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神様、どうやら僕は不幸な星の生まれのようですね。

「……あの馬鹿ども。神に逆らいたいのか………。」

天使庁宮殿内の手入れの行き届いた美しい庭園のベンチに座る天使長、ミファエル・クァルテットは大きな噴水の表面に映る人間界の様子に飽き飽きとしていた。

「………(あの、ロリッ娘天使…………。一体何を考えている……?)」

ミファエルはあの小さな天使に驚いていた。

何故、アホながらも兵士長であるレミファーをたやすく味方につける事が出来たのであろうか。

何故、あのドSで冷血のシャルロット団長を糸も簡単に味方につける事が出来たのであろうか。


「………………ふむ、まさか…………。」


一つの思案が頭をよぎった瞬間、ミファエルは立ち上がり、庭園を立ち去った。


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『ようこそ、エデンの園へ。ミファエル天使長。』

天使庁宮殿の頂上には、ある存在のために作られた花畑がある。万年、色とりどりの花が咲き乱れる花の園。

そこには一人の美しい女性が居る。

長い、地に付く程に長い翠色の髪に、白いローブに金の修飾をあしらった衣服を纏う、人でも、天使でも無い存在。


「貴方は一体何をなさるおつもりですか?………神様。」


『………何の話かしら?』

「とぼけないで下さい。昨日、人間界に堕ちた少女の事ですよ。…あの少女に何を吹き込んだのですか?」

『別に私は特に大したことはしていないわ。…選択権は全てフィリーちゃんに委ねているもの。それに彼女がやろうとしている事はこの天使界にとっても好都合………と言うか、喜ばしい事よ。』

「………天使界にとって喜ばしい事?」

神と呼ばれた女性は花で編んだ冠を蓮の葉が揺れる小さな池にそっと浮かべた。

『……十年前に起きた「生と死の大逆転」を覚えてるかしら?』

「…勿論です。」

『先代の冥界の統治者、「ハ・デス」の死により生と死が逆転し、生ける者が死に、死にゆく者たちに新たなる魂が宿りました。……丁度その時、人間界から一つの魂が天使界にやって来たのです。その魂は言いました。「妹が死んだ。彼女を生き返らせてやってくれ。」生と死の大逆転により、自らが妹の代わりに死んだ事に気づいていないその魂はこの私にそう言いました。』

神は歌うかのように言葉を並べる。

『さて、どうしたものかと思った私は、その魂に「生命はやがて朽ちて失われるものです。妹さんは、少しそれが早かっただけの事。」と言いました。しかし、その魂は「なら、僕と妹を入れ替えてくれ。死ぬのを妹じゃなくて僕にしてくれ。」』

神は、あたかも一人芝居の演者の如く手振り身振りを繰り返す。

『……なんて妹思いの兄なのでしょう。私はそう思いました。「ならば、あなたの言う通りに貴方の妹と貴方の運命を入れ替えて差し上げます。」』

ミファエル天使長は彼女が水面に浮かべた花の冠を見つめた。

「…………では、あの少女はその魂の……妹なのですか?」

『……、流石ミファエル。理解力に富んでいるわね。…………そう、彼女の「兄に報いたい」という清い心を私は汲んだのよ。』

「……兄に報いたい?…一体何をするのですか?」


『それは………、見てのお楽しみ。ですよ、ミファエル天使長。』

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