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神の悪戯  作者: 黒頭巾
3/3

第2話

長いかもしれないです。

長すぎたらすいません…。

加減がいまいちわからないんです…( ゜д゜)

神の悪戯

第2話


少し歩くと王都の城壁が近くなった。


(なんというか、デカイなやっぱり)


エルがこんな感想を漏らすくらいそれは大きかった。エルが見上げてしまう程あるそれは、あれなら魔獣が襲ってきても大丈夫だろうな、と思わせるくらい重厚だった。城壁の前まで来てみると門があり、関所の様な形になっていた。商人や旅人をチェックするのだろう。できていた列の最後に並び、のんびり待っていると自分の番が来たので、衛兵らしき人に話しかけられた。

「商人か?旅人か?どちらだ」

「旅人だ」

「目的は?」

「王都で冒険者になる」

「王都は初めてか?」

「あぁ。」

「ふむ。わかった。ならとりあえずこの水晶に手を触れてくれ」

衛兵が持ち出してきたのは丁度手に収まるくらいの水晶で、話を聞くと犯罪者かどうかがわかるらしい。どうやってるんだろうな。わかんないけど。

「青だな。」

赤だと犯罪を犯したことがある者、青だとそうでないということらしい。俺は青だ。村では犯罪を犯しようもないしな。

「ありがとう。もう入れるのか?」

と聞いてみると、

「あぁ、ようこそ王都、ウォンタールへ」

と衛兵は言い、俺を中へ通した。


—————————————————

門から中に入り、エルが最初に見たのはえらく活気のある街だった。路傍には色々な種類の物を売っている店があり、客引きをしている店主達や看板娘の声が合わさって雑多な印象も受けるが、ふと注目して見てみると街並みはかなり洗練されているということが伺える。


「今日の朝取れたばかりの魚だよ!!買っていきな!!」

「そこの冒険者さん防具、武器は足りているかな?消耗品も含めてウチはなんでもあるよ!」

「ちょっとそこのイケメンさん寄ってかない〜??安くするわよ〜!」

「あんた!早く野菜切っちまいな!!早くしないとメシ抜きだからね!」


などと多種多様である。

エルが自分がイケメンと言われたかと勘違いした、ということを置いておいてもなんというか元気が出る街並みだった。


(まだまだ夜には時間があるな…)


空を見上げと太陽がまだ高かったので、エルはとりあえず冒険者ギルドに向かうことにした。

しばらく歩いて行くと、商業区を抜けたようで、多彩なギルドが並ぶ地域に来た。ここは宿屋もあり、冒険者は大体この区域に居るようだ。またしばらく歩くと、一際大きな建物がエルの視界に入った。


『冒険者ギルド ウォンタール支部』


と書いてあり、エルは思わず


「おっ!」


と声を上げてしまった。周りの人がなんだなんだ?といった感じで見てきていたので少し恥ずかしくてエルはそそくさと冒険者ギルドに入った。

冒険者ギルドに入ると沢山の冒険者がいた。いや、冒険者だけではない。商人らしい奴もいるし明らかに村人の人もいる。正面にある受付らしきところではカウンターが幾つも並び、各カウンターには受付と話している人で埋まっていた。目を左に向けると大きな掲示板があり、幾つかの冒険者のパーティと思われる人達が真剣に何かを相談しあっていた。いつまでも入り口で止まっていては田舎者っぽかったので、エルは澄まし顔で一番端の丁度空いた受付へと早足でむかった。受付に座っていたのは人の良さそうな顔をした女の人で、エルが声をかける前に


「こんにちは。冒険者ギルドウォンタール支部へようこそ。今回はどのようなご用件でしょうか?」


と笑顔で聞いてきた。村では可憐な女の子、ではなく男勝りな女を見ることが多かったエルには少々刺激が強く、エルは思わず顔を赤くしながら、


「ぼ、冒険者になりにきた。」


と威厳たっぷり(自称)の声で席に座りながら答えた。


「登録の方ですね。では、この用紙に必要事項を記入してください。名前と

ジョブ、年齢があれば十分です。」

「ふむ、ジョブというのは俺はまだ獲得してないと思うのだが?」

「まだ神殿でジョブを鑑定してもらっていないのなら空欄もしくは得意な得物または魔法を使えるか否かを書いてもらえれば結構です。」

「了解。」


そういってエルは手早く必要事項を記入していく。


「終わったぞ。」

「名前はエル=ユークリッド、年齢は18、得意の得物は剣、刀で魔法は生活魔法が使える。これでよろしいでしょうか?」


エルが使える生活魔法というのは、殺傷能力は皆無で、『ヒート』、『フリーズ』、『ウォーター』など、調理や文字通り生活するのに便利な魔法だ。


「あぁ、それで合っている。」

「では、これで登録は終了です。冒険者についての説明を希望しますか?」

「あぁ、できれば頼む。」

エルがそういうと受付のお姉さんは少し口を湿らせ、

「まず、登録を済ませた冒険者の方はランクはFから始まります。ランクはF、E、D、C、B、A、S、Zがあり、Fが一番下で、Zが一番上ですね。依頼は基本的にエルさんから見て左にありますボードから選んでもらいます。そこで依頼を選び、受付に提出すれば依頼を受けられます。依頼は一つ上のランクまではある程度依頼をこなせば受けることができます。報酬は依頼に書いてある金額そのままです。ギルドが基本的に情報を先に集めているので、急に別の魔獣が出てきた、などの理由以外での途中での依頼の破棄は罰金の対象になります。また、ギルドでは依頼を受けていない状態で魔獣などを狩りに行く行為についてはなにも関与はしませんが、自己責任でお願いします。ただ、その時に狩った魔獣はギルドに売ることが可能ですので、利用してください。あと最後に、一週間後に新人のFランカー達を集めて合同訓練を行います。ここで顔を売っておくことで後からのパーティ結成に有利になりますね。奮ってご参加ください。ご質問はありますか?」


