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39話 テレパシー

「私は宙を舞い全てを知った。ってルークのブログに書いてあったのを思い出して、昨日まあ見たんだけど、何か心当たりない?」


 学校の屋上で、至って真面目な顔で神沢は訊いた。


「なんか、急に頭の中で引っかかってさ。謎解きみたいな感じなのかな?」


 神沢は真剣な表情で首を傾げている。

 私も至って真面目に答えようとするけど、ずけずけと近寄ってきた美幸に妨害をされる。


「あんたたち、いつもそんな会話してんのー?」


「やめときなよっ」小春と真由ちゃんが、慌てふためかせて美幸を止める。


 神沢とは毎日のように顔を合わすようにはなった。

 でも、結局のところ、二人で話し込むような時間はなかった——。


「宙を舞って全てを知った……」



 私は帰宅後、そのままの足で和室へと向かい、神沢に訊かれた答えを探していた。

 知った、ということは、宙を舞うことによって隕石の全てを理解した、という認識でいいのだろうか。

 何から手を付ければいいのだろう。

 星占術的な?

 私にはその程度のことしか思い浮かばなかった。

 何だか、現実と異世界を行ったり来たりしているようで、頭の中のチューニングが難しい。ひとまず、それっぽいものが何かないかなと、本を探す。


 宙を舞う? 飛んだってこと?


 いやいや、さすがにそれはないわと、私はうろうろとしていた足を止めた。


 星宮ひかるならありえるか?


 ワンチャンの可能性を探ってみたが、ちょっと無理がある気がした。


 現実と異世界とのチューニングが程よくなった頃、私はメールを送る。異次元の人に。


『宙を舞い全てを知った』『どういう意味かわかる? 星宮ひかるの名言らしいです』


 返事はすぐ届いた。

『意識を飛ばしたということだね』『ひかる君は、心は肉と異なる実体だと考えてたから』

 これまた鹿毛家のテレパシー的なものだろうか。

 自分なりに必死に思考を巡らせるも、考えれば考えるほど意味がわからなかった。

 返信にもたついているとメールが届く。


『まあ、夢でも見たんじゃないかな』


 私はとりあえず、ありがと! とメールを送って締めくくった。


 夢ねぇ……。


 おそらく。

 これでも、友ちゃんなりにかなり噛み砕いて伝えようとしてくれているのだろう、と思った。

 本棚の前で立ち尽くし、早く追いつきたいと、もどかしく思っている自分に驚いた。どれだけ背伸びをしてみせても、所詮はまだ子供だ。

 少しばかり勉強ができると世間にたかをくくり、合理的な人間だと鼻を伸ばしていた自分が恥ずかしくなってきた。


 そして私は間髪入れずにリザ教授の本を探す。

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