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23 エルフ系少女とPVP

二人は芝生を堪能した後、周りの様子を確認することにした。

後ろには山があり、岩山や草原が近くにあった。

少なくとも砂漠のような砂地獄になることはないだろう。


「うーん。 心なしか空気が澄んでいる気がするー」

ルナを見ると腕を組み、思いっきり伸びをしていた。


「それで? 一応の目的は達成できたわけだけどどうするの?」

レイのおかげもあり、目的地だった大木には行けなかったが砂漠の脱出という目的は達成することができた。

現在地は目的地だった大木が左右逆にあるのでどうやらここは山の向こう側らしい。


「そうだね……ダンジョン探しはこれまで通りとして、ちょっとマップ見てみて」

ルナに言われた通りマップを見るとマップに赤青黄色の光点があり、マップ外、右側にランキングがあるのに気が付いた。


1位 カリス 二グ 日の出時25359Pt

2位 ユウ おぼろ 日の出時15740Pt

3位 グレイ キール 日の出時10560Pt

というランキングになっていた。


「2位と3位は分からないけど1位のカリスさんってあのドラゴン手伝ってくれた人か……1日で2万も稼いだんだ……」

シロは率直な感想を言った。


「2日目の日の出に公表された奴だと思う。 まあ自分の強さに自信がある人がどんどんプレイヤーを狩ってるんだろうね……  ちょっと本格的なPVPに入るタイミングを早めないとポイントの量が減るかもしれない」 

ワープ装置があったダンジョンに入った時、周りはまだ若干薄暗かったが、今は太陽が完全に出ており、明るくなっていた。

おそらくだが、カリスやユウといった上位陣は今もポイントを稼いでいるのだろう。


「まあ、とりあえずはダンジョン探ししながら……そうだね。 あの浮遊島まで行こうか。 あんなに目立つんだから何かあるでしょ」

そういい、砂漠で見えたころとは段違いに大きい浮遊島を目指し、二人はガロに乗って草原を進んでいった。



流石に砂漠の二の舞にはならず、2時間もすれば森が見えるようになった。

浮遊島も今日の日没にはつくだろう。

そして二人は草原の真ん中にあったきれいな小川のほとりで料理をしていた。


「ところでさ、そのお茶いつ買ってきたの?」

焚火の前で魚と肉の串焼きを作り終えたルナがシロの方を見るとスフィンクスのダンジョンの時にも飲んでいたお茶を飲んでいた。


「ん? これ? 町の雑貨屋の隅っこにぽつんと置かれてたんだ。 効果は何もないけど水とMPでお茶ができる便利なやつ。 飲む?」


「それじゃあ…… うん。 なんの変哲もないただのお茶だね。 味も普通に緑茶」

二人が話していると遠くからも~と言う牛のような鳴き声が聞こえた。


「どうする?」


「もちろん狩る。 まだ食料があるとしても後8日は流石に持たないからね」

そういい、二人はガロに乗ろうとし、小川の下流の方を見ると水浸しのガロがいた。

どうやら砂漠での砂を落とすために水浴びをしていたらしい。


「……シロ、ガロと一緒にここで待っててくれない? ちょっと行ってくる」

ルナは少しあきれた様子でその牛のところまで走って行った。


『グルル……』

ガロは少し申し訳なさそうな声で鳴いた。



ルナを待っている間ガロは自分の毛を焚火で乾かし、シロは偽物戦の時に減ってしまった装備の耐久を回復させていた。

しばらくするとガロが一点を向いて唸っていた。

シロもそっちを見ると2人の男がこちらに向かってきているのが見えた。

「接近されると面倒かも……さっさと吹き飛ばした方がよさそう! 【ファイヤーボー……」


『ガウ!』

シロが魔法を発動させようとするとガロがシロの方を見ていた。

どうやらガロも戦いたいようだ。


「よし! じゃあ行こうかガロ!」


『ガウ!』

ガロも戦闘ができるということで嬉しそうだった。



シロはガロに乗り、その男のいるの方まで走って行った。

「おい! 何か来るぞ!」


「あの煙、モンスターかよクソ!」

ガロを見つけた2人は即座に武器と盾を構え、ガロを迎え撃とうとした。

そしてガロは2人に向かって大きくジャンプをした。

「えぇぇぇぇぇ」

シロはジャンプの勢いに負け、空中に投げ出されてしまった。

「な! プレイヤーだと!」


「どうにでもなれ! 【サンダーブレス】!」

敵は飛び出たシロを見て迎え撃とうと盾を構えたが、空中に投げ出されたシロの魔法を頭から受けてしまった。



『グルルル……』

ガロの方を見るとガロは相手の盾で胸を押し、地面に背中をつけさせていた。

どうやら手は動くらしく、離してしまった武器を探すように地面をまさぐっていた。

「クッソ! こいつめ! 卑怯だぞ、正々堂々と戦いやがれ!」


「うーん、卑怯かなぁ……」

むしろ爆撃しなかっただけ正々堂々だと思ってほしいものである。

ガロはそれを遺言としたのか、頭にかみついた。


【1289Ptのポイントを獲得しました】


「やったねガロ!」


『ガウ!』

ガロも嬉しそうだった。



焚火の場所に戻り、ガロと戯れているうちにルナがほくほく顔で帰ってきた。

おそらく大漁だったのだろう。


「お疲れさまルナー どうだった?」

とりあえずは何もなかったかのようにふるまう。


「うん。 結構大漁だった……じゃなくて! 狩ってる途中でポイントを入手しましたって出たんだけどどういうこと?」

どうやら筒抜けらしい。


「ああ、それはね……」

シロはさっきまでの出来事を軽く説明した。


「うーん……もしかしてだけどこの焚火が狼煙の役目をしてるのかな……」

狼煙というと煙を上げて情報を伝達する手段のことである。

おそらくあの二人はそれをダンジョンか何かだと見間違え、倒されたというわけである。


「まあポイントは多ければ多いほど嬉しいしし。 それじゃあもっと稼ぐために浮遊島まで移動しようか」


「おー!」

二人はしっかりと焚火の処理をした後、ガロに乗って進むことにした。

因みにだが今のガロの毛並みは新品の座布団に乗っているような感覚だった。



とうとう草原を抜け、森にたどりつくことができた。

森で出てくるモンスターはどうやらゴブリンらしく、ちょくちょくゴブリンがガロに向かってきていた。

そしてゴブリンを倒していくこと7体目のことだった。

「ゴブリンが多いのも面倒だね」


「あいつら特にいい物落とさないからね。 【斬月】」

ガロに乗りながら近づき、流れ作業でルナが倒そうとしたが、そのゴブリンの挙動がおかしいことにルナは気が付いた。

そのゴブリンは刀が当たる距離まで近づいているにも関わらず、こちらに全く興味を示さず、木の実をを頭の籠に入れた後、そそくさとどこかに行ってしまったのである。


「ねぇシロ。 どうする? ついていく?」


「うん。 何か面白いことになりそう」


「オッケー!」

二人がそのゴブリンについて行くと一つの小山にたどり着いた。

ゴブリンはその小山のふもとを歩いて行き、急に消えてしまった。

二人がそれを見るとそこには鉄扉が埋め込まれてあった。


「ルナ、どうする?」

一応攻略するかスルーするかを聞いておくことにした。


「攻略するよ。 少しでもポイントを稼がなきゃ」

二人はガロから降り、ダンジョンの準備をすることにした。

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