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天使の降る夜  作者: 四月咲香月
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天使の降る夜・1

よろしくお願いします

 しんしんと静かに雪が降り積もる音がする。

 このような雪の降る様を表現した人は詩人だなと思う。

 天気予報では今夜は晴れだったはずだが、朝には真っ白な街になりそうな勢いだ。


「ホワイトクリスマスか・・彼女が居たら”ロマンティックだね”とでも言いたいところだな」


 コートの襟を少し締め「ほう」と息を吐きだすと雪に負けない真っ白な蒸気が視界を遮る。


 予定の無いフリーター生活で年末まで来てしまった。

 就職浪人して生活の為にフリーターをしてきたが、バイトが忙しすぎてまともな就職活動に時間を割けない地獄。

 まさかこんな事態になろうとは人生を甘く見すぎていたのか?


 今日もクリスマスケーキの販売員の派遣バイトで働いていた。

 9時過ぎに閉店間際からの完売騒ぎで帰りは11時。売れ残りをもらって帰れるはずだったがコレだ、土産などない。

 泣きっ面に蜂とばかりに今の降雪である。


 なんだか訳のわからない胸の奥の「モノ」が沸き上がり、喉の底が熱くなる。

 鼻もキューーンと付け根辺りが・・眼も・・ああっ・・

 堪らず目尻に噴出してくる”汗”をこらえるために暗い厚い雲の天を仰いだ。


 零れそうな”汗”に瞼を閉じていたのだが、何故か明るく感じる。

 ここは神社裏の住宅密集地で意外に街灯が少ない路地だ。

 奇妙に思いながら何度か鼻を啜り、目尻の”汗”を拭い眼を開ければその光景に己の眼を疑う。




 青味掛かった静謐な白い輝きを纏った黒髪の美少女(間違いない!!)が前方の宙空に浮いていた。





 ピンクを基調としたハーフジャケット、白に近いベージュのワンピーススカート。

 当然ながら長い黒髪にふくらはぎまであろうスカートは垂れ下がり、邪まな想いに駆られ立ち位置を変えれば丸見えになるだろう。(ナニをとは言わないが


 有り得ない光景に著者のような如何わしい考えに囚われることなく、就職浪人は惹きつけられるように少女へと一歩踏み出した。







 俺、菅原真道すがわら さねみちは今年の3月に某国立大学を卒業した。

 成績も中の上くらいだったが仕事が決まらずにクリスマスイヴを迎える。

 ご先祖様は姓からお察しのごとく「菅原道真」(だと親父はのたまう


 しかし、この状態では「菅原道真」の子孫とか冗談でも言えない。

 学問の神であり雷の神がこんな子孫は豆腐の角に頭をぶつけて〇んでしまえとか、あるいは自ら稲妻で成敗しそうだ。

 ゴールデンウイークも仕事。夏休みの時期も稼ぎ時と無休で仕事。年末も忙しいと年始までも仕事になりそうな予感。


 まともな就職も彼女とか恋人なんてもっての外、望外の望みというところ。



 こうして毎日毎年働き続ける社会人の皆様お疲れ様です。



 いつの間にやら23歳を越え、また一歩二歩「魔法使い」や「賢者」へ近づいていく。

 いや、まあ、「時を止める」ことは出来るだろう。プロの方々のお世話になるのも有りかとは思うが。

 きっと何時かは運命の彼女と「大人の階段昇る」その時の為に、「父さん、俺魔法使いなれなかったよ」と言いたいがために(笑







 空中浮遊の美少女(絶対に!)へ近づくと気のせいか彼女も俺の方へ接近している、落下?しているように思う。

 少し歩を早め少女の元へ急ぐ。


 手を伸ばし触れることが出来る距離になると、重力?なにそれ?美味しいの?と言わんばかりの浮遊から一気に現実世界の物理法則が復活する。

 慌てて彼女をお姫様抱っこで抱きとめ、転倒しそうになるのを一歩踏み出して耐える。


 少女の顔が抱き留めた勢いで俺の左がわの顔とニアミスした。

 春の花のいい香りが鼻腔をくすぐる。


 中学校でフォークダンスして以来、勉強一筋・・でもないが・・で女っけなく今に至る。

 真っ白なきめ細やかな肌、この時期の少女の輝くような美しいかんばせ


 抱き留めた少女の意外な軽さ、柔らかさ。温もり。

 頭がクラクラして朦朧としているうちに美少女は冷たく意思を感じさせない瞳を開く。


 上下左右に踊る瞳。その冷めた瞳が俺の顔を見詰めた時、突然警告音が頭の中を駆け巡る。

 理由は解らないがあの有名な「第二の衝撃を受け第三の衝撃に備える14歳の少年少女のロボットアニメ」のアラート画面が目の前にチラつく。



「大至急マスター登録を完了してください」と



 訳が分からず呆然としている俺の首にあの謎の美少女が腕を巻き付ける。

 近付く顔。いい匂いと現状を理解できず混乱の最中、彼女の柔らかい唇は俺の口を塞いでいた・・


 初めてのキス。

 俺の口腔を跳ね回り犯す美少女の舌。

 お姫様抱っこ中の俺も腰が砕けそうな快感が体中を駆け巡る。


 どのくらいの時間が過ぎたのかも分からない。

 チュポンと音を立て離れた唇をペロリと彼女が美味しそうに舐めとる。

 淫靡な表情をしていた少女も先ほどの冷たい顔になり眼を閉じた。


 ちゅいーーーーーん


 耳障りな甲高い音がして先ほどの警告表示が「マスター登録完了」と書き変わっている。

 もう何が何だか分からない俺を腕の中の女の子が見上げていた。


「ただ今より、わたくし”天城あまぎ 瑞希みずき”の所有権はマスターに移譲されました。

マスターのお名前をお願いします」


 はひ?


 なにこれ?


 なんてエ〇ゲ?


 このクリスマスイヴの深夜に俺は降ってきた天使「天城瑞希」と出会った。

R18指定

「天使の降る夜」恋愛しゅみれーしょんRPG

ハーレムルート有り

今なら等身大フィギュア付き

マスター登録すればやりたい放題

DVD二枚組、3DCG

9800円+税(嘘です。そんなんありません


☆☆☆☆「フフフ、ワタシは53万です」

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― 新着の感想 ―
[良い点] 瑞希ちゃんの正体はなんなのか気になるー! アンドロイド?未来からきたの? そしてお腹がすくということは生きてるっ!? ミンキーなモモさんなつかしー(笑)
[良い点] いや、すっかり出オチでこれで完結だと思ってました。 ごめんねっ! こっからどう続くのか、続きが気になる~!
[良い点] 連載?(笑) どう続くのかっ? 電影○女とラピュ○を足して二で割った ような男のロマンを感じます!
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