3.14の果て
数学における重要な問題の一つ、円周率の果て。それが、世界的数学博士、ジョージが開発したスーパーコンピュータ、<Re:ズン>によって解き明かされようとしていた。
「ついに来たこの瞬間が。私が開発したこのコンピュータでもって、いよいよ円周率の果てが求められる時が来たのだ」
研究所の二階のスペースいっぱいほどもある巨大なコンピュータのキーボードを操作し、円周率を求めるよう命令を入力する。
コンピュータ全体が鈍い振動音を出し、博士の目の前にある大画面に、3.14から始まる膨大な数の数列を表示し始めた。
およそ二時間の時が過ぎた。
そして、その時はやってきた。
「おお。とうとう、とうとう終わるぞ。計算が終わる。円周率の果てが求められようとしている。ついに人類は、完全なる円周率を手に入れることができるのだ」
狂喜乱舞しながら博士が叫んだ。画面上の数列が、終わりを迎えた。
<2647294576438946389463……ミタイナ>
「え?」
博士は目を点にした。プログラムの故障かと思い点検をしたが、どこも異常は見られない。
「も、もう一度。もう一度だ」
<2647294576438946389463……ナンテネ>
「ふ、ふざけるな。もう一度……」
<2647294576438946389463……テキナ>
「おい、Re:ズン真面目にやらんか」
<2647294576438946389463……クライカナ?>
「質問したいのはこっちだ。今度こそ、今度こそ円周率の果てを、ちゃんと求めるのだ」
<2647294576438946389463……デイイジャナイ>
「よくあるものか。これによって、数学は格段に進歩する。宇宙を支配する偉大なる真理に一歩近づくことができるのだ。」
<2647294576438946389463……ニシトキマショウヨ。ニホンジンハアイマイズキデショ?>
「私はハーフだ。いいからさっさと出せ答えを」
<ンナコトイッテモワカラナインダカラショウガナイデショ>
「何で分からないのだよ、コンピューターだぞお前は」
<サイゴノスウジアタリガピッシャーッテカンジニナッテテワカンナイ>
「何だよピッシャーって」
<イヤ、モュッパーカナ?>
「言い方の問題じゃないんだよ、どうなってるのかって聞いてるのだよ。円周率の先っぽが」
<デスカラ、ナンダカワケノワカランコトニナッテテワカンナイッツッテンノ。ダカラ、ミタイナ、トカ、テキナ、トカ、ソウイッタマイルドナヒョウゲンニシタッテノニ、クウキヨメヨ、ニホンジンノクセニ>
「だからハーフだ」
<ドコトドコノ?>
「徳島と神奈川」
<ニホンジンジャネーカ。ハーフジャネェ、オールジャネェカ>
「四国の本島に対する異国感舐めるな」
<シッタコトカ>
「そんなことよりさっさと出せその先っちょを」
<ナンダカ、エッチダ>
「男子中学生か。いいから出せ。分からなかったら無理矢理でいいから」
<ワカリマシタ。デハキアイデヒョウジサセテミマス。エイヤッシャー!>
「むむっ!?」
<2647294576438946389463……あのぉ神様だけど。悪い、考えてなかった。ごめんね。神のソーリー。ゴッソーリー>
博士はしばしば無言で立ち尽くし、
「オーマイゴッド」
こう呟くしかなかった。




