天才はえんぴつ1本だけで十分だろ……ほらチェックメイト、缶コーヒーをおごれよ同士
『天才』
秀でている才能って意味合い。
なんだけど、なんだけどさ。
こー言うのって、バカやってる集まりじゃん。
でね、そんな奴らの『企画』にまんまと嵌まった話。
▫▫▫
「第一回!テストをえんぴつ1本でやってみよう企画!」
同級生の達弥が言う。
「なんじゃ、それ」
自分が聞く。
「前に言ってたじゃん、『えんぴつ一本でテストを受けてみよう』って」
もう一人の同級生、三樹が返す。
「それ、隣組の輩が話してたやつじゃろ。何でワイらがやらんといかんね」
「皆に知れ渡ってさ、うちらもその企画に乗っかったんじゃ」
達弥が言う。
「ワイはパス、アホらし」
その場を離れようとした瞬間――
「逃げるんか」
隣組の媽木が自分の前に立ちはだかる。
「なんや、媽木。ワイになんか用か」
「あんた、テストの点数……ええ方じゃろ」
「それがどないしたっちゅうねん」
媽木は自分に近づく。
「賭けに買ったら、缶コーヒーをおごるからよ」
「……あ?」
「だーかーら、缶コーヒー、おごるから!やって欲しいんだ!」
「……しゃあないな。その勝負、受けよう。その代わりちゃーんと、缶コーヒーおごってな!」
変な『企画』に嵌められた。
……なんや、えんぴつ1本だけでテストをやろうだなんて。
まー、ええわ。実質似たような事やってるし。
普段通りにやって、早く面倒なの終わらせたいなぁ……
▫▫▫
後日、テストの結果が張り出された。
ちなみに、男子生徒は全員その『企画』に試したらしい。
それに、皆が皆……謎の賭けもやったらしいが。
本当、アホばっかりやわ。
先生に見つかったらアウト寄りのアウトやで。
でな、結果。
自分が学年一位だった。
……ホンマもんの『えんぴつ1本だけで』、成し遂げた。
「……ガ、ガチモンの天才やな」
媽木が自分に言う。
「これで証明したろ、チェックメイトや。ほな、缶コーヒーをおごらせていただくで!」
こうして謎の企画は終わったのであった。
めでたし、めでたし……?