番外編・ハロウィン その1
番外編のハロウィンです。
ハロウィンに間に合わなかった…!!
気楽に楽しんでくれると嬉しいです。
「ハッピーハロウィン!」
「ゴホ…!ええっと…姉さん?その格好は?」
生徒会室に入り、そこにいたシルクの前でクルリと回れば問われてしまう。
「え?見ての通り魔女でしょう?」
「魔女…僕のイメージとは違いがあるけど…いいと思うよ?よく似合ってる」
私の着ている服は黒い三角帽子に黒い服。
イメージは魔女だけれど、三角帽子の裏地とリボンはオレンジで可愛さアップ。
黒い服も、首元までトックリになっているものの胸元はレースで透けていて、とってもオシャレ!トックリは実はチョーカーみたいになっていて背中は開いてるのだけど、この世界のドレスに比べたらそこまで気にする露出でもないし、耐性があるので気にしない。
そしてドレスも全体的には黒いけれど、下地はオレンジでその上に黒いレースを重ねていて可愛らしい!!
スカートも珍しく膝を出すくらい短いのだけど上からレースで重ねてロングスカートの長さまでは覆ってるからセーフ!
ちなみに当初の予定は全身黒だけだったけど、我ながら似合いすぎるので変更!!全身黒だなんで、どこの悪役よ!ここの悪役令嬢よ!!オホホッ!ってなっちゃうからね!!人前では可愛い色を取り入れたいお年頃!
「西の方の悪を退散させる祭りやったっけ?姫さんも面白いこと取り入れるわ」
「本当、ユリエルくんの発想は面白いね。今年は私達生徒会関連の人だけでこんな格好をするけれど、来年からは生徒のみんなで楽しめる様になるといいね」
「そうですわね!学園の秩序を崩さない程度で来年から個々で楽しめるイベントになれば、生徒会への負担も少ないでしょうし、生徒の皆さんの楽しみになればいいですわね。…それにしてもいつもペンニーネ商会には無理させて申し訳ありませんわ」
この世界でもハロウィンが西の方では行われてると知り、なら生徒との交流を込めて生徒会でやってみないかと提案したのは今月の頭。
学校の許可と同時に、衣装イメージをペンニーネ商会とザックリ打ち合わせし細部お任せで作成して頂き、そして昨日頼でいた全員分の衣装が届いて今日に至る。
「いや、ホンマ面白い催しやしな!衣装作りはウチのオハコやし、しかも姫さんをはじめ、ここの面子に着せりゃ来年真似したくなること請け合いや!!そう考えたら来年以降の売り上げ見越せば、こないな苦労お釣りがくるほどやで!!このバンパイヤなんて貴族の衣装に似とるんも、イベント時期に大量生産して値段下げれば、普段着ることない平民にもウケるかもしれへんな!」
ロットさんの目がお金になってる。そしてどこからともなくチャリーンチャリーンって聞こえてくる気がする。
商魂たくましいのは良いことね!!
そしてロットさんの言うように、この場に居る生徒会の皆さんはデザインは少しずつ違うけれど、バンパイヤで今年は統一。
だってこんな突然の話で、全員の全てを変えるとかいったらお針子さんが倒れてしまうわ!!
それでもマントの裏地の色が違ったり、デザインも微妙に違ったりと少しずつ個性を出してくれている。これぞプロの力!流石です!
しかし着て並ばれるとなんて視覚の暴力!!イケメン怖いわ!これはロットさんの言うように流行る…!確実に流行る!!!
「おっとユリエルくん、帽子のリボンが曲がってるよ?うん、じっとしてて…ん、これで大丈夫。可愛い魔女さん?」
そう言って大きな帽子のツバの下から覗き込み微笑まれる。
至近距離での視覚の暴力!!!!
「あの…ボクはこれで…その…皆さんみたいに着こなせないので…」
アベイルさんは黒いシルクハットを目深に被り恥ずかしそう。毎度巻き込んでごめんなさい。でも似合ってるから許して頂戴!
そしてロットさんの少し見える八重歯までも小道具に見えるし、レイさんが似合うことは言うまでもなく、少し気怠そうに紅茶を飲んでるシルクもまた似合ってる!!巻き込んでごめんなさいパート2!
「ところで…なぜワタクシめだけ、囚人なのでしょうか?」
白と黒の太い縞模様に大きな重りの付いた手枷をつけたベレト先生に問われる。
「先生は…バンパイヤに大人の色気でも足されて、それで生徒を誑かされては困りますので」
ニコリと言うが、勿論本心である。
紫色の髪も目も、それでなくとも妖しげな雰囲気を出して居るのに、そこにそんなもの足されたら…いや、足されなくとも黙ってたら出ちゃってるのだから、うら若き乙女には耐性が足りないわ。
「そんな訳でお菓子を配るのは職員の皆様にお願いいたします」
「同僚に配れとは、なんたる羞恥プレイ…!!」
「え?職員室は嫌ですか?なら警備の方にでもお礼を込めて回って頂きます?」
「いえ、このベレト・カルージュ、ユリエル様の御命令ならどんな事にも耐えてみせます」
そう言って妖艶に微笑む。だからそれな!!
