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11 エルフ系少女とドラゴン

『ギュルルォォォ!』

攻撃を受けたドラゴンが飛翔し真っ黒なブレスをルナとカリスに向かって打ち込んだ。

幸いシロとコハクは狙われなかったが二人は1割ほどのダメージを受けていた。


「ガロ! 叩き落とすよ! 【ガロ ツインスタンプ】! 【天中】!」

ガロの大ジャンプでドラゴンに乗ったガロとルナは技を出しドラゴンを叩き落そうとした。


「落ちないか! シロ! 一発お願い!」


「このサイズならボクでも外さないよ! 【ファイヤーボール・爆】!」

ガロとルナの攻撃を受け、落ちないドラゴンに向かってシロは魔法を撃ちこむ。

だがそれでもまだドラゴンは落ちなかった。


「私の爆弾を食らいなさい!【当的】」

コハクの投げた爆弾はドラゴンの口に入り、文字通り爆弾を食らうことになった。

流石にお腹の中で爆弾が爆発することは堪えたのか、ドラゴンの高度が少し下がっており、ドラゴンの残りのHPは1/4程度にまで減っていた。


「ここまで下がれば俺の攻撃も当たるからな。 【ホライゾンスピア】!」

カリスはドラゴンの右翼に向かって攻撃を放った。

攻撃の当たった右翼は損傷し、とうとう地面に降りてきた。


『ギュルルルァァァ!!』

ドラゴンはさっき撃ったブレスの色が数倍に濃いブレスを撃ってきた。

流石にあれに当たるとまずいと思ったのかカリスとルナは左右に開散し、攻撃を避けた。


「【ファイヤーボール・爆】!」


「【スーパーボム】 【当的】」

前線の二人が攻撃できないのでシロとコハクは攻撃を開始する。

その攻撃の衝撃でブレスが散ったのでカリスとルナはまた攻撃を開始しようとしたが、翼の再生したドラゴンはまた空高くに飛び去ってしまった。


「【ファイヤーボール・爆】……当たんない!」

ドラゴンがあまりに上空に飛んでしまい、【ファイヤーボール・爆】が空中爆発してしまった。


「流石にあの距離だとシロの魔法でも届かないか……」


「カリスさん! 何か貯めてるみたいですけど大丈夫ですか!?」

ルナの言う通り、ドラゴンには黒いオーラのようなものがまとわりついていた。


「最初に撃ったブレスを撃ってくるが範囲が桁違いだ。 俺らは耐えられるだろうがまあシロは死に戻るな。 そうだ!」

カリスが何かを思いついたらしい。

このゲームでは死に戻るとパーティにもデメリットが来るので死に戻りは極力回避したいシロだった。


「どうしたのカリス。 何かいい案があった?」


「確かシロって言ったな。 少し前に俺らのギルドの情報屋から核撃の情報を買ったろ? それを使って魔法を作れば死に戻る前に倒せるだろう」


「わかったやってみる!」

シロは情報屋から買った巻物を開けた。

核撃の解放方法も思ったより簡単で水と雷の魔法に魔法範囲拡大をルール限界まで積んで一発使えばいいというだけだった。


「【魔法作成】!  名前決めなきゃダメなのか……面倒だから【ウォーターボール・爆】と【サンダーボール・爆】で!」

シロはサクッと魔法を作った。

名前に関しては決めなきゃ完成にならないので適当につけた。


「【ウォーターボール・爆】 【サンダーボール・爆】」

シロが二つの魔法を発動させると頭の中に音声が流れた。


【特殊魔法形態 核撃 を開放しました】


「解放できたよ!」


「よし! さっさと作ってぶっ放せ!」


「はい! 【魔法作成】!」

シロは早速核撃を使った魔法を作り始めた。

魔法範囲拡大と同じようには使えず、一つしか使うことはできなかった。


「できた! 名前……えーっと……」

シロは魔法の名前を決めようとしたがすぐには浮かばなかった。


「そろそろまずいぞ!」

カリスが急かす。

シロも早く名前を考えようとしたがあることに気が付いた。


「あ、自動命名がある!」

シロは早速自動命名を使い、魔法を完成させた。


「名前は……うん! 【核撃 メルトダウン】!」

シロが魔法を使うためにドラゴンの方を見ると前見た時よりも黒いもやもやがさらに濃くなっていた。

【核撃 メルトダウン】は弾速は遅いながらも【ファイヤーボール・爆】が爆発したところを超えてドラゴンに着弾した。


シロが作った魔法の構成は火と核撃。

ドラゴンに当たった魔法は赤い球体を着弾地点に生成した。

その球体はどんどんと大きくなっていきドラゴンを完全に飲み込んだところで破裂し、大爆発をおこした。

その爆発はどんどんと広がり、しばらくすると止まってしまった。


「おぉー!」

シロはそれを見てとても感激していた。


「なかなかに良い爆発ね。 流石だわ」

コハクさんはその大人っぽい見た目とは裏腹に爆発が好きらしい。


爆発に巻き込まれたドラゴンはHPを完全に削り切り、地面に墜落した。

そしてそのままゆっくりと塵となって消えてしまい、宝箱と紫色の魔法陣が表れていた。


「これで終わり? 流石に疲れた……」

シロはMP減少による軽い倦怠感に襲われながらも確認を取った。

予想外のことだったが【核撃 メルトダウン】の消費MPはまさかの300

シロの総MP数の約半分に値する数値だった。


「あ、ああ。 ダンジョンはこれで終わりだが……マジかよ、撃てるのかよ!」

カリスはシロを見て驚いていた。


「あの魔法だものね。 カリスのギルドじゃ撃てるのはいないんじゃないかしら?」


「ああ、その通りだ。 始めたばっかの奴が運よく核撃を開放できて情報を共有したが撃ったやつはみんなMPがマイナスになって死に戻っちまった」


「カリスさんのギルドでも打てる人がいないとは……シロがどんどんおかしくなっていってるよ……」

ルナはあきれたようだったが心なしか楽しそうに見えた。


「それじゃあダンジョン報酬とドロップ品を確認して帰りましょうか!」


「「「賛成!」」」




カリスがダンジョン宝箱を開け、4人は中身を確認した。

「中身は……小当たりってところかしらね」

中に入っていたのは

8000ゴールド

黒竜の鱗 20枚

黒竜の爪 4本

黒竜の翼膜 8枚

という中身だった。


「シロちゃんの装備の素材には十分ね。 素材はこっちでもらっちゃうけどルナちゃんもカリスもそれでいい?」


「はい。 ドロップ品だけで大丈夫です」


「俺も暇つぶしに来ただけだからなルナと同じででいい」


「じゃあ決定ね。 シロちゃんは後でドロップ品も回収しちゃうから。 それじゃあ帰りましょうか」


「「「おー!」」

ゴールドを均等に分けた4人は早速魔法陣に乗り、ダンジョン入り口に戻ってきていた。

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