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0−E

気がついたら100話目でしたっ!(゜o゜)


最近、主人公のスキルがヘンテコチートなことに気がついてしまいました。


タイトル少し調整しようかな‥‥( ゜Д゜)y─┛~~

「んで、ねねはどうしたいんだい?」



 トモの意味不明な手品でサミィの体調が戻った日の午後、私は王宮で愛子さんに会っていた。

 私の、この世界でのこれからを相談に乗ってもらうためだ。


 王国の呪いから解放され、その結果、私は迷っていた。


 昨日までの私ならば、失望の中で諦めながら生きていくことしかできなかったと思う。

 この世界を恨みながら。


 しかし今日、トモと唯に希望をもらうことができた。この世界で生きぬく希望、新たな目標も定まった。

 


 ただ、私には何ができるのだろう。




「わたしはね、前の世界ではスポーツインストラクターだったんだよね。

 学生の頃は競泳の国体選手にも選ばれてね。

 仕事から帰宅途中にビルの飛び降りに巻き込まれちゃってね。飛び込む側なのに飛び込まれるなんてって、この世界に来たときは笑っちゃったよ。

 でもその子のことを恨んじゃいない。むしろ感謝してるかな。神様の計らいってやつにね。‥‥一緒に来たんだ。この世界に。

 ねねに似たいい子でね。泣き虫だったな。ごめんなさいが口癖でね。そこらへんはねねに似てないかな?」


 愛子さんが自分の過去を話してくれるのは初めてだった。



「その子は、今はどうしているんですか?」


 もしかしたら、愛子さんに悲しい記憶を思い起こさせてしまうかもしれないと思いながらも、口から言葉が出てしまっていた。


「あははっ。そんな顔しなくても大丈夫よ。あの子はわたしよりいい人が出来ちゃってね。

 わたしより年下のくせに、先にこの世界でイケメンを見つけちゃってさっ。

 この世界ではね、想う人と添い遂げると歳を取れるんだ。この世界に順応するってことなのかね。

 勇者の役目を終えることができるのさ。

 

 ねねは真面目だから、何ができるかとか、何をしなくちゃとか考えているんだろうけど、そんなのはこの世界ではね、無意味だよ、ねね。


 なんでこの世界に来てしまったのかっていうのは、わたしも考えたことはあるんだ。何か理由があるはずだってね。

 でもね、こうも考えるんだ。

 もっと幸せになるために神様が呼び出したんだってね。お前はもっと幸せになっていいんだってね。

 自分が幸せになるために、自分のやりたいことをやるのさ。


 もう一度聞こうか。ねねは、何がしたいんだい?」


 愛子さんは強い人だ。そして導いてくれる。まるでお母さんのように。


「愛子さんは‥‥、今は幸せですか?」


 愛子さんは優しい笑顔で語りかけてくれる。


「ねねはどう思う?あ~質問に質問で返すのはちょっと良くなかったね。

 わたしは幸せさっ。やりたいことをやってるからねっ。

 ただひとつ不満があるとしたら、この世界ではわたしの華麗な泳ぎを披露する場面が少ないことかな?」



 笑う愛子さんにつられて、私も笑顔になる。

 そうだった。私のやりたいことは決まっていた。


「私は、トモたちと一緒にこの世界を、この先の人生を一緒に楽しみたいです。

 ありがとうございます、愛子さん。

 すみませんっ。急用を思い出したので、今日はありがとうございました」



 愛子さんの「行っといで〜」って声を聞きながら、私は部屋を出てある場所へ向かう。


 きっとあの危なっかしい2人とフェリちゃんだけでは、いつか壁にぶち当たる。

 私がここにいるだけでは駄目だ。ここで一目置かれるぐらいの実力をつけて、3人を引っ張れる位にならないと日本に帰るどころか、幸せにだってなれない。

 

 あと、フェリちゃんがトモをパパ、唯をママと呼んでいるのも納得がいかない。

 私のこともママと呼んでもらうくらいにはならないとっ!

