天使さんが妹とかマジウケるんですけどww2
「あの、すみません、戸籍の変更をお願いしたいんですけど………。あ、変更と言うよりも追加ですね。………え、電話では出来ませんか?ああ、わかりました。………え?妹です。多分戸籍上では十年前に死んだ事になっていると思うんですけど………。マジですよ。いや本当ですって。……………はい?ふざけるな?いやぁ~あはは、ふざけてなんかいませんよ~。……………取り敢えず精神科医クリニックに電話しろ?だからふざけてねェつってんだろうが!!!突然死んだはずの妹が帰って来たんだよ!僕だって信じらんねぇよ馬鹿野郎!!いや、これは僕が馬鹿野郎!?」
正直言って僕は今かなり混乱している。メダパニと言うよりも、メダパニーマに近い常態異常だ。
具体的に言うと頭の狂ったサーターアンダギーだ。
なんせ十年前に死んだはずの妹が、あろう事か天使さん自身だったと言うではないか。これで混乱しない方がおかしいとは思わないだろうか?
「あ、くそ!切りやがった……。まさかサーターアンダギーで釣れないなんて………!中身は紫芋だぞ!美味いんだぞ!!」
そして混乱した僕は何を血迷ったのか、市役所に電話をかけてしまったのだ。そして今にあたる。
「お兄ちゃん、別に戸籍なんてどうでも良いよ。私はお兄ちゃんと一緒に居れればそれで良いんだもん。」
諸悪の根元である天使さんは僕の腕にしがみ付いて離れない。
「………………なぁ、一つ質問しても良いか?君は、本当に僕の妹なのか?………秋奈なのか?」
まだちゃんと理解出来ないな。きちんと納得する事が出来ない。
「秋奈だよ、お兄ちゃん。十年前に事故で死んだ妹の秋奈なんだよ?」
天使さんは僕の腕に顔をうずめて言う。
「死んで……、天使になっちゃったけど、秋奈は、お兄ちゃんの妹なんだよ?」
天使。
では天使とは一体なんなのだろうか。
人の死後の姿?否。そんな訳はない。しかし、そうでなくては何なのだ?
古くより天使は肉体の死を迎えた魂を天国に導くモノとされてきた。しかしそれは人間界での作り話であり人々の空想の産物である。
やはり、天使の本来の役割、真の姿はこのフィリー・アクィナにあるのだろう。
頭の上に輪っかは無くて、翼はあるけど飛べなくて、人間となんら変わりの無い生き物。
「訳わからんな、………取り敢えず落ち着こう、いくら考えても無駄な気がしてきた。」
そう思ってふと天使さんの翼を見た時、言葉を失ってしまった。
「………………………………お前、…それ、その翼の色はどうしたんだ?」
ついさっきまで純白で煌びやかな輝きを放っていた天使さんの翼がカラスの様な漆黒の黒色に染まっていたのである。
「……とうとう、黒くなっちゃったか……。思ってたよりも早いんだ。」
「……堕天使、になったのか?」
「うん、そうみたい。そりゃあ団長を突き飛ばしたんだもんね。なって当然だよ。」
なって当然って………。随分と軽いんだな。
「言ったでしょ?私はお兄ちゃんと一緒に居れればそれで良いんだよ。たとえ私がどうなってもね。」
これが絶対的なまでの執着心。
行き過ぎた愛情。
そこから派生する事故犠牲。
なかなかのドM。
「いや、しかし落ち着いてみれば今の状況はかなり盛り上がってくる展開じゃないのか?」
十年をまたいで感動の再開を果たした兄妹。しかもその妹は極度のブラコン堕天使。
「代茂木に知れればただでは済まんな………。」
考えただけでも恐ろしい………。
「という訳でお兄ちゃん。まだ朝の十時だね。」
「ああ、そうだな。それがどうかしたのか?」
「これから……、覚悟決めといた方が良いよ。」
「……………………………は?」