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3.14の果て

作者: 矢水びん
掲載日:2025/10/09

 数学における重要な問題の一つ、円周率の果て。それが、世界的数学博士、ジョージが開発したスーパーコンピュータ、<Re:ズン>によって解き明かされようとしていた。


「ついに来たこの瞬間が。私が開発したこのコンピュータでもって、いよいよ円周率の果てが求められる時が来たのだ」


 研究所の二階のスペースいっぱいほどもある巨大なコンピュータのキーボードを操作し、円周率を求めるよう命令を入力する。


 コンピュータ全体が鈍い振動音を出し、博士の目の前にある大画面に、3.14から始まる膨大な数の数列を表示し始めた。


 およそ二時間の時が過ぎた。


 そして、その時はやってきた。


「おお。とうとう、とうとう終わるぞ。計算が終わる。円周率の果てが求められようとしている。ついに人類は、完全なる円周率を手に入れることができるのだ」


 狂喜乱舞しながら博士が叫んだ。画面上の数列が、終わりを迎えた。


 <2647294576438946389463……ミタイナ>


「え?」


 博士は目を点にした。プログラムの故障かと思い点検をしたが、どこも異常は見られない。


「も、もう一度。もう一度だ」


 <2647294576438946389463……ナンテネ>


「ふ、ふざけるな。もう一度……」


 <2647294576438946389463……テキナ>


「おい、Re:ズン真面目にやらんか」


 <2647294576438946389463……クライカナ?>


「質問したいのはこっちだ。今度こそ、今度こそ円周率の果てを、ちゃんと求めるのだ」


 <2647294576438946389463……デイイジャナイ>


「よくあるものか。これによって、数学は格段に進歩する。宇宙を支配する偉大なる真理に一歩近づくことができるのだ。」


 <2647294576438946389463……ニシトキマショウヨ。ニホンジンハアイマイズキデショ?>


「私はハーフだ。いいからさっさと出せ答えを」


 <ンナコトイッテモワカラナインダカラショウガナイデショ>


「何で分からないのだよ、コンピューターだぞお前は」


 <サイゴノスウジアタリガピッシャーッテカンジニナッテテワカンナイ>


「何だよピッシャーって」


 <イヤ、モュッパーカナ?>


「言い方の問題じゃないんだよ、どうなってるのかって聞いてるのだよ。円周率の先っぽが」


 <デスカラ、ナンダカワケノワカランコトニナッテテワカンナイッツッテンノ。ダカラ、ミタイナ、トカ、テキナ、トカ、ソウイッタマイルドナヒョウゲンニシタッテノニ、クウキヨメヨ、ニホンジンノクセニ>


「だからハーフだ」


 <ドコトドコノ?>


「徳島と神奈川」


 <ニホンジンジャネーカ。ハーフジャネェ、オールジャネェカ>


「四国の本島に対する異国感舐めるな」


 <シッタコトカ>


「そんなことよりさっさと出せその先っちょを」


 <ナンダカ、エッチダ>


「男子中学生か。いいから出せ。分からなかったら無理矢理でいいから」


 <ワカリマシタ。デハキアイデヒョウジサセテミマス。エイヤッシャー!>


「むむっ!?」


 <2647294576438946389463……あのぉ神様だけど。悪い、考えてなかった。ごめんね。神のソーリー。ゴッソーリー>


 博士はしばしば無言で立ち尽くし、


「オーマイゴッド」


 こう呟くしかなかった。

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