第七章:残酷な真実
聖也:僕は、さちちゃんに言わなあかん事がある
さち:うん
(オンナでもいるのかな…まさか…っ 告白かな…)
そんな想いがが5:5で頭の中をかけめぐる
聖也君の発言は、私のまさかっ!と思った予想をはるかに越えていた
聖也:僕な、寮に住んでるってさちちゃんに言ったやん
さち:うん
聖也:本間は寮に住んでなくて、オンナの人と一緒に住んでる。
さち:うん
頭は真っ白になったが、まぁこんな事もあるだろうと自分に言いきかせた。。
聖也:最低な男でごめん
さち:ううん
何故か私は冷静だった。
多分あまりにも衝撃的すぎて、返事しか言えなかったんだと思う。
聖也:本間にごめん。さちちゃん本間ごめん。ごめん
聖也くんは土下座してまで何度も謝り
聖也:もう一つ…
さち:うん
(何で私はこんな目にあうんだ?とか、まだあるのか?!と……)
聖也:これ見て。
渡されたのは免許証。
私は意味がわからなかった。でもよく見ると、生年月日がおかしい。
私は携帯を取りだし、苦手な計算をした。
すると……
教えられた年令と計算が合わない…
聖也君はだいぶサバをよんでいた( ̄□ ̄;)
本当は31歳。5歳もサバをよんでいたのだ。
31には見えない…
だからは私は騙されたんだと思う。
1.2歳ならまだしも5歳嘘とは…
まぁまぁこんな事もあるだろうと…
そして聖也君は
聖也:本間は今までの子みたいに言うつもりなかった。
でも、さちちゃん本間に良い子だったから、隠してられへんかった!
これ以上騙し続けたくなかった!
軽々しく嘘でも付き合おうなんて言われへんかった!本当にごめんなさい!
私は胸が痛くなった。
私の事を良い意味で言えば、大切に想ってくれてる
(その人と別れて、キッチリしてから付き合うのかな?と)
悪い意味で言えば、その人一筋。
お互い好きって言いあってたから、良い意味なんだろうと私は思ったが、甘かった……
聖也:その人とは、だいぶ前から一緒に住んでて40歳近い。
福祉関係の仕事をしていて、僕が働き初めでお金がない時、生活費だしてくれたり色々助けてくれた。
もう恋愛対象じゃなく、家族って感じで……
彼女と別れるっていうか離れる事はできひん。
開業資金1000万円かかるんだけど、それも出してくれるって言ってるし、今までの恩もある。
居て当たり前になってる。それはさっき言ったように、僕の中ではもう彼女とかじゃなく家族って思ってしまってるから。
僕はすごくズルイ人間やと思う。僕はこんな人間や。本間ごめん。
私は黙って聞いてる事しかできなかった。
色んな思いが脳裏を駆け巡る。
さち:聖也君、話してくれてありがとう。
聖也君は謝らなくていいよ、聖也君は悪くない。
なぜか涙が一粒流れ落ちた。
聖也:僕の為に泣かないで…もっと怒りをぶつけていいだよ!
私には、聖也君の勇気と覚悟が痛い程伝わってきた。
少し落ち着く為に、二人で部屋の飲み物を飲みながら煙草を吸った。
テレビをつけるとサザイさん。
落ち着いた後に込み上げる思いは、今までの疑問だった。
さち:聖也君、昼は仕事場でメールできるけど、夜少ししかメールしてないけどバレてないの?
聖也:携帯はお互い絶対見ないし、いつも彼女がお風呂の時にメールしてた。
さちちゃんと夜する電話は、勉強会終わって家に着くまでの間や、ビデオ屋に借り・返しに行く時、煙草買いに行く時にしてた。
さち:そっかー、じゃあさちと日曜とか土曜泊まりで遊んだ日は何て言ってたん?
聖也:友達と遊んでくるとか、実家に用事で帰ってくるとか嘘ついてた。
だから、毎週毎週遊べなかった。バレかけた時もあったし……
勉強しないといけないのは本当やで!
さち:うん。勉強会で友達と話してた時の事、前に言ってたもんね、
でも、奥さん聖也君の実家に電話したりしないの?
聖也:うん、実家には絶対電話こないよ、親知らないから…
さち:何で?
聖也:僕の親はクリスチャンで、キリスト教の人しか結婚は許してくれないんだ。
お婆ちゃんはクリスチャンじゃなくて、父親が勝手に始めた事。
妹は親の言い付けを守ってクリスチャンの人と結婚したけどね。
親は、僕の彼女を知らない、だから電話は確実ないよ。
さち:そうなんだ……。じゃあお金は?
聖也:何とか切り詰めてやってるよ、ある程度彼女に渡して、それ以外は僕の小遣いだから。
さち:聖也君、もし今の彼女と結婚するって言ったらどうなるの?
聖也:親と縁切ることになる…
さち:そうなんだ。さちは、付き合ってとか言わない。彼女を大事にしてあげて、
聖也:さちちゃんはそれでいいの?僕が決める権利ないから…
さち:う…ん…彼女の事考えると、さちは身を引いた方が良いって思う。
私が聖也君の彼女の立場なら、
私と聖也君の関係知らないけど、
絶対すごく辛くて苦しいと思う。
本当に大切にしてあげてほしい。
無理に聖也君を奪おうなんて思わないよ、
私はきっと、聖也君の事をそこまでしか好きじゃなかったのかな…と少し思った。
でも心の奥底では、本当にこれで終わりでいいのだろうか…と悩んでいる自分もいた。
結局そのまま二人でラブホを出て、万が一を考え、わざと少し離れて駅へ向かった。
駅周辺の交差点で、聖也君は
聖也:手つなごう。
さち:もし聖也君の彼女に見られたら……
そんな事を言いながら手を一瞬だけ繋いだ。
駅の改札口でお互い顔を見つめ、何も言わずに私はその場を去った。
一人になると、考えたくない事まで考えてしまう。
私は疲れて頭が真っ白だった…
この後、深夜に飲食店のバイトがあるのに……
時間まで後三時間程。
私は地元で大親友のチエミに、
「もうすぐ着くから駅まで迎えに来てほしい。
ちょっと話聞いてほしいねん。」
とメールした。
私はチエミに相談することにした。