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6、猫達の再開

ちょっと間が空いてしまいました。


闘技大会は、そのうち閑話で書きたいと思います。

「ちょっとっ!やっぱりこれで外歩くの恥ずかしいんだけどっ!!」



「宿ではノリノリだったじゃないか。性能もいいんだから常時着てたほうがいいよ。

 唯はスタイルが良いから似合っているし、可愛いと思うよ」


「ママ、つよそうでかっこいい」



「えっ?そうかな〜?えへへっ」



 唯が今着ているのは闘技大会で優勝した副賞としてもらった青色のビキニアーマーである。

 流石にビキニアーマーだけでは恥ずかしいと外套を羽織ってはいるけど。


 この村に来て闘技場の存在に感極まっていた唯は、その日に参加登録を決めてしまった。




『ドラゴンスレイヤーがジラフの闘技大会に参加する』



 この噂はライオネス国内に一気に広がり、参加者が300人を超える大イベントとなった。


 


「ほんとこの世界の男って!

 なんでこんな肌の露出が多い装備があるのかしらね」


 そんなことを言うねねだが、君も試着させてもらった時は満更でもない顔をしていたと思うんだが。


 

 主催者から贈られた瑠璃の鎧と言っていたこの青色ビキニアーマー。性能が半端ない。

 素早さと回避率が上昇する上に、普通の鎧なんかより防御が高い。

 肌の露出部分の防御なんて皆無と思うのだが、薄い魔力を身に纏うようで受けた攻撃を緩和するようだ。なんともファンタジーである。

 装備をした者の体格に合わせて大きさが変わる機能や、温度の調節機能まで付いている。


 

 闘技大会でも多く見かけたのだが、この世界の女性戦士は結構薄い装備を好む。特にこの国、ライオネスではその傾向は顕著である。

 力を誇示することが美徳とされているの国なので、男も女も肌の露出が多い。

 全てが唯のビキニアーマーみたいに高性能ではないと思うのだが、獣人の特性として身体能力の高さも影響しているのかもしれない。

 フェリも「うごきにくい」って言って重い装備は身に着けないもんな。

 



「うわーっ!装備でこんなに違うんだっ!!」 


「ママ、そっちに3ひき」


「オッケーっ!任せておいてっ!」


 

 俺たちは、旧ジラフ村へ向かって深淵の森を進んでいる。

 

 この辺りはそこまで暗く無いのだが、動物系の生魔物や、シャドーボーンというスケルトンの魔魔物が出現する。

 

 森の中でのフォーメーションはフェリと唯が先行して陽動を行い、非戦闘員のねねに敵の攻撃が向かないように行動をしている。


 だが、陽動の2人が手当たり次第に敵を殲滅しているので、俺たちはのんびり先に進めている。


 


「強い魔物が出るって聞いていたけど、結構余裕そうね」


「キューっ!」



 ねね、そういうのってフラグになるんじゃない?


 確かに聞いた話では、すでに廃村になっている旧ジラフ村付近は魔木の伐採も魔物の討伐も行われていないので、強い魔物がいるかもしれないとは聞いていたのだが、今のところは前の2人で過剰戦力だ。


 出てくる魔物はそこまで大きくもなく、唯は装備のお陰で機動力が上がっていて、スキルを使わなくても難なくこなせているし、フェリはいつも通りの通常運転である。

 

 伐採されていない割には森も深く無いのでこの程度で済んでいるのだろう。


「伐採されていないって話だけど、人の手が入ってるよな。

 なんとなくだけど森というより林に近いし」

 

「この状態を保持している感じがあるわね。間伐って言うのかしら。魔木の密度が高くないわね。

 この道だって人が通ることを想定しているみたい。森を残したいという意図も感じられるけど」


 魔木を伐採しても切り株は残らない。なのでどこの木を切ったかはわからないのだが、こんなにまっすぐに歩ける森というのは珍しい。


 廃村となった村を利用している者がいるってことかな。

 オークとかゴブリンとかがいる世界ならば魔物の巣になっていてもおかしくないのだが。もしかしたら野盗のアジトとかになっていたりして。



「ありえなくもないけど、私たちは最近、村を利用する可能性がある人たちの話を聞いているわよ」



 えっ?そうだっけ?どうやら俺もしっかり聞いているとのこと。

 全く思い出せん。



「あっ!見えてきたよーっ!」



 少し開けた場所に出たところで、前方の唯から声が上がった。

 

 魔物から村を守るためのものだろうか、それほど朽ちていない魔木の防護柵が見える。

 いくら素材が丈夫だと言っても、放置されていたならばあんな立派に建ってはいないはずだ。

 話をしていた通り誰かが村を利用しているのだろうか。


 

 村の入口に近づくと、防護柵の中に建つ見張り台から声が投げかけられる。



「何者だっ!?ここには何も無いっ!怪我をする前に帰れっ!」

 

 声が若い感じがする。男の子かな?



