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harem!〜カオス煮、いっちょ上がり!〜  作者: nyao
それはさておき、
1085/1098

 ど-627.こんな話を語らいましょう

こんな日常、どうでしょう?


「旦那様っ」



「……なんだ?」



「私、この度旦那様の旦那様による旦那様の為だけの物語を創作いたしました。どうぞお聞きくださいませ」



「ほぅ、俺の物語、と?」



「はい」



「……、よし、いいだろう。聞こうじゃないか」



「では――あるところに、旦那様が住んでおりま、」



「いや待て」



「はい。いかがなさいましたか、旦那様」



「そもそも出だしがおかしいぞ?」



「? どこかおかしなところが御座いましたか?」



「ゃ……あるところに旦那様が住んでた、とかいう出だしがそもそもおかしい」



「おかしなことを仰る旦那様で御座いますね」



「なんでそうなるっ!?」



「旦那様のための物語なのです。旦那様が出ずして他のどなたを登場させるというのでしょう、この愚図め」



「はい、そこぉ! 自然な流れで罵倒しない!!」



「……では旦那様のリクエストも御座いますし、少々出だしを変えることに致します」



「ああ。つか、はじめからおかしいとか思えよ」



「――では、改めまして旦那様、宜しいですか」



「おう。今度はまともな出だしなんだろうな?」



「お任せくださいませ」



「……一応、信用してやろう」



「はい。では――あるところに、愚図が住んでおりました。『ぐへへへ、」



「いや待てよ!?」



「? どうか致しましたか、旦那様?」



「やっぱり出だしがおかしいぞ!?」



「旦那様、言葉が足りません。もう少々、念話ではなく口頭での説明をお願いいたします」



「そもそも念話なんてしない、じゃなくて。……何、それ、愚図って俺なの、俺のこと? 俺のことだよな、なぁ!?」



「……旦那様、私はまだ愚図としか申し上げておりません。それとも旦那様は、それがご自身のことであるとお認めになられるのですか?」



「いや、それは……というか、最初出だしが『旦那様が住んで~』で、次が『愚図が住んで~』とかだったら疑うだろ、普通!」



「それは旦那様の被害妄想というもので御座います。どうかお静かに続きをお聞きくださいませ」



「……い、いいだろう。そうだな、うん。まだ俺って決まってるわけじゃないし、」



「では――、その旦那様は、ぁ、間違えました」



「ってやっぱり俺のことじゃねえかぁぁぁ!!」



「いえ、私が言い間違えただけです。旦那様、ではなく愚図、で御座いました」



「もういいよ!? 旦那様でもういいから、愚図って言うな!!」



「……旦那様は、旦那様というのはおかしいと仰ったり、やはり旦那様と呼べと仰ったり、どうなさりたいのですか」



「どうもこうもっ……お前が変な出だしで始めようとするからだっ」



「とりあえず旦那様、旦那様の難癖という名の被害妄想は後ほどお聞きしますので、まずは私の物語を最後までお聞きくださいませ」



「……そ、それもそうだな。うん、いちいち突っ込みいれてたらキリないし。……ああ、わかった。とりあえずは最後まで聞こうじゃないか」



「はい、ありがとう御座います、旦那様」



「……突っ込まないぞ、俺はもうどんなことがあっても絶対に突っ込まないからな、うん、突っ込みなんてするものか、してやるものかっ」



「旦那様、準備のほうはよろしいですか?」



「――よしっ、思い込み完了! いつでもいいぞっ!」



「はい。では――昔々、あるところに住んでいた旦那様は周囲に多くの女性を囲っておりました」



「……おぉ、何てうらやましい」



「『ぐへへへっ、今宵はどの娘を鳴かせて見せようか。ぐふっ、ぐふっ、ぐふふふっ』」



「――それは誰の真似、っ……あ、危ない危ない、危うく突っ込みを入れるところだったぜ。……大丈夫だ、俺は突っ込みなんてしない、今こそこれまで培ったスルースキルを見せるときだ、俺っ!」



「そして、ふと旦那様は衝撃的事実に気がつきました。なんと、囲っていた女性は皆、旦那様の妄想の産物だったのです!」



「な・ん・で、だよ!?」



「……旦那様。旦那様はこんな僅かな時間でさえ、黙って話を聞くことができないのですか」



「はっ、しまった! つい無意識で突っ込んでた!?」



「……では続きを話しますので、旦那様はどうかお静かにお聞きくださるよう、お願いいたします」



「あ、ああ、わかった。ただし、文句とかそのあたりは聞き終わった後にたっぷり言わせてもらうから、そのつもりでな!」



「ふふっ、そのようなことをおっしゃれるのも今のうちで御座います、旦那様」



「何故そんな強気……いや、今はいいか。よし、じゃあ続きを聞こうか」



「はい。――そして、真実を知った旦那様はついに世界に絶望してしまったのです。そして、旦那様は世界の中心に向けて、絶望的な一言を叫ばれました。『――俺、童貞ジャン!?』」



