ACT5
500PV100ユニークありがとうございます。
今回は、短いです。
暗い夜の闇、月明かりが差す中『真っ赤』に染まった大きな湖。そのど真ん中にある桟橋に俺は立っていた。
『蒼き泉の地』ACT1だ。海のように広大な湖。遠くに小さく城が見える。桟橋はずっと先まで続いており、桟橋の上には魔物が手ぐすね引いて待っていた。
「うえぇ。どうせ水の中にも大量にいるんだろうなぁ。」
作ったのは俺である。当然、大量に配置していた。
ここ『蒼き泉の地』ACT1は、桟橋の上を行く一本道のルートだ。途中、小さく分かれ道を用意しているが、奥で一つになるようにしてある。
一応、水中も行動できるが・・・オススメはしない。というのも、水の中には大量の魔物がおり、尚且つ桟橋に復帰する事がとても難しい為だ。
桟橋の足場は、木の柱の上に板を置いたもので出来ている。水中から復帰するには、取り付く部分の無い木の柱を登り、返しの様な作りになっている足場に登らねばならず、普通の人間にはできない。
一部例外もあるが、すぐに足場に戻る事ができなければ『魔物達の良い的』になること請け合いだ。
「というか、足場小さすぎないかこれ。」
俺が作った時より、板の幅が小さい気がする。足場一つ、一メートル間隔で作ったはずなのに明らかに50㎝程しかないように思える。
「やはりAI搭載型は、時間経過でどんどん賢くなっていくな。こりゃ、後半の邪教イベントは苦労しそうだ。」
とりあえず、足場をジャンプしながら前進する。ジャンプのタイミングに合わせて、魚型の魔物が水面から飛び上がり襲いかかって来る。
「甘いよ。」
俺は杖から雷を起こし、飛んでくる魔物を一掃する。桟橋の上にも、多くの魔物がいる。石を投げる小人、ブーメランを投げるリザードマン、俺目掛けて体当りしてくる赤い鳥。
桟橋が途中で途切れて、丸太が浮いているだけの所もある。桟橋も安定せず、歩くたびにグラグラと動く。その上、場所によっては板が抜ける所もある。
俺は慌てず、遠距離から雷を打っ放し、丸太の場所は氷で足場を作り、炎で邪魔な桟橋を焼き落としたりしつつ先進する。
時折、雲が月を隠す為真っ暗になるが、炎の魔法で問題無く前進できる。ある程度進むと、終点と思われる広い足場がある空間に出た。
「ここだな、ボスのいる所は。」
50メートル四方に、段差のある足場が散見される。ここがボス『マンティコア』がいる場所だ。
『マンティコア』ライオンの姿に、竜の翼を持つ怪物だ。原作でも、相当手こずった覚えがある。水の中から現れて、桟橋に乗り出し遠くから炎吐いてくる。近づくと炎で狙い打たれ、水中に落とされて終了。
かと言って原作では、ほぼ近接攻撃しかできないから、奴の一瞬を付いてメッタ斬りにして倒したが。
「さてさて、どういう攻撃をしてくるかな。」
一応、奴の性能はほぼ原作通りにしてある。つまり『炎を吐く』以外には『飛ぶ』『泳ぐ』位しかできないわけだ。
対して、こちらは『魔法の無限行使』ができる。遠距離攻撃に対して、遠距離攻撃で対応できるのだから、負ける要素がない。
「ま、楽勝だよな。」
そう思っていた時期が、私にもありました。
ヒューーーン・・・ドオォォン!メキメキメキ!
どこからか、炎の玉が飛んでくる。それにより、足場が崩れていく。
「うおおぉぉ!あぶねえ。」
俺は今までいた足場から、程近い足場へと移動する・・・が。
ヒューーーン・・・ドォォォン!メキメキメキ!
「なんだっつーんだよ!。」
またしても、俺のいた場所に火球が飛んでくる。
「これは、マンティコアの攻撃か!どっから飛んでくるんだ!。」
俺は、周囲の足場を見渡すが・・・それらしい奴は見当たらない。
ヒューーーン・・・ドォォォン!メキメキメキ!
またしても、火球による攻撃だ。俺は飛んできた方向を見る・・・いた。
驚いたことに、奴は水面から少しだけ顔を覗かせると、火球を吐き出しすぐに水に潜ってしまった。
「なんだよそれ!そんなのありかよ!!。」
このゲームの根底を覆す『近接攻撃をさせない』という、恐るべき暴挙を奴は成しているのだ。
「くらえ!!。」
俺が火球で、奴に攻撃をしても水中には攻撃が届かない。水は赤く染まっており、奴がどこにいるか等わかるはずもない。雷は水に散ってしまい役に立たず。氷も大した意味を成さない(足場が作れるから重要ではある)。
「これならどうだ!」
俺は『星屑の魔法』を唱える。大量の星が辺り一面を吹き飛ばす。すると・・・。
「やばい!足場が!。」
『星屑』によって足場が壊されていき・・・。
ヒューーーン・・・ドォォォン!メキメキメキ!
「ああ!卑怯だぞ!!。」
最後に残った、足場も奴に吹き飛ばされて・・・。
「ゴボゴボゴボ・・・。」
あっさりと俺は沈んだのだった。
― ― ―
「ハッ!」
「お目覚めになりましたか。マスターは、諦めるということを知らないお方。さあ、シシのように突っ込んで魔物を蹴散らしてきてくださいですお(笑)。」
俺は、神殿に置いてあるベッドの上で目を覚ました。天使がベッドの前で、こちらを伺いながらいつもの台詞を吐いていた。
「あんなの無理ゲーだろ。」
「何があったか、ご説明くださいますか。」
俺は天使に、マンティコアが何をしてきたか説明をした。カクカクシカジカ
「なるほど。マスター、湖の足場がどうなっているかご覧いただけますか。」
俺は天使に言われる通り、湖を覗いた。
「えーー・・・。なんだあれ。」
湖を見た俺は呆然としてしまった。なんと、足場が直っておらず壊れたままなのだ。これでは、近づく事すらできない。
「どうするんだこれ。アクションゲームとして成立しないぞ。ステージ自体が修復されないのだから。」
「では、私の出番ですかね。」
俺はこの時、相当頭にきていたのだと思う。丹精込めて作ったステージを、滅茶苦茶にされたのだから。ボスといえどもやっていい事と、悪い事があるだろうと思ってさえいた。
だから・・・俺は・・・命令してしまった・・。
「やれ。」
「サー。イエッサー。マイマスター。」
天使は下界へと飛び立つと、湖の直上へで停止。ボスのいる地点へと矢を向けた。
そして、何事かつぶやいておもむろに矢を放つ・・・すると。
音は無かった。
ただ、ただ、大きなクレーター。そこに流れ込む・・・水。
吹き飛んで散ったであろう水によって、雨だ降り注ぎ天使が笑っていた。
続けると区切りが悪くなったのでここまでにしました。
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