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OP-21-赤と青-

・・・最近、話を書く時間と体力が取れません。……は止めに何とかしないと拙いです。


緑の妖精と、何処にでもいそうな風貌の、平凡だからこそ異端である男。二人が立っているのは何処までも無限の白が続く、果てのない空間。世界の全てであり、同時に世界のどこでもない監獄ばしょ




「燎原の、……な」


「はい」


「……」


「……」


「――で、それで言いたい事は終わりか?」


「はい。……ですがその様子では、どうやら私の言う事を聞いてはもらえなさそうですね?」


「俺は万能ぶるつもりはねえよ。自分の無様さなんざ、嫌ってほど理解してる。だから傍観なんて真似をする気もない」


「……貴方が無様だと言うのなら、この世界のどれほどが無様でないと言えるのでしょうね?」


「それこそ知るか、だ。俺が言ってるのは【燎原】の力なんてモノには微塵の興味もねぇし、アルーシアが今苦しんでるっていうのなら例え何があろうと助けに行く――ただそれだけだ」


「……そうですか」


「ああ。その上で、リーゼロッテ、お前が俺の邪魔をするっていうのなら、」


「――今、はっきりと分かりました」


「あ? 何がだ」


「貴方はとても傲慢なんですね。我が主とは違う方向性ではありますが」


「誰かを助けたいっていう思いが傲慢だっていうのなら、そのていどの中傷モノ幾らでも受け入れてやるさ」


「……良いでしょう。では――」




世界が淡い緑色に染まる。




「一応、貴方の足止めも主からの命ですから。逆らわないんですよ」


「――そうか」


「でも、いくら貴方と言ってもこの異界――私の領域の“世界の外”で、貴方に勝ち目が、」


「なら排除するだけだ、リーゼロッテ」


「……え。」




≪眠れ≫




リーゼロッテの身体が崩れ、倒れかけ……すんでのところで踏みとどまった。




「――っ、わ、わたしにその程度が通じると」




視線を上げて“彼”を見――、既に“彼”の姿はそこにはない。いやむしろ、リーゼロッテの至近、零距離と言うべき所に“彼”の姿は既にあり、




「驕るつもりは無い。侮るつもりも一切ない」


「――」




見上げて。


視線が合う、けれどそれ以上の事をする時間は彼女にはなかった。






◇◆◇






「……おかしいの。私は確かにレムを追ってきたはず。なのにここは何処ですか?」




……




「さては何者かの陰謀!?」




赤の幼女ことシャトゥは彷徨っていた。ぶっちゃけ、現在進行形で迷っている最中である。


正確には気が付くと全く見覚えのない所に立っていた、と言う事であるのだが。“ちーとくらい”をプチ飛ばしたまでは覚えているのだが、その後の記憶がない。




分かっているのは、此処が何処か分からないと言うことくらい。




「はっ、そして何となく下僕二号ちゃんピンチの予感ッ……の様な気もしますが気のせいだと思います」




右を見る、誰もいない。


左を見る、誰もいない。


前――当然誰も、




「おぉ、シャトゥルヌーメ!!」




まわれ右をする。


誰もいなかった――目の前には確かに誰も、ましてや蒼髪蒼眼の超絶的な美青年の姿など、ある筈もない。


……何故なら不思議と“まわれ右をした今”目の前にいるのだから。




『まわりこまれた、にげられない』――そんな不思議フレーズが脳裏に浮かび、消えていく。シャトゥは生まれて何度目かの絶望を覚えた。




「こんな所で出会えるなんて正に運命! 俺とおまえはやはり運命の絆で結ばれいるんだな!」


「一度……いえ、五度程死んで出直してきて下さい」


「あぁ、俺のシャトゥルヌーメ!!」


「私の話、聞いてます? ……いえ、期待した私がバカでした、なの」


「期待? ふっ、俺がお前の期待に応えない事が今まであったか――いや、無」


「いっぱいあります」


「……ふ、シャトゥルヌーメは中々俺を翻弄させるのが上手い」


「勝手に翻弄してるのを私の所為にしないで下さい、キモチワルイ」


「所でシャトゥルヌーメ、お前はこんな辺鄙な街で何をしていたんだ? やはり人助けか?」


「愛しのレムを追撃中でした」


「ちなみに俺は当然、俺の愛しいシャトゥルヌーメ、お前を追ってきたからだ!」


「誰も聞いてません、それに“俺の”とか言わないでください、怖気が奔ります」


「それはきっと俺に対する……恋?」


「ほざけ」


