表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1009/1098

OP-9 -スヘミア-

・・・二番煎じ。


――翡翠の魔女に真実は無く、『最狂』の名こそが何よりの虚実である。




「……さぁて。困った、な~?」




翡翠の魔女は、スヘミア苦笑いをしながら周囲を見渡した。


うっとおしい程の長髪の少女、少女、少女の群れがそこにはあった。




『点睛の器、気が済んだか?』


「気が済んだ? 何ソレ」


『せめて気が済むまで相手をしてやろうと言う慈悲だ』


「慈悲? 何の事かな?」


『――分かっているのだろう、点睛の器。お前は私に敵わない』


「……一度私にやられておいて、良く言うよ」


『それを今でも本心から言えているのだとすれば、実にめでたいな』


「……」


『それと、勘違いされては困る』


「勘違い? 何のこと……?」


『他の使徒“もどき”共は少しだけ遊んでやったが、お前は確実に消しておく、我が主の面汚し【点睛】』


「――っっ、何処からどう聞いても、私に勝てて当然、って言葉だね、それは」


『お前の力の程は以前の時に把握した。正直程度が知れるレベルだ』


「い、言ってくれるね、“冥了”……?」


『それで、満足したかな、点睛の器』


「――」


『ではそろそろ私が動いてもいいかな?』


「……どうぞ、ご勝手に」


『では――永久に眠れ、【点睛】』




スヘミアの目の前で翡翠の少女達が――“溶けた”。


同時にスヘミアの身体が“溶け”出す。




「――なっ!?」


『驚くだけで良いのか、点睛の器?』




どろっ、と手が溶け、肉が溶け、骨すらも溶ける。


それは手に留まらず、足、顔、身体と全ての『スヘミア』の存在が溶けていく。




ひたすら醜い様相のスヘミアの目の前に翡翠色の長髪の少女の姿――“冥了”が再び出現する。その表情は無表情のまま、スヘミアを見下ろす。




『さあ、どうする? このまま何もせずに溶けて消えるか? それならそれで私は構わないが?』


「――フェイク」


『?』


「冥了、キミの手段は分かっているんだ。私がそう簡単に引っかかると思った?」


『……何だ、コレは偽物か』




“冥了”がそう漏らした瞬間、中途半端に溶けていたスヘミアが一瞬で消失した。




「うわっ、容赦なっ。……偽物とは言え、自分の身体のああいう所を見るのは気分良くないなぁ」


『では、次は見ずに住むように、一瞬で終わらせよう、点睛の器』


「――うん。他の子たちももう終わってるみたいだし? 一応『年長者』の私としても、さっさと“冥了”キミを倒しちゃう事にするよ」


『そうか。逃げる気は無しか。手早く済んで助かる』


「そうだね。手早く済んだ方が色々と楽でいいしね?」


『では、今度こそ――眠れ、【点睛】』


「眠るのはお前の方だ――【冥了】」






“冥了”の姿が再び溶けて消え――それと同時にスヘミアの姿も溶けるようにして、――この“世界”から消えた。








――二人の姿は“視え”ない。


“冥了”は視えない程に散り散りの姿に散っていて。スヘミアは、この世界の理すら偽って“冥了”が溶けている大気の中に、更に“溶けて”いた。




「ふふんっ、コレがお鉢を奪うってところかな?」


『慣れない事をすれば身を滅ぼすと分からない?』


「ふん、良いよ。自滅しちゃう前に、今度こそ――仇を取らせてもらう、冥了」


『では、すぐに滅ぼして後悔の間も与えないでやろう――』




その時。


何が起きたと言う訳ではない。ただしく言えば何かが起きたと言えるが、それを認識できたものは誰もいなかった。


ソレは目に見えない何かであり――或いは起きる事もなかった幻想の類である。




後に残ったものだけがその結果を物語る。






「……さて」




翡翠色の少女はそうひとり呟き。


片手に少女をわし掴んだまま、二人の姿はそのまま大気の中に姿を消した。




一応、昨日の分。・・・う~む???

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