 そのためには、私にはもっと違った力が必要だ。



 ある一室の扉の前に立つ。ひとつ深呼吸をして、決意を持ってドアをノックする。


「賢者様、宇都宮ねねです。突然の訪問で申し訳ございません。

 少しお時間よろしいでしょうか」


 中から、「おいで」と声がする。


 部屋の中に入り、眠そうに机に伏せている賢者様にお願いをする。



「賢者様、お願いがあります。

 私を賢者様の弟子にしていただけないでしょうか?」




 次の日、早朝から王の間に呼ばれた。賢者様と一緒に王室を訪れ、これからの私の所在を報告している。


 昨日は、賢者様から即答で半分許可を頂いた形だ。

 賢者様は弟子は取らないようだった。しかし、賢者様の元で補助的な仕事を覚えながら学ぶことを許された。


 王から、他の貴族などに名目が立たないということで、新たに『王宮治療師』という役目を頂いた。

 

 私のスキルでは治療までは出来ないが、前回鑑定した国内にはびこる原因不明の病の鑑定が考慮された形だった。



 そして、公爵家と香ちゃん達の問題を王より聞かされた。

 そんなことになっていたなんてっ!その公爵のバカ息子に怒りを覚える。香ちゃんはまだ高校生よっ。洗脳して結婚なんてっ! 

 そんな状況に気がつけなかった私自身にも不甲斐なさを覚える。

 

 4人が逃げ出した街は把握しているようだった。その街の名は鑑定のときに聞いた街だった。

 運がいい。いや、こうなるように仕組まれていたか。私の行動も含めて。


 香りちゃんは聖女になりたくないというのは前々から聞かされていた。

 行動が出来なかったのは、タミィの呪いのせいか。いや、そうではない。私の決意が足りなかったのだ。


 今は、私が周りを巻き込んで幸せになるために、何を成すべきかがはっきりとわかる。



 王と賢者様に、サミィと報告をした以上の、昨日の出来事を話していく。


 そして、高校生達の処遇と懐柔方法を提案する。

 私はこんなに頭脳明晰ではないはずだった。だが、王の前にして予測が頭に流れてくる。こうなるだろうという。

 

 これは、あとから気がついたものだが、日本でのパパ活経験からのいわば身についているスキルと、この世界で与えられた鑑定スキルの影響なのかもしれない。

 


 ただし、トモのスキルによる消滅だけは今回も伏せておいた。



「アッハッハッハ。トモといったか。面白いやつだな。

 庶民の娯楽でしかないものをそこまで昇華させるとはな」


「‥‥他に何かあるわね。‥‥まぁいいわ。それより。

 魔物が人になっているのね。不思議ね」


 賢者様には何か勘付かれたかも。でも、トモと唯、そして私の今後を考えたら、この2人はある程度の距離を見極めながら付き合っていったほうが得策だった。


「トモと唯には、他の召喚勇者にはない感性を感じられます。

 ただ、トモという男は非常に面倒くさい性格でして、追うと逃げます。

 上手く利用するのが国益になるかと思います」


 トモに関してはここらへんまで言っておく。まぁ本当のことだからしょうがないよね。


「アッハッハッハ。変わり者とは聞いていたが。

 いいだろう。それでお前に何か策があるわけだな。俺も付き合ってやろう。それが国益だというのであればな」


 こういうのノリが好きな王様で良かった。

 私は、もう1つの提案をする。これが王や賢者様、もしくは神に仕組まれたものだったとしても。



「国民を失望させないためにも、私を一時的に聖女として認定していただきたいと思います。

 名目は『国を脅かす病の治癒衛生に貢献した』というのはどうでしょうか。

 国内に公衆衛生まで広められたならば、今後の疫病リスクは大幅に減っていくと考えられます。

 その後は、聖女の称号はお返しいたしたいと思います」


 聖女の称号は争いを産む。私には重すぎる。欲しいのは、『聖女だった』という記録。

 この世界で、生き延びていくための私の武器になる。



 公衆衛生の資格の勉強がこんなところで役に立つなんて。


 知識は身を助けるっていうのはこういうことね。

 

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( ゜Д゜)ノ


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