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第3話 異世界の旅も大変だぜっ!! 1

「あつい~」


 チー太郎達はフラフラとした足取りで砂漠を進んでいる。


「なんで砂漠なんて越えなきゃいけないのよ~」


「しょうがないだろー。近くの村を回っても魔王の情報ないんだから。もっと人の多い所に行かないと」


 チー太郎もすぐに魔王が見つかるとは思ってなかったが予想以上に何の手がかりもなかったことに少々拍子抜けしている。


 冒険もいざ始めると結構地味なものだった。行く先の村の村人やチーター達に話を聞いてまた次の村を目指す。道中もモンスターなどおらず、自分と同じサバンナにいそうな動物がいるだけで戦いなどもない。異世界といってもこういうところは前世と変わらない。


「でも王国てどんなとこなのかしら? 大きな国って話だけど村の十倍くらい?」


「あんな田舎の村じゃ比べ物にならないだろ」


 情報がなく困っていたチー太郎達は訪れた村にいた行商人に出会った。行商人は北にある大きな王国から来たらしく、そこには世界中から多くの人が訪れるという。行き詰っていたチー太郎達はその王国に行くことにした。


「なによ失礼ね。それになんでわかるのよ。あんただってずっと村の近くで暮らしてたのに」


 地元を田舎扱いされてカリファに文句を言われるが、チー太郎はその王国に期待を持っていた。


 行商人はヨーロッパ風の服装をしていた。チー太郎が前世で憧れていた異世界転生先の王道地域である。魔王の存在、猫神に与えられて加護の力もありチーターになって諦めていたチート無双熱も再燃した。


「へへん俺だってそれくらい予想がつくぜ」


「なによ調子がいいわね? それにしても疲れたわ。ちょっと休憩しましょ」


 カリファは背負っている大きな荷物を降ろすとその場に座り込む。


「そうだなこういう熱いところではこまめな水分補給が大切なんだぞ」


 チー太郎も立ち止まり背負っているチータ用の荷鞍から器用に水飲み皿をくわえて取り出すとカリファの前に差し出す。


「もうどこでそんな言葉覚えてくるんだか」


 前世の知識をひけらかしたいチー太郎の気持ちなど知らないカリファはあきれ気味のようだ。ヤレヤレといった態度で荷物から水筒を取り出す。ふたを開けて皿の上で傾けると水が一滴落ちすぐに蒸発してしまう。


「おい、その水筒空じゃないか?」


「あれ? おかしいわね」


 カリファは次々に他の水筒を取り出し傾けるが水は出てこない。空の水筒が増えるにつれて焦りが増していく。祈るように最後の一本を傾けるがやはり空だった。


「えっ? カリファ……水は?」


 チー太郎は熱い砂漠なのに寒気を感じながら恐る恐るカリファを見る。カリファの顔が真っ青に染まると申し訳なさそうにつぶやく。


「ごめん…… もうないみたい……」


「えっー!! どうするんだよこんな砂漠のど真ん中で水がないって!!」


 カリファは水筒の山に指をさして反論する。


「しょうがないじゃない! 私だって砂漠とか初めてだし。これぐらいあれば足りると思ったのよ。それに水ってすごい重いのよっ!」


 チー太郎は水筒の山を見る。水筒は十本以上あり全部満タンならかなりの重さだろう。そう思うとあまり責められない。


「でも、これからどうするんだよ?」


 不安そうな顔をするチー太郎だが、カリファは開き直った態度で言う。


「こうなったら急いで砂漠を渡りきるしかないわ! 行くわよチー太郎!」


 カリファは最低限の荷物をまとめる急ぎ足で歩き出す。


「えっー! 大丈夫かよ!?」


 チー太郎も驚きつつもすぐにカリファを追いかける。


 せっかくの異世界の冒険なのに幸先の悪い出だしでこれからが思いやられるチー太郎だった。

お読みいただきありがとうございます。

かなり時間がかかってしまい申し訳ありません。

多忙につき執筆時間がなかなか取れなくなりました。

投稿ペース維持のために分割して1部分当たりの文章量を減らしていこうと思います。

読者の方にはご迷惑おかけしますがこれからもお読みいただけると幸いです。

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