15 エルフ系少女とお手伝い
「それがコハクさんに作ってもらった装備?」
「そう! どう? 似合ってる?」
早速シロは迎えに来たルナに装備を見せていた。
「うん。 すっごく似合ってるよ。 なんというか夜空みたい」
「夜空……? そっかこの色だからそう見えるのか……」
黒に銀色の装飾である。
確かに夜っぽくも見えるだろう。
「じゃあ早速その装備の性能を確かめに行こうよ」
「オッケー」
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町の外に出た二人はガロを召喚したりとこまごまとした準備をしていた。
「そうそう。 これから行くところって結構狭いからさ。 狭いところでも使えるような魔法作れない?」
「狭いところなら【ファイヤーボール・爆】とかなら効率的に狩れそうだけど?」
「流石にあれは広すぎ。 直撃は当たらないとはいえ爆風は当たるんだから。 巻き込まれたらどうなるかわからないし」
このゲームは直接は当たらないが間接的には当たるらしい。
そして火魔法の爆風は間接の方に当たるのだと。
「でも爆発系以外の魔法をボクが撃ったらどうなるかはルナも知ってるでしょ?」
魔法の外しすぎでゲームからノーコンといわれるほどだ。
まあ当たらないことは火を見るより明らかである。
「それを知った上でのお願いなんだけど……だめ?」
「うーんちょっと作ってみるね」
「ありがとうシロ! 本当に!」
「う、うん」
シロは早速【魔法作成】を起動させ、魔法を作り始めた。
ルナがここまで喜んでくれるのをうれしく思うと同時に一体どこに連れていかれるのかという恐ろしさもあった。
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「ルナ! こういうのはどうかな? 【サンダーブレス】!」
シロが作った魔法は【サンダーブレス】。
リトラの洞窟でたたかったドラゴンのブレスを参考にした魔法である。
「うん。 これなら大丈夫だと思う」
シロの発動した魔法は前にバチバチとした感じの霧を放射ししばらくして消え去った。。
バチバチ感がなかなかに好ましい。
「それじゃあ早速出発するから乗ってよ」
「うん」
二人はガロに乗り、シープカウのいた方とは真反対の方向に進み始めた。
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「おー! 海だぁ!」
しばらくガロに揺さぶられていたシロの目の前には大海原と砂浜が広がっていた。
シロは目の前に広がる白い砂浜に目を奪われていた。
「海が見えたってことはあともうちょっとか……準備しておいてね」
「うん! わかった」
どうやらあと少しらしい。
シロは武器をストレージから取り出し装備した。
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今、二人の目の前にあるのは豪華そうなお屋敷だった。
真後ろには海があるので別荘か何かなのだろう。
「シロ。 着いたよ……」
「うんなんかそれっぽいのはあるけど……どうしたの?」
明らかに元気がない様子
「ううん何でもない……中に入るとクエスト始まるから早く入ろ」
「あ、待ってよー」
今のルナは大丈夫ではないだろう。
シロは理由の予想はつきつつもクエストを受けるため早速中に入っていった。
中に入るとモノクルを付けた初老のバトラーが出迎えてくれた。
「依頼させていただいたルナ様ですね。 そちらの方は?」
「ボクはシロって言います」
「シロ様ですか承りました。 こちらへどうぞ」
【クエスト 貴族の尻ぬぐい を受注しますか?】
シロはクエストを承諾しながらメイドの案内で地下の倉庫まで行くことになった。
「シロ様。 ルナ様。 今回のご依頼を説明させていただきます。 ご依頼内容は倉庫の一番奥の宝物殿から一つの杯を持ってきてほしいのです。 ご主人様が必要なので取りに行ったらモンスターが多すぎて近づけませんでした。 しっかりと報酬はお支払いしますのでお願いします」
「わかりました」
「はい……」
「こちらは最深部、宝物殿の鍵になります。 ご健闘をお祈りしています」
そういい、バトラーは倉庫から出て行った。
「じゃあシロ。 さっさと終わらせちゃおう……」
「うんそれは賛成だけど本当に大丈夫?」
「うん。 なんとか」
ルナは頬を叩き気を入れなおした。
二人は早速倉庫のドアを開け、宝物殿に進んでいった。
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「【サンダーブレス】!」
シロは早速とばかりに前からくるモンスターに新魔法を浴びせて行った。
「シロばっかりに任せるわけには……ひぃ! 無理! 無理ぃ!」
「まあ予想はついてたけどこんなに多いとはね……」
このダンジョンで出てくるモンスターはシロの予想通り虫系の一つのクモ型のモンスターだった。
「これはゲームだとしてもこればっかりはだめ。 早く倒して……」
「わかってるよ! 【サンダーブレス】!」
ルナはシロの肩に手を当て、電車ごっこのような状態で前からわらわら出てくるクモを倒していった。
幸い、【サンダーブレス】で1撃で倒せるので最悪の事態になることはなかった。
「早く進も……こんなクモ地獄から早く脱出したい……」
「むかしっからほかの虫はいいのにクモだけはだめだよね。 ルナって」
「あの8本足がわらわらしてるところとかもう無理! これはゲームだから大丈夫これはゲームこれは……」
「早くクリアしないとルナがだめになる……」
ルナの精神的ダメージが限界を迎えない内に早くクリアしなければならないことは明白であった。