エルは正直あまり理解できていなかったが、要は訓練があり、エルが今Fランカーということであろう。


「特にないな。」


エルがそう答えると、


「そうですか。では、これで登録も説明も終わりですね。掲示板で依頼を探すのはどうでしょうか?」

「あぁ、そうさせてもらおう。」


エルはそういって掲示板に向かおうとし、


「あっもう一つ用があったんだった。」

「魔獣を買い取って欲しいんだけど、いきなりでもできるかな?」


と受付に聞き直した。


「もちろんですよ。ではアイテムボックスから魔獣を出してもらえますか?」

「ここだと狭いから広いところはないか?」

「それなら外に行きましょう。」


ところで、アイテムボックス。それは大昔の大空間魔法師が発明したと言われている見た目はただの袋だが、そこに込められているのは空間魔法で、今では色々な大きさの物が売り買いされている。これは小さいものなら村に必ず一つはあるものだ。エルが冒険者を志した時、父親が大体中くらいの大きさのものをエルにくれた。エルはそのアイテムボックスから今日仕留めた大狼五匹と途中でたまたま見つけた『玉鳥』と呼ばれる羽がとても美しい鳥を出す。あえて一気に出したのはエルの少し目立ちたい、という気持ちとこの大狼がどのくらい強かったのかを確かめるためだった。エルの思惑通り、受付嬢は少し固まり、


「え、エルさんが仕留めたんですか?」


と恐る恐るといった風に聞いてきた。


「あぁ。そうだ。それで、この大狼はどのくらいの強さなんだ?」


エルはそう聞き返した。


「この魔獣の名前はお察しの通り大狼です。しかし、名前の単純さとは裏腹に意外な瞬発力や破壊力のある前足があります。首という弱点は確立されておりますが、それでもCランクのある程度ベテランの方がソロでいけるくらいですかね。パーティだとDになります。しかし、五匹同時、と考えると私には判断できません。—— それより買取ですが、鑑定人を呼んでますのでしばらくお待ちください。」

「あぁ。了解した。」


(こいつでCランクなのか…。まぁまぁ速かったし妥当か。Zランクの魔物なんてどうなるんだろうな。強すぎて想像もできないな…)


エルがそんなことを思っているとさっきエル達が出てきた入り口から男が出てきた。


「鑑定人のディレストです。して、どれを鑑定するのですか?」


優しげな声でそういってくるので、エルも


「あぁ、この魔獣と鳥を鑑定して欲しいんだ。」

と魔獣と鳥をディレストに見せながら言った。


「では、拝見しますね。——この大狼はルーラルの森で倒した、ということで間違い無いのですね?」

「あぁ、間違い無いな。」

「鑑定によりこの大狼がリーダー格、もとより森の主に値する魔獣、そう確認できましたのでこの大狼は売ったお金に加えてこの大狼を倒すという依頼の達成報酬も付きます。そしてこの玉鳥は状態も良く、色、艶が問題無いため、金貨1枚で買い取りましょう。」

「き、金貨1枚もするのか⁉︎この鳥は」


エルは思わず聞き返した。村では頑張っても銀貨しか見れなかったため金貨などは天上のお金だと思っていたのにこの鳥一匹持ってくるだけで金貨1枚とは、なにか罠を疑ってしまう。


「そ、そうですがどうかされましたか?」

ディレストは少し面食らった様子だった。

「い、いや大丈夫だ。金貨1枚だな。了解だ。」

「は、はぁ。とりあえず大狼達はここで処理しますのでエル殿は報酬の件などがありますので中へ戻ってください。」


そうして三人でもう一度受付に戻り、ディレストは報酬と売価を計算し、受付嬢に金を取ってくるように言いつけた。


「エル殿は冒険者ランクはどのくらいなのですか?」

「Fランカーだよ。俺は」

「なんと!Fランクの冒険者があの大狼を…。ソロでの討伐ですか?」

「あぁ。森を抜けようとしたら襲ってきたんだ。」

「そうなのですか…。いやしかし偶に居るんですよ。村から出てきた腕の立つFランク冒険者というのは。」

「そうなのか?」

「はい。基本的にはFランク冒険者は総じて経験が足りない、筋力、体力など基礎ができていない、と問題があるのですが、村で経験を積み、外に出てきた。という方は多いのです。そういった人材はあまり基礎的な問題は見られませんね。」

「俺みたいなのはいっぱい居るのだな。」

そんなことを話していると受付嬢が戻ってきた。

「では、大狼五匹討伐と討伐依頼報酬をあわせまして金貨15枚と銀貨5枚です。ご確認ください。」

「よし。大丈夫だ。」

「まだ他にすることはありますか?」

「いや、特にないな。今度こそ。」

「そうですか。それでは、今日はもう遅いので明日依頼を選びに来られたらどうですか?」

「うん。そうするよ。」

「では、また明日お待ちしております。」

受付嬢はまた眩しい笑顔を浮かべながらそう言った。


「ではディレストさんもまたいつか。」

「お待ちしておりますよ。」


そう言ってエルは冒険者ギルドを後にした。

エルが王都に着きましたね。


因みにエルは立派な田舎者であります。

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