座いません」


「あ、そ、そう……あれ? 何か違わね? 俺が思ってた感じとどこか、決定的致命的に違うような気が……」


「最初に落とすべきはやはり大国、そして旦那様の威厳を見せつけたのちに周囲、ついでは世界中の小国、全生物を――」


「ハッ!? いや、否!! 違う、それは大いに違う!!」


「違う、でございますか?」


「そうだっ、お前は大きな勘違いをしている!! 世界とは――俺にとっての世界とは落とすものに非ず! 手中に収めるものにも非ず!! お前は……まだ時代が俺に追いついたという真の意味に気づいていない!!!」


「!!!??? そ、そんな……」


「時代が俺に追いついた? 世界なんて小さなもの、俺が見向きするはずがないだろう? つまりはこういうことだよ、キミ。たとえば、だ。俺が通りすがりの女の子に声をかけるとしよう。するとたちまちその子は俺ににめろ、」


「それは無いです」


「……めろめろに、」


「ありえません」


「めろ、」


「脳内を洗って出直してきてください、旦那様。そして予め忠告しておきますが例え脳内、いえ旦那様の存在そのものを洗い流してきたとしても結果は変わりません。旦那様の不条理は最早世界の真理と申し上げても過言ではないでしょう」


「……」


「おかわいそうな旦那様」


「止めて! そんな目で俺を見ないでっ!? ――つか俺が何したって言うんだよ、コンチクショウめー!!!」


「旦那様が何をなされたか、ということを今更お聞きしたいのであれば不詳ふしょうこの私が一から十まで朗読して差し上げますが、如何なさいましょうか」


「……ほんと、こういうときに物覚えが馬鹿みたいに良い奴が身近にいると厄介だよな」


「旦那様との想い出、もとい旦那様観察記録です。忘れるはずが御座いません」


「ねえ、何で今言い直したの? ねえ、何で!?」


「ちなみにこれまで旦那様が『……ふっ、ついに俺の時代の到来か』『世界よ、俺は帰ってきたぞー!』『俺の伝説が、今……始まる』『結婚しよう!』はい、喜ん――」


「や、それは言った事ないから」


「……」


「ないからな?」


「……『今宵、俺の魂が震えるぜ』『――さて、じゃあはじめるか』等の、意味がありそう且つまったく無意味の発言をなさった回数は総計659,465,231回であり、その言葉が達成された或いは意味があったためしは0です」


