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harem!〜カオス煮、いっちょ上がり!〜  作者: nyao
それはさておき、
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 ど-624.お日柄もよく



「本日の旦那様」



「現れて早々何訳分からんこと言ってやがる、つか今の今までどこにいやがった?」



「偉いお方には分からないのです」



「いや、俺別に偉くないし……というよりも更に訳分からんことほざくな」



「見てください、旦那様。この雄々しく反り返ったフォーム、太くしなやかで、それでいてどことなく気品を感じさせる、」



「ああ、どこからどう見てもただの枯れ枝だな」



「はい、つい先ほど、この家先で拾いました」



「……で」



「はい、旦那様」



「結局のところお前、何したいわけ?」



「取り立てて何をしたいというわけでは御座いませんが、強いて挙げるならば旦那様をからかう事で御座います」



「うん、強いて挙げなくてもいいからな?」



「それはできないご提案で御座います、旦那様」



「なんでだっ」



「それとなく旦那様にアピールをする為には譲れないところです」



「ゃ、それもしなくていいから」



「照れます」



「……今のどこに照れる要素が?」



「つまり旦那様は私のアピールなど必要ないほどに私のことを理解してくださっているということで御座いますね。と、このようなことを態々私の口から申告させるなど旦那様もやはりというより当然のように中々好きモノで御座いますね」



「それはものすっっげぇ、ポジティブシンキングだな」



「常に虐げられ続ける皆のご主人様的ポジションの旦那様ほどでは御座いません」



「悪かったなっ!?」



「むしろ良い事であるとこの豊満な胸を旦那様に見せ付けるように張って主張いたします」



「どこがいいことだよ!?」



「皆のご主人様。弄られ、もとい玩具的な意味合いで愛されているとは素晴らしい事ではないですか」



「……せめて『玩具的な意味合いで』とか言う部分がなければなぁ」



「旦那様、あまりそのようにご自身の全てを否定なさらずとも……」



「俺ってそれだけの価値しかないのかよっ!?」



「……」



「何か言って、お願いだから!?」



「と、ここまで旦那様を落としておいて改めて持ち上げて好感度アップを狙ってみます。そのようなことは御座いません、旦那様は私の旦那様なのです、それだけで誇るべき、何よりも素晴らしいことでは御座いませんか」



「……それは俺を褒めてるんじゃなくて、お前、自分のこと褒めてるだけじゃねえの?」



「この程度の事実、旦那様にとってならば異なりますが私にとっては褒賞にもなりえません」



「その図々しさが……否定できる要素がねぇ!?」



「と、言うことですので私は間違いなく旦那様を褒め称えております。旦那様、スバラシー、旦那様、サイコー、旦那様、カッコイー、きゃー、だいてぇー」



「……なんだ、それ。馬鹿にされてるようにしかきこえねぇ」



「その気がなかったといえば嘘になります」



「やっぱりか!」



「はい。私が旦那様を馬鹿にせずに、誰が旦那様を馬鹿にしてくださるというのですかっ!!」



「そもそもが何で馬鹿にされるのを俺が喜ぶの前提なんだよ!?」



「そんな、なぜ生物は生きているのか、などという質問と同じレベルの質問をされても困ります」



「違ぇよ!? ぜんぜん同じレベルじゃねえよ、何で俺が馬鹿にされるのがさも世界の常識、みたいに語られてるんだよ!?」



「では旦那様はなぜ私が世界で最も美しく、世界で最も優れている、最高であり最強、また最良であるのか、理由を仰ることが出来ますか?」



「――」



「……」



「すっっっっっっげぇ、否定してえ!! 今のお前の言葉、滅茶苦茶全否定してえよ!!!!」



「けれど出来ない」



「ぅぐ……」



「まあ、私は事実しか申し上げておりませんので、旦那様が否定できる要因は微塵もないと、敢えて宣言いたしましょう」



「……あー、そうっすね」



「はい。つまりは旦那様が馬鹿にされて喜びを見出されるお方というのもまた、変えようのない事実なのです」



「それは認めてねえ!!」



「旦那様も本当に諦めの悪い」



「これは諦めとかじゃねえよ!」



「ふぅ、旦那様にも困ったものですね」



「――お前が一番困ったものだよ!!」



「なるほど、そういう見方もありますね」



「そういう見方しかねえよっ!?」



「ですが私が悪い――困ったと言うのであればそれはつまり、全ては私の所持者たる旦那様に帰依いたします。つまり旦那様が全ての元凶なのです」



「……その論法だと俺は何か一人で空回ってるだけの阿呆、って言うことになるわけだが?」



「違うのですか?」



「……そうか、そうなのか」



「はい、旦那様」



「……」



「……」



「あ、そういえば」



「はい、如何なさいましたか、旦那様」



「最初の質問に戻るけど、お前本当にどこ行ってたんだよ? あの推定勇者の女の子、目を覚ましたぞ」



「はい、それは察しております。ですので、旦那様の都合上一人のほうがやりやすいだろうと、気を利かせて身を潜めておりました」



「俺の都合、ってなんだよ?」



「では質問で御座います、旦那様。同じ空間に私と旦那様の二人がいました。さて、好感度はどちらに向くでしょうか」



「――すっげぇ納得しました、はい」



「そういうことですので、私はあの推定勇者の彼女からは身を潜めることにいたします。ちなみに彼女に私の姿ならびに存在を隠すことに意味は御座いません。何も企んでなどおりません」



「……あのさー、せめてそう言うのは心の中で思うだけにしておいてくれないか? むしろそう宣言された方が疑いたくなってくる」



「はい、旦那様に疑心暗鬼を植え付けました」



「……もういいや」



「はい。では――彼女も戻ってきたようですので、一時私はこれで失礼いたします、旦那様。どうか、御健勝を」



「ああ。ま、何企んでるのか知らないが、お前もな」



「企んでなどおりませんとも。では、旦那様――」



「ああ」



企みなどありません。


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