表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
harem!〜カオス煮、いっちょ上がり!〜  作者: nyao
それはさておき、
1086/1098

 ど-628.きょうがくの真実

驚愕の事実がついに発覚・・・・・・とかでは断じてない。


「好きな人が……できました」



「へー」



「それは――旦那様、貴方です」



「ほー」



「……」



「……」



「……反応が薄すぎでは御座いませんか、旦那様?」



「お前は俺にどんな反応をしてほしいんだ」



「驚くなり感動するなり歓喜するなり喜び狂って奇声を上げるなり、存分にその魂を打ち振るわせてください」



「いや、無理だろ。普通に」



「……」



「そんな目で見られても無理なものはム・リ!」



「そんな目とは、私は今どんな目で旦那様を見つめておりましたか?」



「ゃ、見つめるっつーか、睨、」



「私はどのような眼差しでしたでしょうか」



「……まあ、打ち捨てられて今にも餓死しそうな、子犬?」



「左様で御座いますか」



「100パー嘘だが」



「嘘なのですか?」



「ああ。お前が子犬みたいな目? んなの普通に考えてありえないだろ」



「そうで御座いますね。同意いたします」



「どちらかと言うと獲物を虎視眈々と狙う狩人の、」



「……」



「あー、ごほんっ、…………ちょ、ちょっと泣き出しそうな感じの女の子の目?」



「旦那様、無理に取り繕ってくださらずとも結構で御座います」



「じゃあその今にも肉体的精神的に襲い掛かってきそうな目を止めろ」



「旦那様がそこまでお望みとあらば、直ちに強襲をかけるのもやぶさかでは御座いません」



「だからそれを止めろって言ってるのが分からねえの!?」



「曰く、私はこの言葉を深く信じております。――嫌よ嫌よも好きのうち、と」



「違うからな!? そこは限界とか色々なものをちゃんと見極めてからにしような!?」



「私の目に狂いは御座いません。必ずや、限界ギリギリまで旦那様を追い詰めることをお約束いたしましょう」



「するなよっ! そんな約束しなくていいよ!?」



「旦那様は何故そのような、パンが足りなければ旦那様の分を取り上げればいいじゃない、的な正論をお吐きになられるのですか」



「違うからな、それ、ぜんぜん正論違うよな!?」



「つまり、やはり私は旦那様を限界ギリギリまで追い詰める必要がある、ということで御座いますね」



「違ぇよ、だから、つか何でそこに戻ってるの!?」



「私が旦那様を追い詰めずして誰が旦那様を追い詰めるというのですか」



「別に誰も追い詰めなくていいよ!」



「何人たりともその役目を譲るつもりは御座いません」



「そもそもそんな役目とか、ないからな!?」



「分かっております」



「なら、い」



「旦那様がひた隠しになさるそのお気持ち、世間で見てさげずみ罵られる類であろうその性癖、そして旦那様の性感帯の全て、しかと分かっております」



「んな性癖ねえ、つか、いや! 俺の性感帯の全部とかって、それ何!?」



「例えば、ここですね。耳の裏の辺りをこう、一撫で――」



「ひゃぅ!?」



「と、こうなります」



「……」



「ああ、ちなみに今珍妙な声を出されたことに関してはそのように恥ずかしがらずともよいですよ? 致し方ない事で御座いますし、何よりも旦那様の艶声は私しか聞いて降りません。――非常に重要であると思うのでもう一度繰り返しますが、私しか聞いていないので大丈夫です、旦那様」



「何でそこを二度いう必要がある?」



「非常に重要だからで御座います」



「……どこが?」



「感覚的な問題ですのでどこが、と問われると答えるのが少々難しいのですが、敢えて言うならば、旦那様、今の声は気色悪いだけですので、お止めした方がよいですよ?」



「出させたのはテメェだよな!?」



「はい」



「……うわ、今こいつ、比較的嬉しそうに頷きやがった、しかも即答」



「当然です」



「当然です、じゃねえ! つかてめぇが悪い!、全部お前が悪い!!」



「旦那様は大切なものを盗んでいきました。それは私の、」



「心です、とかほざくとしばらくてめぇと口聞かない」



「心配には及びません。旦那様が奪って言ったのは私そのものです。この身体の隅々も、心の全て、魂の一片まで、余すところなく、で御座います」



「何か変わってる! 盗むじゃなくていつの間にか奪うになってるし!! しかも何か勘違いされそうな縁起悪いことを堂々とほざくな!!」



「縁起は良いです。寧ろ私にここまで言わせる旦那様はもっとご自身を誇ってよいと思います」



「……ゃ、誇れとかいわれても、誇れることなんて何一つないし?」



「それほどまでに謙虚な旦那様も、私は大変好いております」



「謙虚違うし。――ま、実際のところ他人に憎まれることはすれ誇れることなんて何一つ、俺自身してないしな」



「……それは旦那様の謙虚が過ぎます」



「つっても、なぁ?」



「旦那様はもっとご自身を誇ってよいのです、調子に乗ってよいのです、そしてその後最底辺まで私が全力を持って叩き落しましょう」



「うん、もう俺このままでいいよな!」



「いえ、そのようなことは御座いません!」



「そこまで俺をぼろくそにしたいかっ!!」



「旦那様は何故にそのように分かりきった質問をなさるのでしょうか、私は不思議でなりません」



「俺もなっ、好きとかその口でほざいた直後に『さ、ボロクソにしてやんZE☆』とか言うお前の性根が不思議でならないけどなっ!」



「全ては旦那様のためを思えばこそです」



「嘘つけ!!」



「私も楽しいのを我慢せず、旦那様をいたぶっております」



「嘘を、……うん、ついてないな、どこも」



「はい、当然で御座います。私は旦那様には一切の嘘を申し上げません」



「……」



「――残念なことに、もうそろそろ時間のようですね。ユウ様が戻ってまいられます」



「あ、もうそんな時間か」



「はい。口惜しいですが、私は一旦、この場を退場し覗き見に徹しさせていただきます」



「いや、覗き自体するなよ?」



「では、旦那様――……彼方から此方より、永久に愛しております」



「……、……、………………知ってるよ、ばーか」



「では、失礼いたします」




枯れ木じゃ山は賑わわない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