もふふっ
クッション、買いました
「もふもふさいこー!!!!」
「……」
「この手触り、この感触、この肌触りっ、もう世界の正義じゃね!?」
「……」
「きゃふー!!!! ビバ、リハ、ジャスティィィィィィス!!!!」
「……旦那様」
「――なんだ、このトカゲ女郎」
「――えい」
「痛っ、……何しやがる」
「それはこちらの台詞で御座います、旦那様。私をトカゲのような爬虫類と同類扱いしないでくださいませ」
「ハンッ、冷たいのが駄目なダメダメめ」
「だ、旦那様に駄目出しされた!?」
「しかも何よりももふもふじゃねえ!! ガチガチのコチコチなんて全然よくねえよ!!」
「私はそれほど筋肉質でなければ、十分に柔らかいですよ? ぷにぷにで御座いますよ? 旦那様、お触り、お確かめ下さいませ」
「――はっ」
「……何で御座いましょう、その『わかってねぇよ、こいつ、全然分かってねぇよ』的な嘲りは、」
「こいつ、分かってねぇよ。全然、分かってねぇよ。くっ、お前も所詮はその程度、ということか。くははっ」
「……旦那様が壊れました」
「何を言うっ! 俺は正気だ! そしてもふもふは正義! いや、ジャスティッィス! 何これ、こんなのっていいの? 本当に存在していいの? え、何これ!!」
「申し訳御座いませんが私にも理解しようという気になるように、粉塵まで噛み砕いた上でご説明くださいませ、旦那様」
「説明? 何を言うかと思えば……」
「あの、旦那様。できればその視線は止めていただきたいのですが、」
「あのもふもふに説明が必要か、だと? そんなことを聞いてくる時点でなってない、何もかもがなってない、つか生きててごめんなさいレベルの侮辱だぞ、お前、分かってんのか、あぁ!!」
「ごめんなさい、旦那様が生きててごめんなさい」
「そうだよ、素直にそう謝っときゃ良いんだよ。――俺、生きててマジすんませんっしたぁぁぁ!!!」
「そうです、旦那様。謝ってください、全世界に向けて謝ってくださいませ」
「くふっ、だがっ、だがだ、こんな俺の存在ですらもふもふの前では全てが許される! いや、もうもふもふ最高っ! ひゃはああああああああああああああ!!!!」
「――ところで旦那様、お尋ねしたいのですが、」
「却下である!」
「旦那さ、」
「却下である!!」
「……」
「このもふもふっ、うおおおおおおおお、いや、敢えて言葉に、言葉こそ無粋っ、言葉なぞいらんわっ、もふもふ、その一言で全てが十全、それ以外の言葉などもはや不要!! ――もふもふ~!!」
「……」
「もふもふ~!!」
「……旦那様、そもそも“もふもふ”とやらは一体何なの、」
「!!!」
「で、御座いましょう、と旦那様、何もそこまで驚きにならずとも、」
「おまっ、おま、おま、もふもふ様を知らないってお前何様のつもり!? むしろ俺が何様!? いや、――もふもふっ?」
「申し訳御座いません、『もふもふ?』などと仰られても意味がわかりません」
「もふふ~!!」
「……」
「もふもふふふふっ~!!」
「――やはり旦那様がついに壊れました」
「壊れもしよう! もふもふの前には全てが無意味! 全てが無駄! はっ、小さい、小さい、小せえよ、全部が全部、小せえよ、この小物風情がっ!!」
「……私、生まれてこの方初めて、小物扱いを受けました」
「いやだからさっきから言ってるだろ、つかもうもふもふっ? もふふふ、もふもふの為ならば本望だ! 本能さっ! すべてを凌駕するまさに絶対正義! そんなものが存在するなんてつい昨日までの俺は思っても見なかった! ごめんよ、もふもふ、こんな俺を許しておくれっ!!」
「……あの、旦那様。そろそろ“もふもふ”とは何なのかを、本当に教えていただきたいのですが?」
