流石に避雷針に引っかかるのはどうかと思う。
宮城祇真守
フィリー・アクィナ(天使さん)
宮城祇秋奈
シャルロット・フォン(第六天騎士団団長)
天使長
兵士長)カルシファル・レミファー)
さてここで一つ疑問なのだが、現代社会に生きる現代人である皆さんは空から女の子が降って来るなんていう非現実極まりない幻想を本気になって望んだ事はあるのだろうか。
恥ずかしい話だが僕は少し、いや、かなり本気で望んでいた時期もあった。
しかしそんな夢も希望も無い幻想を僕みたいなミジンコの様な高校生がマジになって望むなんてどうかしている。それにそんなエクストラでプレシャスなイベントは僕などという普通すぎる存在には許されていないのだ。
しかし、たとえそうであっても目の前の現実は認めなければならない。
「…………も、もしかしてここって人間界だったりしますか?」
見知らぬ少女は作り笑顔でそう言った。
「…………この世界の他に人間界以外の世界があるのなら、ここは人間界なのかもしれないな。」
現在、昼食の後の休み時間。
いわゆるお昼休みに僕は校舎の屋上で昼寝でもしようかと思い僕の特等席になりつつある貯水タンクの上で真昼の喧騒を負い目に一人ウトウトと目を瞑ろうとした瞬間の出来事である。
僕は学校のてっぺんに取り付けられている避雷針にドレスが引っかかって身動きが取れなくなっている一人の少女を発見したのだ。
「…あ、ははは………。」
僕に目撃された事を恥ずかしそうにしているその少女の背中には白い翼が生えている。それは小さな、人ならざる証拠。
「………初めまして人間さん…。私はフィリー・アクィナという名前の天使なんですけど…どうやら天使界から人間界に落っこちちゃったみたいなんです。」
「…………はぁ、」
………この少女の存在は現実なのだろうか、夢では無いのだろうか。少なくとも彼女の背中から生えている美しい翼は現実味が無い何かであるという事は間違い無いのだと雄弁に物語っている。
「というわけで私を助けてください、人間さん。」
彼女は天使。
とある春の真昼間にどういうわけか僕は、天使と出会った。
#1『天使は思っていた程天使じゃない。』
僕の名前は宮城祇真守。
昨日までは私立高校に通うごくごく普通な一人暮らしの高校二年生だったのだが、あくまで「だった」であり現在も一般高校生として望ましい平和で平凡な暮らしを送れているかいないかで言うともちろん後者である
あろう事か僕の家に天使が居候を始める事になったのだ。もちろん僕の許可と承諾の上での結果ではあるが僕自身が望んだ訳ではもちろん無い。
そもそも何故このご時世に天使なんて神話級のレアリティを誇る生き物と出会ったのか自体が謎であり信じられない様な出来事であるわけなのだが、起こった以上は仕方が無い。古き良き日本の、旅は道連れ世は情けの精神で僕は人間界に堕ちた哀れな天使に居候の許可を下した。
それに健全な男子として彼女と一緒に暮らすという事自体はあまり悪い気はしない。彼女の髪は長い黒髪で容姿も日本人とさほど変わりの無いすごく可愛らしい少女であるし、高校受験の失敗で地理的に孤独な一人暮らしを余儀なくされた僕にとって共に暮らす家族が増えるようなモノなので密かに嬉しかったりもする。
一方、そんな僕とはまるで違い天使さんはリビングの片隅で激しくうなだれていた。
「……天使界に帰れなかったらどうしよう……。私一生このまま人間界で暮らして行かなくちゃいけないのかな……。」
どうやら天使さんはかなりまずい状況に置かれて居る様である。まあそりゃあ突然別の世界に落っこちたんだから焦らない訳が無い。
それにしても今日が金曜日で本当に良かったな。もし明日が普通に学校のある平日だったら迷える子羊である彼女を家に放ったまま登校しなければならないところだった。
この状況の女の子を一人にしたら一体何をしでかすかわかったモノでは無い。下手をすると自傷行為にすら走り出しそうな勢いの落ち込みようである。
「仲間が迎えに来てくれたりしないのか?」
彼女が言うに僕らが住むこの地上世界の位置的に上空であり次元的にパラレルワールドである天使界で彼女は暮らして居たらしい。まあ言ってる意味がよくわからんが。
「それは…わかんない………です。天使が人間界に堕ちたなんて事例はほとんど聞いた事が無いし、私も好きで堕ちたわけじゃないもん…………みんなも人間界に来れるかどうか………。」
天使さんは目頭に今にも溢れ出しそうな涙を覗かせて今にも泣きじゃくりそうになりながら僕を見つめて来たが、もちろん僕にはどうしようも無いことなのですぐに目を逸らした。
というわけで天使さんの居候の期間は彼女の仲間が迎えに来るまでの間である。僕でなんとか出来る事は僕が何とかしよう、僕に何とも出来無い事は彼女自身の問題だ。解決は彼女自身に委ねる他無いだろう。
あとがきって何書いたら良いのかわかんないですね
みんなはどんなあとがきを書いているのでしょうか?
精進します。