「お前の事は全て分かっている、照れなくても良いんだぞ、シャトゥルヌーメ」


「……れむ、たすけてー」


「――、レム、……レム、またその男か」


「うむ、私の男です」


「何故だろうな、その男の事を思い出すと胸がムカムカする」


「嫉妬ですね」


「それは無い。俺が誰か――あんなグズ相手に嫉妬だと? それこそ在りえない」


「レムの事を愚図呼ばわりして良いのは女の子だけですっ、転性しなさい!」


「そう言えば、俺は確かあの男に……はて、何かあった気がするが思い出せないな、いやシャトゥルヌーメ、お前に比べれば他のどんな事でも些細なことだ」


「……そういう都合の悪い事を忘れさるのはクゥワトロビェそっくりです。――くぅわとろびぇ?」


「ふっ、まああんな男の事なんてどうでもいい些細なことだ。そんな事よりもシャトゥルヌーメ!」


「嫌」


「――俺と結婚しよう! 子供は男の子一人に女の子一人……そうか、子供が少ないのは嫌か、なら五人、いや十人程か?」


「五度以上死んでこい」


「そうか、シャトゥルヌーメには未だ早かったかもしれないな」


「早いと言うよりそんな時は過去現在未来永劫来ません」


「大丈夫、お前の事は全て分かっているから。だからゆっくりと覚悟を固めれば良い。俺は焦らさないからな?」


「初めて会って一秒しないうちに『結婚してくれ』ほざいたどの口がそれを言いますか」


「迸る情熱を抑えきれなかったんだ。あの時は俺も若かった、どうか許してくれ」


「許すも何も記憶の片隅にも留めて置きたくない記憶です。むしろレムからの求婚以外はのーさんきゅー」


「――レム。そう言えば少しだけ思い出したな。その男、確かこの街にいるはずだが……」


「そうでした。こんな所で史上最大のおバカに構ってる時間は私にないの、早くレムを見つけないと」


「そうか、だが安心してくれ、俺のシャトゥルヌーメ。あんな奴、俺が片づけてこよう」


「何度言えば分かるのですか、『俺の』とか言うな。それにあなた如きがレムに敵うはずありません。私の瞳はいつでもレムだけをロックオンなのです」


「――少し待っていてくれ、シャトゥルヌーメ。殺ってくる」


「嫌です。それとレムにちょっかい出すのは私の特権なのであなたは一生私の視界の届かない世界の片隅に縮こまって姿を見せないで下さい」


「シャトゥルヌーメにちょっかいを出されるのは俺の特権だ!」


「……」




シャトゥはもう何度目になるかも分からない絶望感を――絶望しても絶望しきらない絶望に、絶望した。


今更ながら相手にするだけ無駄だったと気がついて、レム追撃に戻る事にする。“追撃”するのはレムではなく他の誰かだった気もしたが……それは気にしない。




「何となく、あっちが正解な気がしますっ、ごーごー」


「シャトゥルヌーメ、何処に――、? ……なんだ、この嫌な気配は。あの男、ではない。懐かしい様な、目障りで仕方ない様な……何なんだ?」


「でも此処、何処なのです? ――神の牢獄、……ってなんでしょう?」


「神の牢獄……? それも聞き覚えがあるような、それにソレは聞きたくもない言葉だな」


「うむ? ……良く分からないので良く分からない事にしました。あとついて来ないで下さい」


「偶然向かう方向が同じだけだ、なにそう照れるふりをする事もない、シャトゥルヌーメ」


「……レムはレム一人で十分なの」




のうのうと後についてくる蒼い『ナニカ』を忘れるために、レムに虐められる算段でも考えようかと、後ろの蒼には決して気付かれないようにシャトゥがほんの少しだけ唇を綻ばせた――その刹那。






何の前触れもなく、今までたっていたはずの“真っ白な”世界は崩壊し。






「お帰りと出迎えるべきかな? そして中々、錚々(そうそう)たる顔触れではないか。一応、世界の三柱そろい踏み、と言ったところか?」




何か何処かで見た事のある緑のチートクライが悠然と佇んでいたのだが、そんな事には興味も関心もなく。




「――アルーシア!!」


「あ、レムがいました!」


「……」




アルーシアの姿を見て駆け寄っていくレムと。そのレムを見つけて喜々とした声を上げたシャトゥと。


……まあ一名だけ、状況を理解しきれていない、ある意味正常な反応を示している静鎮こと、クゥワである。





と、言う事で三柱そろい踏み? ある意味まともなのは一番まともじゃないはずのチートクライだけですが(汗)



……もうそろそろかなぁ?


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