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迎撃

テロリストが攻撃してきます。

 ホテル本館から離れた場所にある別館。

 現在東南アジア各国の首脳が会議を行っている。

 この建物は本館から通じる一本道を通らないと来られないので警備上便利だ。

 その一本道の別館側出口にはM2機関銃が据え付けられた検問が設けられていて、警備を担当する吉崎の傭兵会社の社員が詰めていた。

 この会社の中でも最精鋭のIRONBLOW第一分隊の第5席、コールサインIB-5のドイツ人、リヒャルト・フォン・ファルケンハウストと同じく第8席でIB-8の日本は神戸の出身、大黒文和だ。



「かれこれ四半日詰めとおけどほんまだれもけぇへんなあ」

と関西弁(神戸方言)丸出しでぼやくのは大黒。

一時間に一回聞かされるぼやきに

「当然だ。一般人は近付けない。第一近付いて貰っては困る」

といかにもドイツ人というように実直かつ真面目に返すのはファルケンハウストだ

「せやけど…?あれは」

「どうした」

その時、大黒の目が猛然と突進してくる何台かの自動車を捉えた。

「ようやく敵さん来はったでぇ」

「ああ」

二人は目を合わせると機関銃に飛び付き猛烈なフルオート射撃を開始した。


 機関銃が次々に12.7mm弾を吐き出す音は会議中の首脳達の耳にも届いた。

「始まったようだな」

ベトナム大統領コーは誰に言うでもなく呟いた。

「だが、傭兵ごときに任せて大丈夫なのか」

「大丈夫だ」

不安を隠せない様子のタイ首相に、自信ありげに言い切ったが彼自身も一抹の不安はどうしても消えなかった。


傭兵たちのボスである吉崎大武は、この仕事では二個分隊を直率して会議場のフロアに分散して伏せさせていた。

その大武の耳にも戦闘の音は届いていた。

「来たか」

そう一言だけ呟くと傍らの通信機を取り、全員への回線を開いた。

「ジェネラルよりIB-7(大黒)、状況知らせ」

『IB-7よりジェネラル、どうもあかん。

たぶん防弾を強化しとんやろけど、12.7しこたまぶちこんでもなかなか効かへん。

このままやったら乗りもん潰すんで精一杯やわ」

「了解。

全弾撃ち尽くした後検問を爆破、ライン『キャッスル』まで後退せよ。

一個分隊で合流する」

「IB-7了解」

「IB-5了解」


簡潔な返事を聞くと、また別の回線を開いた。

「ジェネラルより外周警戒中の各員へ。

哨戒を中止し可及的速やかにライン『キャッスル』へ向かえ。

以上」

命令を下し終えると、彼自らも傍らのアサルトライフルを肩に掛け、大儀そうに立ち上がった。

「さて、行くか。IB第二分隊、俺に続け!」

そして彼も戦場へと駆け出した。


ー検問ー

「あとどんぐらい残っとお?」

「1342発」

「なんでそんな細かいねん」

「一発ずつ数えている」

「…まあええわ。撃ち尽くしたら地雷全部爆発さしてスタングレネードたたきこんで退却。

OK?」

スタングレネードとは敵に大きな音をぶつけてショック状態を起こさせる非殺傷兵器ノンリーサルウエポンの一つだ。

「ああ」

と、その時、大黒のM2は吐き出す弾を失い沈黙した。

「切れたわ」

そういうと大黒は傍らに置いてあった大型のホッチキスのようなものを手に取った。

対人用地雷クレイモアの爆破装置である。

これには細工がしてあって特定のスイッチを押せばすべての地雷を爆破できるようになっている。


「|ワンミニッツ(後一分)」

「よっしゃ、最後はカウントダウン頼むで」

「わかっている」

「無愛想やなあ」

ぼやきながらもMP5を片手で撃ちまくる。

殆ど命中していないが狙いが付けられず逆に弾道を予想しにくいためいい牽制になっている。

「10、9、8、7…」

「よっしゃあ」

ファルケンハウストのM2も見る見るうちに残弾を減らす。

大黒はMP5を肩にかけると片手に爆破装置、もう片方の手には2つスタングレネードを持った。

「3、2、1」

「いくでえええええええええええええええええ!」

思い切り叫ぶと左手で爆破装置を押し、右手で全身全霊を込めてスタングレネードを放った。

次々に爆発音が響き石畳がめくれ人が吹き飛ぶ。

そんな阿鼻叫喚を尻目に二人はわき目も振らずに全力で走り出した。

追撃は来ない。



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