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OP-0-覆水盆に帰す

世界なんて、こんなもの


「久しぶりの我が家は恋しいなー、と」


「旦那様」


「おう?」


「おかえりなさいませ」


「おう、ただいまな。んで、おかえりなさい」


「はい、只今帰還致しました、旦那様」


「お前もよく無事に戻った」


「旦那様も……旦那様は無事とは言い難いお姿でございますね?」


「――誰のせいだと思っている、誰の」


「旦那様の自業自得が半分、私の責が一厘、残りは世界の意思でしょうか」


「世界の意思って何!? つかおまえの責任ずいぶん軽いな、おい!!」


「私は何一つとしてやましいことはしていないと断言できます」


「俺だって同じだよ!?」


「果たして、本当にそうでしょうか?」


「は? いや、本当も何も、」


「旦那様、よくよく思い返してくださいませ」


「あ、ああ」


「あの日、旦那様は嫌がる私を無理やり組み伏せ――」


「してないよな!? そんな事実は過去一片たりともないよな!?」


「と、言うのは過去願望交じりに私が見た夢でし――今のはすぐに忘れてくださいませ、旦那様」


「……ほほぅ?」


「一秒、数えます」


「短ぇよ!?」


「いち」


「――忘れました!!」


「よろしい」


「……いや待て。そもそも俺は悪いこととかしてないのに何で脅されてなきゃいけないんだ。何か、根本的に間違ってないか?」


「さて、それでは話を戻しますが、旦那様」


「待て!」


「何でしょうか、旦那様」


「俺は今のことに断固とし……」


「はい? いかがいたしましたか、旦那様?」


「……いや、なんでもない。いえ、なんでもありません。どうぞ話を先に進めてください」


「不思議な旦那様ですね。何をそんなに怯えていらっしゃるのですか?」


「なんでもない、なんでもない」


「左様でございますか」


「ああ!! というよりも折角久しぶりに我が家に帰ってきたんだからこう、殺伐とした感じじゃなくてだな」


「伝説とも名高い“竹龍の地”を我が家呼ばわりですか、図々しいにもほどが――いえ? 旦那様ならば我が家呼ばわりでも許されますね」


「何が!? というよりもあまりに今更すぎるぞ、それはっ。いいじゃん、我が家で、ここマイホームで!」


「誰も悪いとは申し上げておりませんが?」


「そう、だったか?」


「はい。旦那様ならば仮に元の主がこの場にいたとしても許すだろう、と申し上げているに過ぎません。そもそも、『お前のものは俺のもの、俺のものはお前のもの』でしたか。まるで契りを交わした夫婦のような言葉とも取れますが、良い言葉だと思いませんか、旦那様?」


「……」


「おや、如何なさいましたか?」


「ナンデモナイ」


「そうですか」


「ウン」


「それでは――旦那様、今後のご予定は如何なさいますか? 私になさいます? それとも私? はたまた私になさいますか?」


「それ一択だよな!? つかなんで選択肢がお前しかないの!?」


「え、旦那様は私をお望みなのですか?」


「いや、言い出したのお前だよ!?」


「では――脱げ、と」


「誰も言ってないよね、そんなこと!!」


「冗談ではありませんか。皆様方が見ていらっしゃるこのような場所で脱ぐ訳がございません。もっとも視姦されるのが旦那様のみならば吝かでは御座いませんが。いえ、旦那様が望まれるとあらばどのような申しつけでも、」


「って、皆……?」






『……おかえりなさいませ、ご主人様!』






「お、おう。でもお前たち何か怒ってない? と言うかいつからそこに――」


「初めから皆様、そちらにおりましたが?」


「ま、まったく気がつかなかった」


「私が隠ぺいしました。褒めてくださいませ」


「お前かよ!? つか何の意味があって隠ぺい……」


「特に意味は御座いませんが、何となく旦那様が私を襲っている幻を投影しておきました」


「それか! 皆の視線が何か痛いのはそれの所為か、というよりやっぱり全部お前のせいかっ!?」


「ちなみに幻は『うへへっ、良いじゃねぇか減るものじゃなし』『嫌っ、(人間を)止めてっ!!』『嫌よ嫌よも好きのうち、ってな。ぐふふ、見ごろの恨み、晴らさせてもらうからな。なぁに、館の奴隷どももまだ俺達が帰ってきたことに気づいてないさ。くくっ、つまり助けを呼んでも無駄、ってことだぁ!!』……党言う感じでございます」


「……いや、誰だよ、そいつら」


「……しかし、幻を見せるのに“好感度一定以上あるじょうけん”をつけておいたのですが、全くの無駄でしたか。流石は旦那様と言うべきか、それでこそ私の旦那様と言うべきか、」


「つかさ、頼むからあいつらの誤解を解いてくれない? 俺の言うことだとまず間違いなく聞いてくれないっぽいし。というか、そんな幻を見て信じるとか、あいつら俺のことをどんな目で見てるんだ?」


「皆様が見ておられるのはありのままの旦那様のお姿かと」


「ありのまま、ねぇ……?」


「そして皆様の誤解を解くのはお断りいたします」


「なんでだよ!?」


「女の子たちからの熱烈な歓迎を受けられそうですよ、良かったですね、旦那様?」


「――これ絶対歓迎違うよな!!??」




んー、レアリアとかアルーシアとか、そのあたりの話をさっぱりおぼえてないっ!!

・・・・・・やべぇ

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