天使界からの刺客とか冗談じゃ済まんだろ。
「…………アホの兵士長くん。」
堕天使の誕生は天使界にとって一大事であり、天使達の士気にも大きく関わる重要な出来事である。
「君は報告にあった少女は堕天使では無いと言っていたよな?」
「……………、はい。」
「君はアレか?見た目が可愛い女の子なら『堕天使なんかじゃあ無いよな~。』とか思って適当にこの私に報告したのであろう?」
「….…………、はい。」
「まぁ良い、私も今この瞬間まで『ロリッ娘少女に悪い娘はいない』と思っていたのだ。仕方が無い許そう!しかしだ、ここからの失敗は許されんぞ。わかったな?」
「……………、はい。」
「もしミスったら貴様をロリッ娘美少女に転生させてやる!!あーはっはっはっはっ!!!」
何故か御機嫌な天使長に対して兵士長は気まずそうな様子で口を開く。
「………あの~、ミファエル天使長。標的である少女はいかがなさるのですか?」
「何を言っている、そんなのは決まっているだろう。討伐しろ、粛清する為に殺せ。天使界に下賎な堕天使は必要無い。」
「……わかりました。」
「ではもう一度『堕とし鏡』の使用を許可する。……さっさと行け、今度はしくじるなよ。」
「……………は。」
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宮殿の庭園を抜けた先にある廊下で兵士長とシャルロットは佇んで居た。
「天使長はなんて?」
「……殺せ、と言われました。」
廊下の隅の手すりにもたれかかりながらそう言う兵士長の遠くを見つめるその瞳はどこか淋しげである。
「…なんであんたが淋しそうにしているのよ。」
「………いや、だってさ、…この世界から美少女が一人減ってしまうなんて…悲しいじゃないですか。……あの少女はぺったんこで…、ちょっとSっけのある瞳でさ、そんな少女の困った顔がまた可愛いんですよシャルロットさん。」
「わかりたくも無いわよこの変態。……変態と言えば、フィリーちゃんを保護した人間の男も相当の変態だったかも。」
その時、兵士長の目の色が変わった。
具体的に言えば、赤色に。
「……な、なんだと!?あんないたいけな少女が変態人間の手に犯されるなんて許されない!!!どうやらその男はこの俺様がぶっ潰してやらなければならないようだな……!デストロイ、俺!!」
兵士長は手首にはめた腕輪をはずしてから手すりの上に勢いよく乗り上げてから飛び降りてしまった。
『翼ァ生えろ!!』
兵士長の掛け声と共に彼の背中には美しい翼が具現化された。そんな掛け声で良いのか兵士長。
「…ちょ、そんな無茶苦茶な……!」
「シャルロットくん!二番手はこの俺様が承る!任せておけ、必ず俺様がロリッ娘少女を連れ帰ってやるからな!!!ロリッ娘万歳!」
「……………あ、…兵士長、前前前!!」
「…な!!…グラァァッチョ!!!」
勢い勇んだ兵士長は噴水に激突してしまった。
「………… 兵士長。……………………やれやれ。」
シャルロットはこの場から立ち去る事にするのだった。