ど-622. 敬礼!
・・・何か、勇者 (わけあり女の子)が空気だと気づいた。
いや、今後紹介する気が往々にはありますが(汗)
あ、あとレムはただいま老人の姿中(呪われてます)
「ふぉ、ふぉ、ふぉ、のぉ、ばあさんやぁ」
「何用で御座いましょう、旦那様」
「ゃ、そこはほら、ノってくれよ。『のう、ばあさんや』と問いかけたら『何ですか、おじいさん』が常識じゃないか」
「そのような常識があろうとは存じ上げませんでした」
「ふっ、お前もまだまだ勉強不足ということだな」
「はい、そのようで。ですがそれとは別に旦那様如きに常識を説かれてしまった私の致死寸前の精神的苦痛は如何様にして責任を取っていただけるのですか」
「ゃ、んなこと、知らねえっつーの」
「……」
「ん? 何だよ、そんなに俺のことをじっと見、はっ、まさか俺に見惚れてたなっ!」
「はい」
「……ゃ、やぁ~、そういうのは率直に答えるんじゃなくて、ちょっと怒った感じに『そんなことないわよっ!』的なノリで答えてくれよ」
「なるほど、旦那様はそのような態度がお好きなのですね。具体的に人物を挙げるならばスィリィ様の様な性格が旦那様的には好ましいということでしょうか」
「いや、特にそういうわけじゃないが。と、言うか俺的には流れ的に面白ければどんな感じでもオッケーだ」
「なんでやねん」
「ッッッ!!!???」
「……柄にもなくツッコミというものをしてみました。如何だったでしょうか?」
「……なんというか、音が後からついてくる裏拳はツッコミとは言わないと思うんだ。つか、あんなものが当たったら俺の体が粉微塵に吹き飛ぶ」
「旦那様ならば耐え切れます」
「例え耐え切れたとしても無事でいれないのは確かだ」
「それで旦那様。旦那様的には先ほどの私の行為は気に入っていただけましたか? それとも面白かったでしょか」
「それはどちらも同じ意味だ、というかお前の言葉には俺が否という可能性がないのかと聞き、……」
「御座いませんが?」
「あ、ああ。やっぱりそうなのね、そうなんだな。……まぁ分かってたけど。てか分かってたから途中で聞くの止めたわけだが」
「はい、旦那様の趣味趣向、そして何よりどの辺りが旦那様の許容限界ラインかは完璧に把握しております」
「……だろうとも」
「そして旦那様、私の先ほどのツッコミは実に見事な冴えでしたでしょう?」
「……しつこいな。つか、まあ別の意味合いでは滅茶苦茶冴えてたけどな。むしろそれだけで世界を取れるほどなんじゃないのか?」
「私の裏拳、もといツッコミで世界を取って来いと――なるほど了解いたしました」
「いやいや、了解するなよ!? つか、裏拳だけで世界取るとか、」
「一日ほどお時間をいただければ完遂できると誓いましょう」
「誓うな、誓うな」
「ではこれより旦那様のご依頼を遂行しようと思います」
「ゃ、だから思うなよ!?」
「……世界は取らなくてよろしいのですか、旦那様」
「要らない要らない。お前のことだから一日で世界取るとかは本当にしそうだけど、んなもの取ったってその後どうするんだよ、それ」
「私は必要ないので旦那様に差し上げます」
「俺も要らないし」
「では世界を取った後はそのあたりの道端にでも捨て置きましょうか」
「……何というか、今更だけどあくまで世界を取ることが前提で話してるのが恐ろしい」
「現実的な話でしょう」
「確かに」
「それはそれとして旦那様、実に似合っておりませんね?」
「似合う? 何が?」
「そのお姿と言葉遣いがで御座います」
「……あぁ、成程。つか、これ、いい加減脱げないのかなぁ?」
「無理ですね。着衣する際の初期条件を満たさなければ脱げない仕様となっております」
「初期条件? つか初耳だな、それ」
「初期条件は旦那様自らが定められたでしょう?」
「いや、そんな記憶はないが」
「ではがんばってその条件を満たしてくださいね?」
「や! だからその条件事態が俺記憶にないんだけど!? というか、条件分からずどうやって条件満たせと!? お前は俺にずっとこのままの姿でいろというのかッ!!」
「それもある意味旦那様の無節操さが軽減されるのでよいかもしれませんね」
「無節操って何のことだよ……」
「――いえ、今のは失言でした。お忘れください」
「そう言われると余計に気になる」
「旦那様でしたら大丈夫で御座います。気がついたときには条件も満たされていることでしょう」
「いや、露骨に話題を……と、いうかその条件云々も気になるわけだが」
「気になさらないのが一番です、旦那様」
「……むぅ」
「――あぁ、それと旦那様、言う必要もないことだと心得てはおりますが、一つご忠告いたします」
「?」
「次、『おばあさん』などと私を呼称したら煉獄を見せますよ?」
「……」
「……」
「い、いえす、まむ」
「はい、旦那様。よいお返事で御座います」