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14 エルフ系少女とナジュムグランツ

お昼ご飯を食べ終わり、休憩も終わった二人はまた葵の家に来てゲームを始めようとしていた。

「それじゃあ葵は装備受け取ったら中央に集合ね」


「わかったそれじゃあ〈ゲーム……」


「なんじゃ? 葵以外に誰かいるのか?」


ゲームを始めようとした二人に誰かが急に話しかけてきた。

「わ! お爺ちゃん」


「どうもお邪魔してます」


「ふむ。 葵の友達か。 わしの名は白仙びゃくせん雲海うんかい。 これからも葵をよろしくの」


「は、はい!」

そういい、雲海はよぼよぼと下に降りて行った。


「ふぅ……怖かった……」


「お爺ちゃん怒ると怖いからね…… まあ気を取りなおして始めようよ」


「そうしよそうしよ」


「「〈ゲームスタート〉」」



ゲームにログインして早速目に入ったのは大草原だった。

マイルームで落ちたのでマイルームからのスタートなので当たり前である。

「うーん……あまりに悲しすぎるなぁ……イベント終わったらでいいからしっかりと整備しなきゃ……」

とても空しい気分のシロだったが気を取り直して町に行くことにした。



町に戻ったシロは銀魔石を補充した後コハクの店に行くことにした。


シロがコハクの店につくと、コハクが店のカウンターでむすっとしながら頬杖をついていた。

「あ、シロちゃん。 フレンド登録し忘れちゃったから連絡できなかったのよ。 だからハイ」


【プレイヤー コハクからフレンド申請が来ました ハイ/イイエ】

もちろんハイである。


「これで大丈夫ね。 あ、お金は今回のドラゴン素材のあまりをもらえればそれでいいわ。 それでどうする? 見る?」


「はい!」

もちろん即答である。


「いいわ。 とりあえず上に行きましょ」



「はい。 これが装備ね」

2階に上がった二人の間にはシロの装備がふわふわと浮かんでいた。

見た目は肩の多く出たノースリーブのワンピースで黒に銀色の刺繍や装飾がされておりなんというか黒いクラリネットのような装備だった。


「おお! 流石ですコハクさん! かっこいいです!」


「でっしょー。 もちろん見た目だけじゃないわよ? 中身もすごいことになってるんだから」


早速シロは装備の説明を読んでいった。


【ナジュムグランツ】

一体化装備

[装備条件]

INT 85以上


[装備スキル]

装備条件収束化

魔導修復

魔力蓄積 Ⅰ


[武器能力]

INT値+90

耐久 120


【魔導修復】

MPを消費して耐久値を回復させることができる


【魔力蓄積】

魔導修復時に消費したMPの3割を蓄積することができる。

一定以上蓄積されると魔力蓄積のレベルが上がる。


まさにシロ専用の装備と言っても過言ではないだろう。

「すごい……」


「まあ中身はその辺にしてささ、装備して装備して」


「はい!」

シロはコハクの進めるがままに装備を身に着けていった。


「やっぱり黒の素材を使ったのはよかったわねぇ。 装飾の色が指定されちゃってたのが大変だったけどそれもそれでシロちゃんの魅力を引き立たせて……いいわぁ! いいわよぉ!」


「えっとコハクさん?」

コハクの息が過呼吸気味になっている。

今のコハクを見れば小さい女の子を襲おうとしている不審者だろう。

見る人が見れば通報されてもおかしくはない状況である。


「ごっほん…… 鏡はあっちだから見てきてらっしゃい」

我に返ったコハクさんが部屋の隅にある姿見を指さしてきた。


「あ、はーい」


 あまり触れないのが得策だろう。



「おぉ……すっごいかっこいい! 性能もいいし上にかっこいいとか流石ですコハクさん!」

どうやらさっき見せてもらった物は装備の一部だったらしくワンピースの上からぶかぶかとしたローブを羽織っていた。

そして頭にはドラゴンの角のような飾りがついており、足には黒革と銀色の金具のブーツと黒に履き口が白になったニーソになっていた。



「ええ。 中々に楽しい仕事だったわ」

コハクはその後出来栄えでいえばカリスやルナのよりも数段いいという呟きは新しい装備で浮かれているシロの耳には届かなかった。


「それじゃあ仕事も終わったしここからは趣味の時間よぉ。 シロちゃんなんかこういい感じにポーズ取ってみて」


「え?」


「ほら早く!」


「は、はい!」

シロはコハクの言うがままにポーズを取っていった。



コハクによるシロの撮影は5分にも及んだ。

最初の方は装備のお礼としてやっていたが最後の方はシロも楽しんでポーズを取っていた。


「ふぅ……満足満足……」

大体20枚近くのスクショを撮ったコハクは満足げに椅子に体重を預けていた。


「コハクさんってもしかして結構あれな人ですか?」


「あら、心外ね。 私はただ可愛いものが好きな女の子よ?」

見る人が見ればやばいやつである。


「そうとは思えないんですけど…… あ、そうださっきポーズしたときに気が付いたんですけど武器でいいのってあります?」

さっきシロがポーズを取った時、武器を構えるポーズをしたのだが装備に比べて貧弱なうえに武器説明に損傷と書かれていた。

おそらくだが【核撃 メルトダウン】を撃った時に寿命を迎えたのだろう。


「武器もいいのがあればもっとよかったんでしょうけど残念なことに木工は専門外なのよねぇ。 1本くらいなら置いてあるからおまけににつけておくけど」


「そうですか……」


「まあ落ち込まないで。 近くにいい木工屋がいるから紹介してあげるわ」


「ありがとうございます!」

シロは吉か不幸かそのあとの

「(まあ結構やばいやつなんだけど……)」

というのは聞き取れなかった。


『シロー装備どうなった? こっちから迎えに行ってもいいかな?』

コハクから木工屋のいる場所を聞いているときにルナから連絡が来た。

どうやらしびれを切らしたらしい。


「すみませんコハクさん友達待たせてるので行かせてもらいますね」

場所を聞き終わったあとコハクに断って外に出ようとし、扉に手をかけた時にコハクに呼び止められた。


「じゃあシロちゃん。 後で装備の感想聞かせて頂戴」


「わかりました。 それじゃあ行ってきますね」


「シロー ちょっと時間かかりすぎじゃない?」


「ごめんごめん」

シロはコハクに軽く手を振りルナの手伝ってほしいというクエストについていくことにした。








シロたちが話しているのを横目にコハクはボソッとつぶやいた。

「ほんと。 あの子たちって似てるわねぇ」


もちろんこの呟きがシロたちに聞こえることはなかった。

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