始まりの扉
この物語は、とある世界の記録である。
これは想像と創造の物語。
窓から光が差し込む薄暗い部屋に1人の男。部屋には生活用品みたいなものは存在しない。あるのは100冊は超えるぐらい同じ本が並んでいる本棚に、その同じ本が1冊、ペンとランプが置かれている机、それと椅子。部屋のわきにはローブと剣が掛けられている。
男は机の上にある本に何かをスラスラと書き込み本を閉じる。それを本の最後尾であろう所にしまい、
「だいぶ溜まったなぁ、いろいろあったからな・・・最初はこれか」
とそう言って最初の1冊を取り出して1ページ目を開いた・・・・・・
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キーンコーンカーンコーン・・・・・・
五時限目の終了を知らせるチャイムが鳴る。都心に割と近くにある高校からそれは響いてくる。
その学校の2階の教室、窓側の席に座る少年━━工藤真は校門のすぐ中に立っている大木、プラタナスをぼんやりと眺める。
今は秋で、枯れて葉が落ち余計な枝は切り落とされている。春になれば、その枝に新緑の葉をまとわせて明るく新入生を迎えてくれる。
だが今はそんな面影もなく、降っている雨が余計にみすぼらしく見せている。だがそんな枝になぜか鷹がとまっている。
そんな光景を眺めていた真は
「へぇ、あんな鳥こんなとこにいるんだ。」
とそんなことを呟いていた。すると鷹もこちらに気付いてジッと見てきたが、しばらくすると校門の方に行ってしまった。
何処に行ったか目で追おうとしたが、友人の陽気な呼びかけによって難なく遮られてしまう。
「おーい、真っ!帰ろうぜ。今日は雨だし部活もないだろ。・・・ん、なんだ外に不死鳥でもいるのか?」
相変わらずの調子で話しかけてくる友人に、呆れたように
「分かったよ、帰るからそんなに顔を近づけるなジニー。」
友人、ジニーは満足そうに頷いて、校門の前で待ってるぞ。と言って教室から出て行った。
ジニーは日本とイタリアのハーフで、真とは小学校からの付き合いだ。金髪と茶目が似合っている。
対して真は普通の高校生で、特に目立ったところはない。勉強もスポーツも大体出来る普通の人間だ。
強いて言えば、何にでも興味を持つ。まぁ二人とも好奇心が強い、そういう点で気が合っているのかもしれない。ちなみに部活はジニーはサッカー部、真はテニス部である。
その帰り道、二人はずっと喋っていた。最初は「あいつが━━」とか「部活は━━」みたいな感じのわだいだった。だが急に「もし、人には使えない能力があったらどうする?」という話題になった。(もちろん、ジニーが言ったことである。)
その質問の答えに真は少し考えた後、まぁ使わないだろ。と答えた。
それはそういうものが嫌いというわけではなく、単に「世界征服」のような欲がないのだ。真はそれだけじゃ物足りないと思い、でもと付け加えた。
「でも俺以外にいたら分からねぇな。チーム組んで世界も取れるだろうし、沢山いればその中で最強とは呼ばれたいね。」
それくらいの野心はある。どうだ、と聞かんばかりにジニーの顔を覗く。
だがジニーは黙りこんでしまっていた。真は「はずしたか?」と思って
「悪い、真面目に答えたつもりだったんだが…。」
と言うよりも先にジニーが少し暗い口調で言った
「じゃあもし、そんな能力を俺が持っていたら?」
初めまして、石澤初夜といいます。
まだ文章で荒いところがありますが、喜んでいただければ幸いです。
いろんな漫画の良いところを足した感じです。でも世界観、ストーリーはオリジナルです。