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天使界からの刺客とか冗談じゃ済まんだろ。2

天使さんは天使界全体を敵に回してしまったらしい。

天使界には堕天使になった天使は同じ天使の手によっ殺さなければならないという掟が存在するそうで、彼女が言うにもうすぐ天使界からの刺客がやって来るとの事だ。


「…………………………なんで?」


「お兄ちゃんに会いたかったから無茶しちゃった。」

「無茶しすぎだろ………!」

このままではこの妹によく似た……、秋奈。……いや、天使さんは殺されてしまう。またこの顔をした少女の死に際を見なければならないのだろうか?

それだけは勘弁願いたい。あんな経験は人生に一度だけでまっぴら御免だ。

だけれどもこのミジンコの様な高校生に一体何が出来るというのだろう。ミジンコの良いところなんて………小っちゃくて可愛いくらいのものである。……あ、僕って小っちゃくも可愛くも無いじゃないか。

じゃあ僕はミジンコ以下の存在?


死にたくなってきた。


「……僕の命を生け贄に捧げれば、天使達の怒りは収まるだろうか…………?」

「そんな…お兄ちゃんが死んじゃったら私は生きていく価値なんて無いよ……!」

まったく。なんだこの負のスパイラルは。

生が死を呼び、呼ばれた死が続けて死を呼ぶ螺旋構造が僕らの間に完全に確立してしまっている。螺旋の力恐るべし。

誰かアンチスパイラルを呼んでくれ!!


「あーはっはっはっ呼んだか!変態鬼畜人間野郎!!」


いつの間にかリビングのソファの上に見知らぬ男が立ってこちらを妬ましそうに見下ろして居た。

「レミファー兵士長!?いつのまに!!!」

「…………もう…、いきなり刺客かよ……。」

今度は上流階級貴族風の服装をした黒髪の男性か。


「貴様か、全世界のロリッ娘少女を我がモノとせんとするのは!!天上天下において美少女は俺様の物だ!!そんな俺様の名前はカルシファル・レミファー。天使学校の頃から音楽の授業ではよくいじめられていたのだ!何故かって?名前の所為だ馬鹿野郎!!レミファーってなんだよ!ドレミファーっていっつも言われるんだよ死ね!最初の方は止めに入ってくれていた先生まで『……じゃあ、次の演奏を…そうだな、ドレミファーにやって貰おうか(笑)。』とか言われましたよ!すみませんね刺客が俺様で!そりゃあシャルロットさんみたいに力強く生きて行けませんよ、俺様兵士長なのにね……………。ああ、なんか御免なさい、俺様やっぱり来ない方が良かったですよね。馬鹿みたいですね、『俺様』とか言っちゃってね。僕なんて死んだ方がマシですよね。死にたい。死にましょう。さようなら。グッドラック、俺。」


「おいちょっと待て待て!そう簡単に死のうとするなよ!僕だって中学生の時『マモリン・モンロー』とか言う意味わからんあだ名を付けられていたから!」

「…………ほ、本当ですか……?」

「う、うん!本当だって。」

また変な奴が来たもんだ。天使ってもんはまともな奴は居無いのだろうか。

「なら俺様の為に死ねェェェエエエ!!」

「…ちょっっ!!何すんだよ!」



「やめてください!!!!」



見るに呆れた天使さんが止めに入ってくれた。

「らしくないですよ、兵士長。天使の兵士長たるもの、あくまでも気高く冷静沈着を装わないと。」

「……………………はい。………自分より下級の天使に兵士長たるものを説かれてしまった。ドンマイ、俺…。」

「お兄ちゃんも悪いよ、兵士長はおバカさんなんだから、この人の馬鹿なテンションに乗せられちゃあ。」

「……………………う、うん。」

て、天使さん、上司をそんな風に馬鹿にして良いのか?……ああ実際馬鹿だから問題無いのか。

するとレミファー兵士長は、不思議そうな瞳で僕の顔をじっと見つめ始めた。

「…………君……、どこかで会いましたか…?」

突然レミファー兵士長は意味のわからない質問を僕に繰り出した。

「…………悪いけど、僕は昨日まで天使なんかに会った事なんて無いぞ。」

もしかすると前世でお世話にでもなったのかもな。

「前世、前世…………?いや、確か……………。」


「ドレミファー兵士長!!ちょっとこっちに来てください。お話があります。」


「え?な、なんだい話って?………ていうか今ドレミファーって……………!!!」

天使さんとレミファー兵士長の二人はリビングから離れ台所にこもってしまった。



….……五分後。

謎の会議を終えたレミファー兵士長は真剣な眼差しでこの僕に訳のわからない事を言い放つ。

「……宮城祇真守くん。」

本当に気が動転したとしか言いようの無い言葉が並んでいたのである。


「この俺様。カルシファル・レミファー天使界全軍兵士長は、君たち兄妹の味方だ。」


二人目の堕天使が誕生した瞬間だった。

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