22 エルフ系少女と共同探索
「ここ」
二人がガロに乗り、レイの後ろにについていくと、ダンジョンにたどり着いた。
「なんとまあオーパーツ味のあるダンジョンだこと」
ダンジョンにはところどころに基盤のようなものがはめ込まれており、砂漠にあるにしてはどうにも不自然だった。
「この奥に手伝ってほしいものがある」
「なるほどね……」
レイに返事をした後、レイがダンジョンの扉を開けていた
「もちろん一時休戦で」
レイがそういうと3人はそそくさとダンジョンの中に入っていった。
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怪しい研究所のような場所をレイを先頭に二人は歩いていくとゴーレムと鉢合わせてしまった。
「2人とも! 前から敵!」
ルナが警戒を発するとほぼ同時にシロはすぐに杖を取り出し、レイも双剣を構えていた。
「私がやる。 【雷電】 【ダブルアタック】 【チェインスラッシュ】」
レイが壁を走りゴーレムの頭上から多数の技を叩き込んでいく。
だが、まだ攻撃力不足だったのかゴーレムはまだ倒れていなかった。
「【雷装斬月】」
それにルナがしっかりととどめを刺した。
「おぉー……そういえば名前聞いてなかった」
レイは名前を呼んでほめようと思ったが名前を聞いていないことを思い出した。
「そういえばそうだったね。 ボクはシロ、そっちは……」
「私はルナ。 短い間かもしれないけどよろしく」
「今更だけどよろしく。 それでルナ、あのスキル凄いね」
「へへ、どういたしまして。 あなたも壁走りなんてすごいことできるね」
褒められたルナは少し照れくさそうだった。
ルナもそのお返しとばかりにレイにも同じことをした。
「ありがとう。 ルナ」
「むぅ。 出番がない……」
シロはというといまだに手柄が無いことに少しむすっとしていた。
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時折現れるゴーレムを倒しながら進んでいくととうとうボス部屋にまでたどり着いた。
因みにシロはいまだに手柄がゼロだった。
「ねえねえ。 ボスの最初の一撃はボクがやってもいいかな?」
とうとうシロの欲求が爆発したのか、二人に聞くことにした。
ルナとレイは敵に密接して攻撃をするので魔法で巻き込んでしまうシロとの相性は良いとは言えなかった。
「そういえば全然魔法撃ってなかったね。 いいよ。レイもいいよね?」
「別にどっちでも。 それよりあれはいいの?」
そう言いレイは杖を掲げているシロに指をさした。
「まあこのゲーム始めた理由が魔法を撃ちたいだからねー。 禁断症状でも出てるんじゃない?」
ルナもよくわからないので適当に返すことにした。
「そうなの?」
レイは腑に落ちない様子で首をかしげていた。
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扉の奥に行くとダンジョン内でたたかっていた物の数倍大きいゴーレムが陣取っていた。
「吹き飛べ! 【ファイヤーボール・爆】!」
シロはその容姿を少し確認すると同時にそのゴーレムの足元に魔法を撃ちこんだ。
そうするとゴーレムの足が壊れ、地面にうつぶせになって動かなくなってしまった。
「まぁシロの火力ならこうなるよね」
ルナは当たり前かのように腕を組みうなずいていた。
レイは目をキラキラさせながら感心するかのようにシロを見ていた。
「あれどうする? ボクがとどめを刺してもいいかな?」
「どっちでもいいと思うよ。 やらないなら二人でやるけど」
「じゃあやっちゃうね【ファイヤーボール・爆】」
シロは地面に倒れて無防備なゴーレムに魔法を撃ちこみ、ゴーレムを爆発させた。
「うーん……やっぱり何か物足りないなぁ……」
「流石に核撃魔法の範囲だと私たちも巻き込んじゃうからね。 しょうがないよ」
「ルナの技もすごいけどシロの魔法もすごい威力」
レイがほめてくれた。
さっきまでいいところがなかったシロはすごくうれしかった。
「ありがとうレイ……レイ?」
シロがレイの方を見てお礼を言おうとするとレイからうっすらとだが紫色の靄のようなものが見えていることに気が付いた。
「どうしたの?」
どうやら本人はその靄に気が付いていないようだ。
「ごっほん!」
ルナがその空気を断ち切るように咳ばらいをした。
2人はその後すぐに魔法陣に乗り宝箱のある部屋に移動することにした。
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「これ」
宝箱の部屋に着いたレイは早速宝箱の奥にある基盤でできた魔法陣のある円盤を指さした。
因みにだが宝箱の中身はすべてシロとルナがもらってもいいとのこと。
本人曰く
「私は手伝ってもらった側だから」
ということだった。
中身は500のコインが1枚だけだったが。
「この円盤に一定以上の魔力を加えると動くらしい。 私ひとりじゃ魔力……MPが足りなかった」
「MPねぇ……シロ!」
早速MPの塊であるシロを呼んだ。
「任せて!」
シロがその円盤にMPを加えていくと円盤の外周が外れ、近未来的な装置になり、基盤でできた魔法陣が光り輝いていた。
そしてその装置自体を調べると面白いことが書かれていた。
【遠距離用ワープ装置】
古代の遺物。
遠距離用の魔法陣が作られており、古代人が足代わりに使っていたことがうかがわれる。
「ありがとう。 私ひとりじゃMPが足りなかった」
そういうとレイはぺこりと頭を下げてきた。
「別に大丈夫。 これを使えばあの砂地獄からも抜け出せそうだし……」
ルナが天を仰ぐ。
レイもそれを聞いてあの景色を思い出したのか少し笑っていた。
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3人は魔法陣の上に乗り、魔法陣を起動させた。
いつもの2倍近い時間がたった後、視界が開けた。
そしてシロの目には草原が広がっており、後ろを見るとオーラの吹き出ている山の絶壁があった。
思っていたよりも急傾斜だったらしい。
「やった……やっと砂以外の地面に足を踏みつけられた……」
ルナが久しぶりの砂以外の地面に感激する。
1日しか日は立っていないが、ずっと同じ景色というのが堪えたのだろう。
シロも同じ感覚を全身で感じていた。
「レイはこの後どうするのー」
寝そべりながらレイに聞く。
「二人にはもう私と戦闘をしない理由がない。 どうする」
レイはそう言い腰に装備してある双剣に手をかけていた。
「ボクはもう戦う気はないかなぁ」
「私もー もう少し休憩したいし」
「そう。 それなら私は」
「そうだ。 それじゃあ別れる前にフレンドにならない? 後でまたお話したいし」
背中を向けたレイを呼び止め、シロが提案をする。
「うん。 それじゃあ、またどこかで」
早速シロとルナとフレンドになり、レイは二人の元を離れていった。
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「そういえばさ。 さっきのボス戦の時レイと見つめあってたじゃん。 あれ何で?」
ルナが大の字で寝そべりながらシロに疑問を投げかける。
「うーん……なんか変なのが見えてさぁ」
「変なの? 私は見えなかったし気のせいじゃない?」
「そうかなぁ」
シロにはあのレイから出ている靄はまるで何かのデバフのようだなぁ。
そう思ったのだった。
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