0.5話〜幕間〜
何事もなく仕事を終えた昇とケビンがベトナム軍の基地に戻ると社長、吉崎大武が待っていた。
「二人共戻ったか。聞くまでもないと思うが仕事はどうだった?」
「いつも通りの理想的な一撃必殺でしたよ」「ところで親父自らこんなところまでどうしたんだ」
「ああ、まあ率直に言うと早速次の仕事だ」
「まじっすか…」
「文句を言うなケビン。傭兵は」
「あ―分かってますって。『傭兵は信頼第一だ。我々は信頼に答えているからこそ安定した収入を得られる』でしょ?」
ところでこの
「信頼」についてだが、実は吉崎の会社にはあるカラクリがある。
この会社は民間軍事会社にも関わらず、諜報部という部署を持っているのだ。
―もちろんその存在は厳重に秘匿されているが―
そして諜報部からもたらされる情報を元に世界の様々な場所の拠点に兵力を展開させる。
そうすることで他には真似できないスピードで依頼を遂行できるようになり、結果的に圧倒的な信頼を勝ち得ているのだ。「次の任務は近々サイゴンのホテルでASEANの会合がある。それの警備をする」
「なんで俺達がそんなことを。ベトナム軍がやりゃあいいじゃないっすか」
この疑問には昇が答えた。
「いまベトナム軍はゲリラ狩りで忙しいんだ。こんな重要なことを依頼されるのは信頼の証さ」「まあとにかくだ。俺がここに来たのは言伝てを頼んだりするより自分で伝えた方が早いと思ったからだ。ほら、さっさと行くぞ」
そして彼らは輸送機に乗り込んでいった。