「俺たちはこの村にある祠に用があって来た。

 この村の責任者が居たら呼んでもらえるだろうか」


 俺も相手に聞こえるように大きな声で簡潔に伝える。

 このまま強行突破も出来なくはないけど、できれば穏便に進めたい。

 もしかしたらここの住人にほこらの情報が得られるかもしれないしね。

 

 向こうは相談しているようだ。見張り台に何人か居るのかな。


 相手の返事を待っていると、俺たちの前に矢が一本、ヒュッと音を立てて地面に突き刺さった。


「さっきも言ったはずだっ!ここには何も無いっ!おとなしく帰れっ!」



「パパ?」


 う~ん。どうしようか。聞く耳がないとはこのことか。


 事を荒立てたくなかったけど、フェリに目で合図をして、見張り台に向かってもらう。

 縛り上げてでも通してもらうしか無さそうだ。


 ひとっ飛びで見張り台に跳び乗るフェリ。


「なぁっ!な、なんだぁー、おまえっ!?って、おまえも獣人かっ?」


「あぁぁぁぁっ!!ねぇ、この子って昨日の大会に出てた子じゃないっ!?準優勝のっ!!」


「ええぇぇぇっ!?じゃ、じゃあ、あ、あそこにいるのって、優勝したドラゴンスレイヤーっ!?」



 どうもあの子達は昨日の闘技大会を見ていたらしい。


 俺たちと争っても勝てないと観念したのか、村の入口の門が開く。


「もうちょっと穏便に済ませても良かったんじゃないっ!?」


 ジト目で睨む唯は無視して村に入る。


 わー。ここは子供の村なのかな。槍を構えた獣人の子どもたちに出迎えられる。女の子のほうが多いかな。

 ただ、みんなの目は唯に向いている。それもキラキラと輝かせながら。


 まあそうだよな。おとぎ話にもなっているドラゴンスレイヤーがこんなところに居るなんて思ってもみないだろうし。

 さらに、昨日の闘技大会を知っているならば、すべての試合は結構圧倒的だったもんね。


「みんなっ!開けてくれてありがとうねっ!私はドラゴンスレイヤーでユイって言うのっ!

 この村には大人の人って居るのかなっ?もし居たら呼んでくれるとお姉ちゃんたちも助かるんだけどっ?」


 自分の役割を理解している唯が前に出て、子どもたちに話しかける。

 唯の言葉に子どもたちはざわつき始めた。


「や、やっぱり、昨日のドラゴンスレイヤーだよっ!あの水色の鎧を貰っていたの見てたもんっ!」


「ど、ど、どうしよう?」


「だ、誰か呼んできてよ〜っ!私達じゃわかんないよ〜っ!」


 動揺する子どもたちをよそに辺りを見渡すが、村のは結構ちゃんとしていた。

 そこまで広い敷地ではないけれど、畑や家畜の姿も見える。家などがしっかり立ち並んでいて生活出来ていることもわかる。

 誰か支援する大人がいるはずだ。子どもたちだけの知識ではここまでの管理や整備はできないだろう。


 あれ?あそこにいるのはフェリだろうか?

 見張り台にいたと思われる子たち一緒にすでに村の中に入っていた。なんか一人の子とは特に仲良さそうに話しているように見える。


 フェリと手を繋いだ子が一緒にこちらに向かって走ってくる。


「パパーっ!」


「やっぱりトモたちニャッ!どうしてこの村にいるニャッ?」


 

 あれは迷子の小猫娘のコーニャじゃないか。


 あー、そういえば狐人のユノが、コーニャみたいな奴隷になっていた子たちが暮らす場所があるって言っていた気がするけど、それがここってことか。



「やっぱり聞いていたでしょ?」


 ねねがニヤニヤしながら訪ねてくる。



 はい。聞いていた、気がします。



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