「そんな大したこと頼んだつもりは無いのですけど…お歳暮くらいな気持ちで配って来てくださいませ」
「オセイボ…?とはわかりませんが、かしこまりました。あぁ、ユリエルさま。ワタクシめ、本日忙しくて食事も取っておりません。もし宜しければその飴を一つ下さいませんか?」
渡そうと準備をしていた籠を視線で促され、一つ渡そうとするが、手枷が邪魔で開けられないとアピールされてしまう。
手枷もプラスチックみたいな軽い素材で作ってあって、壊そうとすればすぐに壊せるのに、生徒の作ったものを大切にして下さっているのだと思い、飴を開ければ口に運び易いようわたしの前に跪き口を開くので、そこへ一つポイと飴を入れてあげる。
「姉…さん!!なにしてるの?」
「先生お仕事忙しくてご飯も食べてないのですって」
「姉さんは…!危機感とか、羞恥心とか、なんか色々忘れてな…むっぐ」
ペリッと飴を剥いてシルクの口にも放り込む。
「シルクもお疲れよね?飴でも食べて頑張りましょ?この味昔から好きでしょう?」
「はぁ…いつの話しを…」
うふふと笑えば、呆れたようにわたしの少し乱れた髪を整えてくれる。
「ユーリ、俺の衣装はこれでいいのか?」
首元のヒラヒラしたジャボを整えながら「普段とあまり変わらない気がするのだが…」とロイさんが部屋へ入ってくる。
「髪型も変えられたのですね。とてもお似合いですわ。ふふっ、そうしているとなんだか突然大人になってしまったようですわ」
いつも下ろしてる髪をオールバックにしていると、グンと大人びて見える。
「一応成人もしてるのだかな」
「確かにそうですわね。でもこんな格好は学校ではなさらないでしょう?同じ括りにしては怒られてしまいますが、王家も貴族も、生徒会や教師もやはり一線を引かれがちですから、少しでも皆さんと近い距離になった方が、円滑にまわることもあると思いますわ。
…それにロイさんがこんなに分け隔て無く楽しめるのは学生のうちだけでしょう?楽しめるうちに楽しまなきゃ損ですわ!!」
若いうちの苦労は買ってでもなんて言うけど、王子のロイさんの苦労なんて買わずとも山ほどあるしね。
若い頃は楽しめるだけ楽しんだ勝ちだと思うわ。
そんな気持ちを込めて胸の前で小さくガッツポーズを見せる。
「お菓子をくれなきゃ悪戯するぞーーー!!」
「まぁぁぁぁぁ!!なんて可愛らしいかぼちゃのお化けですの!!!?イタズラ?なんのイタズラをなさいますの?」
ミラクルチャーミーなカフィーカボチャが扉を開けて現れたので、ロイさんの横を通り抜けて素早く一番良い場所キープ。カメラ!!誰か今すぐカメラを開発して頂戴!!!
こっそり頼んだカフィーの衣装!グッジョブお針子さん!!
「え!ゆりえるさまイタズラ選ぶの?えーっと…ゆりえるさまの靴を両方右に替えるとか…最近研究してる細菌をばら撒くとか?」
「可愛らしい!!…と、思ったけど、地味に本当に嫌で、その上ダジャレに見えてとんでもなく怖いことも入ってましたわ…。ではお菓子にします。ちゃんとカフィーの為に準備してたお菓子がありますのよ!はい!」
そして特別製の大きなキャンディを渡す。
ペロペロキャンディ持ってるカフィー可愛い!!
「ありがとう!!これ、食べにくいから後で砕いて食べるね!」
効率的!!!流石天才!!!
ところでロイさんが変なポーズで止まってる。誰もいない空間を抱きしめてるみたいなポーズ。
流行?若い子の流行なの?異世界謎だわ。いや、日本でもシェーとかゲッツとか流行ったしね。わたしここでも流行追えてないのね。
「では皆さんお菓子を配りに行きましょうか?」
そう籠を持てば、わたしはみんなから留守番を申し付けれた。
文句を言おうとするが、後でミラさんがキャロットちゃんを連れてこちらに来ると聞けば、正座待機も厭わないわ!!
みんなワイワイと外に出て行った後、最後ロイさんだけ残っていてたので、あらあらと閉まってしまった扉を開けようと扉に向かうが、後ろから開けられない様抑えられ…後ろから衣装の開いている首近くに柔らかな感触とチクリとする痛み。
驚いて振り向くと、
「ドラキュラとやらは乙女の血を吸うのだろう?」
なんて、少し悪い顔で微笑まれたら自分でも顔が赤くなるのがわかった。
「とりあえず今日はユーリが言うように、交流を深めてくるか」
そう言って、自分のマントを外してわたしに掛けて、帽子越しにポンポンと頭を撫でて出て行った。
長くなりすぎて二部に分かれます…!!
せめて今日中に投稿したい…!!
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