「っ、っ! ッッ!!」



「そこへ見目麗しい一人の女性が通りかかり――『……ぷっ』と、鼻で笑ってそのまま通り過ぎていきました」



「ッッッ!!!!」



「その時旦那様の胸のうちに湧き上がった感情を何と表しましょう。憤怒? いえ、違います。それは劣情、だったのです」



「~~~っっ!!!」



「そして旦那様は劣情の赴くまま、通りかかった見目麗しい一人の女性、かっこ、推定私、かっことじる、へと襲い掛かりました」



「!!!!」



「『いやよ、やめて、およしになって!?』女性は抵抗しますが、それは無力で非力な旦那様と見目麗しい女性、勝負になるはずもなく、旦那様がは呆気なく返り討ちにあってしまわれました」



「っ!! ~~!! ! ! !!」



「その夜、旦那様はそのお顔をひどく晴らしたまま、自宅、とは名ばかりの古臭い藁が一枚だけ、に身を包み、夜空を見上げてこうもらしました。『……おれ、もうしぬしかないじゃん?』」



「っっっっっ」



「そうして旦那様は短い一生を終えましたとさ、めでた――」



「全然めでたくねえよ、バッドエンドじゃねえか、つか『俺、童貞ジャン!』とかなにそれ!? 見目麗しい女性、かっこ、推定私、かっことじる、とかふざけてんのか、お前! 後なんで鼻で笑われて劣情催してんの!? ふざけんな、返り討ちとか、俺がてめぇを返り討ちにしてやんよ!! ――と、いうかそもそも今の話のどこが俺の俺による俺のためだけの物語なんだよ!?」



「旦那様、ご安心くださいませ。話はまだ終わっておりません」



「全然安心できねえよ、つか俺死んでるじゃねえか、それでどうやって続くのさ!?」



「――と、いう正夢を見て旦那様は一人寂しく起床しました」



「夢オチかっ! 最悪だな、おい! つか正夢!?」



「『旦那様、どうかしたのですか?』隣で寝ていた美女が恥ずかしそうに裸体を隠しながら、尋ねます。『……いや、ちょっと悪い夢を見て、な』」



「まだ続くの!? つか隣で寝てた美女って、いや、『旦那様』発言とか、もろお前……つかこの話いつまで続くんだよ!?」



「まだ序章が始まったばかりで御座います。これからが旦那様の旦那様による旦那様のためだけの物語の始まりで御座います」



「いや、もういいよ、つか出だし聞いてる限りじゃ俺のための、じゃなくてお前のための、の間違いじゃね!?」



「いえ、これは私の些細な願望ですのでお気になさらないでくださいませ」



「いや、気になるよ、めっちゃ気になる!」



「では思う存分気にしてくださいませ」



「……いや、やっぱりどうでもいいやー」



「左様で御座いますか」



「ああ」



「では、続きをお聞かせいたします」



「……ゃ、つか、これマジでいつまで続くの?」



「今のペースですと、今のところ最新作である『旦那様の武勇伝・第三十二章』を語り終えるためには30日ほど必要でしょうか」



「……」



「では、早速続きを、」



「さて、と。そろそろ夕食の準備でも始めるかー」



「……」



「あー、今日は何作ろうかなー?」



「……仕方ありません。旦那様にはまた、お時間のあるときにでも聞いていただくとしましょう」



「ああ、忙しい、忙しい。誰かさんの話なんて聞いてる暇、ないなー」



「……――やはり旦那様に許可をいただいてから、と思っていたのですが、仕方ありませんか。自己出版で書籍の方を先に、旦那様の許可はいつもどおり事後承諾していただく事にしましょう」



「えっと、そうだな、この手持ちの材料だと、んー、まあ、アレあたりが手ごろかな? よし、そうするかっ」



「では、旦那様。私は色々と用事ができましたので、これで一時失礼させていただきます」



「ああ、わかった。――さて、と。弟子が戻ってくる前に食事、作っとかないとなー」



「――失礼いたしました、旦那様」



「応!」


推定勇者の女子、ユウについては少しお預け。もう少し、構想ねりますわ、はい。


・・・ま、メイドさんが旦那様で楽しく語らってればいいかー、と思わなくもない。


すべてはメイドさんの魅力を引き出すためにっ!


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