表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
未来探偵ゼノンと七つの事件  作者: 八海宵一
「02 双子サファイア盗難事件」
15/47

#08

     *


 一時間後――。

「一体、どういうつもりざます! この私が犯人だとでもいいたいざますか!」

「いえいえ、決して、そういうわけでは……」

 ゼノンに言われたとおり容疑者の招集を行った私は、そのせいで窮地に立たされていた。日ごろ、人から指図されることになれていない、ざます夫人、もとい、デルモンテ伯爵夫人が、人を呼びつけるとは何事だと、怒りを私にぶつけてきたからだ。たくさんの宝飾品を身につけた小太りのデルモンテ伯爵夫人は、私につめより、すごい剣幕でたずねてきた。

「じゃあ、誰が犯人ざます?」

「い、いやー。それはいま捜査中でして……」

 怒っているのはデルモンテ伯爵夫人だけではない。宝物庫のある部屋に集めたマーカム夫人、ウルテマル、リシューレ、ヒビワールが怒りのまなざしを私に突き刺していた。

 ただ、フナンだけは冷静に中立の立場を守ってくれていた。さすが、執事長だ。できれば、こちらの味方になってほしいところだが、容疑者の一人として集まってもらっている以上、それは無理だろう。

「捜査中って、誰が捜査しているざます? あなた、さっきから、ぼーっと立っているだけじゃない!」

 随分な言い方だが、伯爵夫人とケンカしても仕方がない。私はつとめて穏やかな口調で答えた。

「いま、専門家に調査してもらっているところですから、少々お待ちを」

「少々って、いつまでなのかしら。だいたい、どうして、こんなところに集められているの?」

 黙っていたマーカム夫人が耐えかねたようすで口を開いた。夫人の理知的な鳶色の瞳が、まっすぐこちらに向いている。なんだかこちらが悪いことをしているみたいだ。

 私は救いを求めるように、開かれたメンテナンス用扉の奥を見た。

 巨大なアームの一つがすでに取り除かれていて、コンテナのならぶ、いくつもの棚が見えていた。

 そして、棚と棚のあいだをゼノンとぽち丸が行ったり来たりしていた。

 ゼノンはニュー来々軒から戻るなり、業者と打ち合わせをし、誰よりも早く宝物庫のなかに入り、すでに調査を開始していた。

「あのー、クリノさん。みなさん、お待ちになっているんですが……」

 これ以上は間が持たないと判断した私は、宝物庫のゼノンに向かってよびかけた。すると、奥のほうから返事が聞こえた。

「あーそーですか。わかりました。すぐ、そちらに行きます」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