「そんなこともあった、カナー?」


「旦那様、事実ははっきりと申告した方が良いと進言いたします。と言うよりも今までそのような事しか御座いません」


「ふっ、いつの時代も真の英雄と言うものは誰彼も理解されないものなのさ」


「然様で御座います。つまり旦那様は今、『俺ってば誰からも理解されない真の英雄ぼっちなんだぜッ!』などとほざいたと言うことで御座いますね」


「あ、や、違」


「ですがご安心くださいませ、真の英雄(恥)こと旦那様」


「(恥)って何だ!?」


「幾星霜の凡百、他の誰が理解せずとも旦那様にはこの私がおります、私が旦那様を理解します。故に誰からも理解されない――孤高の王、英雄などに旦那様をさせはしません」


「……」


「最も英雄などと、旦那様はそのような器では御座いませんが」


「って、おまえなぁ!?」


「正確に申し上げるなら、その“程度”の器ではないと言うことですが……今は良しとしましょう。それよりも旦那様?」


「あ、何だよ?」


「僭越ながら、英雄(笑)の立場なら直ちにご用意できますが如何なさいますか? 英雄 (ぷ) も準備はできております」


「や、だから(笑)とか(ぷ)とかって何……いや本当に(ぷ)って何!?」


「知ってます? 英雄などと世間でもてはやされてはいても大半の英雄サマは世間で言うところの無職、”ぷーたろぅ”? と言うらしいですよ?」


「何か色々とぷっちゃけちゃってるけど止めて!?」


「世間からの評判を抜かせば所詮は無職(下)ですからね、無職(笑)です。そして旦那様も無色で御座いましょう?」


「いや、俺は――って、今何かニュアンスが違わなかったか?」


「いいえ? 色欲の欠片もない旦那様は無“色”であると、間違っておりません」


「いや待て、その認識は改めよう。俺だって色欲の一つや二つ持ってるぞ?」


「つまりは一つ二つしか持ちえていないと言うことで御座いますね?」


「や、だから、」


「そもそも正常な男性であるのならばこの私を見て目の色を変えないはずがないのです。まず旦那様はそこからおかしいです」


「いや、それはなぁ……というかいつのまにこんな話になった?」


「旦那様、話題をそらさないでくださいませ?」


「逸らしてる、って訳じゃないが……」


「そうですね。では率直にお聞きしますが旦那様は私に欲情しますか?」


「何か色々とはっちゃけ過ぎだ!?」


「残念なことに私の発情期はしばらく先ですので直ちに旦那様にお応えするというわけには参りません」


「いや、そもそも何で俺が欲情しちゃってる前提で話し進めてんの、お前!?」


「心拍数の上昇率と発汗の度合い、目線の向きに声の震え具合……分かりやすいのはこの程度でしょうか。他にも数十点御座いますが説明が必要でしょうか?」


「いや、いい。そもそもお前に隠し事とか、そういうのを考える時点で間違ってたわ」


「はい、旦那様。――ですが私としては旦那様の変態度合いがその程度であると言うことに些か憤りを感じるのですが、八つ当たりをしても宜しいですか?」


「駄目。と言うか何か非常に理不尽な理由で八つ当たりとか言われた気がするんだが?」


「旦那様の理不尽は世の常、とは先ほど申し上げましたね」


「何だろう、その理不尽の九割方にお前が関わってる気がするのは気のせいじゃないよな?」


「そこにシャトゥを入れればば約十割で御座います、旦那様」


「……なんだろうな、もう何か色々と諦めるしかないって気がする」


「それはあまりにも今更過ぎる発言であると忠告いたします、旦那様」


「まあ、そうなのだが……って、違う違うっ!!」


「旦那様?」


「せっかく時代が俺に追いついた、これから先はすべてが俺の時代だって言うのに何で俺はお前なんかに振り回されなきゃいけないんだよっ!? 違うだろ、そうじゃないだろ、俺!」


「そもそも旦那様の時代など未来永劫訪れることは御座いません、それが理由で御座いましょう、旦那様」


「……」


「『俺の時代が……』などと言う戯言は、せめて少しでも“本気”になってから申し上げていただきたいものですが? で、あるならば私も全力を尽くし、時代を旦那様に従わせましょう。いいえ、むしろ今から実行に移しましょうか。時代が旦那様に追いつくなど素敵なことでは御座いませんか」


「……御免なさい、俺が悪かったです」


「それはまことに残念に御座います、旦那様」


「……ふっ、俺に時代、か。それが来るのはまだ早かったようだな」


「仰るとおりに御座いますね、旦那様」






「――時代よ、早く俺に追いついて来い。俺はいつでも待ってるぜ」




「では、旦那様のお望みどおりに、」


「止めて!? お前が動くともう色々と駄目な所まで逝っちゃうからっ!?」


「しぶしぶ、了承いたしました、旦那様」


「……ほっ。つか、俺は自分の言動一つ一つにまで気をつけなきゃいけないのか、何の縛りだよ、コレ」


「旦那様の言質さえ頂ければ即座に全てを実行に移す準備が整っております、と微力ながらも手を尽くした私がご報告しておきましょう」


「なにか、もう、色々と……俺の時代、まだまだ遠いなぁ、はぁぁぁぁぁぁぁぁ」


「本当に。そうで御座いますね、旦那様」





久しぶりだと物語の続きとかよりもまず先にメイドさんとレム君をだべらせたくなるという悪癖。


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