「もふもふとはもふもふだ。それ以外に語ることなど、ない!」
「もう少し語ってくださいませ」
「もふもふを俺に語れと!? え、何そのご褒美! お前、そんなに俺を喜ばせたいの!?」
「いえ、まったく」
「く、くははっ、仕方ないな。お前がそこまで言うのならば仕方がないっ、もふもふについて知りたいだと? 知りたいのか、いや知りたいに決まっている!」
「……刻々とその気が失せてきております」
「言ってやろう、語ってやろう、教えてやろう、いつまでもいつからもどれだけでも何日何年何世紀! もふもふに始まりすべてはもふもふに終わる! いや、こんなこと今更かっ!!」
「申し訳御座いません。非常に屈辱的なことで御座いますが、旦那様のお考えが分かりません」
「もふもふとは何かっ、それは敢えて言うなら――正義? いや、違うだろ、俺。そんな小さな括りでくくっていいと思っているのかっ、――ぁ、や、ごめ、もふもふ様、申し訳もないッス!!」
「そのように自己完結なされても、さっぱり分かりません」
「え、なんつーの、もふもふの一言でもう全部必要なくね? いや、分かるだろ、分かれよ、本当は分かってるのに何ごねてんだよ、分かったって言え、アァン!?」
「……ところで旦那様のそのおかしなテンションは果たしていつまで続くのでしょうか」
「もふもふとはつまりもふもふのことであり、もふもふ以外なんでもない、そしてお前は断じて、もふもふじゃねえ!!」
「……もふもふ、とは“ヒト”なのですか?」
「ヒト? ヒトだとぉぉ!? んな矮小な括りに縛っていいと本気で発言してやがるのか、お前!! まあ、ヒトと言えないわけでもなくだが決してヒトではなくむしろヒトよりも大き、つか神すら楽勝に越えてね? いや、もうもふもふ以外に上位なんて必要ねえよ、もふもふさいこー!!!!!」
「……」
「もふもふ~!」
「……またもや旦那様がもふもふ語に戻ってしまわれました」
「も、もふもふ語だと!? おま、」
「……なんで御座いましょう、旦那様」
「おまっ、もふもふ語とか何至高神みたいなことを言っちゃってるの!? お前、神なの、最高なの? もう俺を昇天させて楽しいのかっ!?」
「旦那様を昇天させるのは楽しいかと言えば是非! で御座いますが、これは何か違うと思うのですが……」
「違わねえよ、ハッ、もふもふ語――まさかそんな輝かしいものがあったなんてな、」
「いえ、そのようなものは決して御座いませんが、」
「否! なければ作る、もふもふ語! もふふ~、もふっ、もふもふっ~!!!」
「……旦那様の言葉が分からずとも、その仕草から何を仰りたいのか理解できてしまうこの私の有能さが、今ばかりは真に情けなく、口惜しい限りなのです」
「もふふっ、もふ? もふもふっ」
「いえ、ああ、そうですね。私ですか? いえ、流石にジン外語を話すほどに、旦那様ほどヒトを捨ててはおりませんので遠慮させていただきます」
「もふもふっ、もふ! もふもふもふ!!」
「旦那様、どちらに――『もふもふを世界に広めてくる』?」
「もふもふっ!」
「……また、突拍子もなく、途方もないことを……と、言うよりそろそろ、もふもふとは――あ、旦那様!?」
「もふふふふふふふふふふふふふふ!!!!!!!」
「……、……、……、――まあ、そのうち帰ってこられるでしょうし。放置で良いでしょう。……今のうちに何が起きてもよいよう、心をしっかりと持っておかねばいけませんね」
・・・ゃ、勢いで書き上げただけですが何か?
意味は一切ないです。クッション買って、ちょっとテンションあがったくらいです。
もふもふサイコーとか、ええ、思ってます。
イイデスヨネー