30.恐怖
…あたしはふて寝していた。でも、今自分が置かれてる状況を思い出し切り替える。
これからどうするか…っとその前に、顔に紅葉の跡がついてる人に自己紹介しないと。
「そういえば自己紹介まだでしたね。あたしは神代 結よろしく変態さん。」
「それ俺のこと言ってる?!本当に悪かったって!」
「……そうですね、今は!忘れましょう。」
「お、おう…後で攻められるな…っと俺は真壁、真壁 龍之介だ(まかべ りゅうのすけ)よろしく。」
「よろしくお願いします。…まあさっきの件は助けてもらったので…ぐぅ…忘れましょう…!」
「そうしてもらえると助かる…それにお前さんを助けるのは2回目だしな。まあ縁があったってことで気にするな。」
ん?2回目?初対面だけど…
前にも助けてもらったっけ?
「えっと…1回目っていつ?」
「ああ…あの時は会わなかったな、覚えてないか?ほら蜘蛛の怪物に襲われてたろ?」
「…!ああ!あの時!そういえば気づいたら死んでたっけ…」
「あの時も今回も、こいつで遠くから助けてやったってわけだ。」
そう言って彼が見せてきたのは、あたしの拳銃の5、6倍ぐらいはある大きな銃。
望遠鏡みたいなのがついていて、確かにこれなら遠くからでも当てられそう。
それとは別の銃もそばにある。こっちも大きい…
「そんなのどこにあったんですか?あたしのは起きた時に箱に入ってたんですけど…」
「ああ、俺のもそうだ。こっちも箱にあったんだが…同室のやつが死んだんでもらった。」
「…え、それって…」
「いや違う!勘違いするな!俺が殺した訳じゃない!その…馬鹿らしいからあんまり言いたくないんだが…」
「えっと…言いたくないなら無理には…」
「いや…まあいいか。銃口を覗いていて、誤射したんだ。本当に最悪だった…」
「それは…確かに馬鹿らし…いや御愁傷様です。」
あたしも誤射したから人のことは言えない…
ってよく考えてみれば、あの時弾が跳ね返ってきてたら死んでたじゃん、気をつけよ。
「ああ、それで仕方なく初日に外に出たんだが…デカい人型の怪物が人間を」
「やめて!」
思わず叫んだ。
ついさっきまで似たやつに殺され掛け、夢にまで出てきた。
これ以上聞いていると怖くてたまらない……今は聞きたくない。
「ごめんなさい…いきなり叫んで…」
「いや…さっき襲われたばかりだったな、悪かった。」
「…真壁さんはこれからどうするつもりですか?」
「怪物を避けながら何かないか調べるつもりだ。外出禁止なんてわざわざ公言するぐらいだ、この時間に何かをしている確率が高い。」
「そうですね…あたしもそう思います。」
確かに彼の言う通りだ。わざわざ14時間も時間が設定してあるということは、それだけ大掛かりなことをしてる可能性がある。
…でもそれを実際に確認してみるとなると、話は変わってくる。
「よくやろうと思いましたね…」
「自分でも無謀だとは思ってるさ…だがこの施設に長くいるのはまずい気がしてな。」
「そんなの当たり前ですよ…あんな怪物がウロウロしてる場所なんて…」
「ああ、それもあるんだが…気になっていることがある。」
?怪物以外に気になること?…もしかして
「もしかして、人がおかしくなることですか?」
「ああそうだ。お前も気づいてたんだな。」
「…気にはなってました。何人かがそうでしたから。」
最初の日にあたしを襲った人や、石塚君がそうなのだろう。
あの2人もこんなところに連れてこられなければ、おかしくなっていなかったと思う。
「恐怖でそうなっている、そうかもしれないが…どこか違和感がある。」
「違和感…ですか…。それは…」
「まあ俺の気のせいってこともある。」
「…いえそうとも限らないと思いますよ?」
「?心当たりがあるのか?」
「確信がある訳じゃないですが、おかしくなった2人はどこか似てた気がするんです。」
思い返してみれば、2人とも幻覚を見ていた。【笑っている】あたしにそう言っていた。
それに自分が周りに襲われると疑心暗鬼になっていた。…でもまだ偶然の可能性がある…やっぱり情報が足りない。
「今はなんとも言えないですね…」
「そうだな。だが幻覚か…それは俺も覚えがある。」
「!そうなんですか?」
「ああ…2日目外で歩いている時、死んだはずのやつが見えてな…正直怖かった…」
あたしはまだ幻覚を見たりはしてない。けど、これで3人…偶然だとは思えない。
この施設にはまだあたし達が知らない何かがある。
そもそも何が目的なの?怪物達を実験体って呼んでたけどなんの実験?…わからない…
…外が騒がしくなってきてる気がする…
「…この話は後にしよう。そろそろここから移動するぞ。」
「え…他にもこんな場所が?」
「ああ。昼のうちに何ヶ所か準備しておいた。」
「わかりました…えっとついていってもいいんですか?」
「ああ、俺はそのつもりだが?」
「…迷惑をかけるかもしれませんよ…」
外に出るって考えただけで、恐怖が全身を支配する…怖い…怖い…こわい…
もし…また人型の怪物にあったら…今度こそあたしは……い、いや…死にたくない…こわいよ…
「…ここにいたいのか?」
「ち、ちが!一緒に行きたいです!けど…怖いんです…」
「そりゃあ誰だって怖いだろ?俺だって怖いさ。」
あなたにあたしの気持ちなんてわかる訳ない!…そう言いそうになった…。
誰だってなんて一緒にしないでほしい。あの時感じた恐怖は絶対に分かるはずがない。
…結局あたしは、彼にただついて行くことしかできなかった…
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