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【書籍発売中】悪役令嬢なんてもうちょい若い子に任せたい  作者: そらいろさとり
高等部 一年生編

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お誕生日パーティではなくお誕生日会。


夏の終わりだとか呑気してたら、大事なこと忘れてました。


「もうすぐお嬢様のお誕生日ですねぇ〜」



  だばぁ。



「お嬢様!!口から紅茶が!?」


アナが慌ててタオルと着替えを準備してくれてる。

とりあえずテーブルにあったナフキンで口を拭き、アナに言われた通り着替えもさせられた。紅茶のシミって落ちにくいのにごめんなさい。


いや…だってね!?16歳と言えば、この世界の成人だわ!

早くない!?センチメンタルでジャーニーなお年頃だよ?ユリエルはまだ16だから!!


私は大切な事を思い出し、部屋を出てお嬢さまらしくゆっくり歩いて…うん!家だからノーカン!と、ダッシュする。

「ユリエルお嬢様!?」

後ろからアナの声が聞こえたけど、ノーカンたらノーカンなのよ!?


その部屋につきノックすれば、返事が来たので扉を開ける。


「ユーリ?珍しいな、お父様の執務室に来るなんて」

 

「お忙しい中失礼いたしますわ。あの…お父様?一応〜聞いておきますが、わたしの誕生日パーティなんて開いちゃったりなさいます?」


「勿論だよ。ユーリの成人のお祝いだよ!?なんなら国を挙げてのお祝いにしたいくらいだよ!」


「ノォォォっ!…お父様。わたくしは家族でお祝いして頂きたいのですが…」


「勿論家族も精一杯お祝いさせて貰うよ」

当たり前じゃないかと、笑顔で頷くお父様。違う違うっそうじゃそうじゃなぁいのよぉっ!


「わ…わたくしはやっと学園に通い始め、やっと少しづつお友達も出来て、日々が充実してる分疲れが溜まってきておりまして…しかも魔力の件で不安もあります…」


俯き気味に頬に手を当て不安さアピール。

先日ロイさんに言われるまで気付いてもなかったけど、此処ぞとばかりに魔力の話を使わせて貰う。


「ユーリ…君は明るくしていたけれど、不安だったのだね?」


お父様はそっと近づき抱きしめ頭を撫でてくれる。


「お父様…もし大きなパーティでしたら、せめて18か20歳、もう少しわたしの魔力や使い方が安定してからの方が嬉しいですわ」


「そうか…君の不安を気づいてあげられなかった父を許しておくれ?」


「お父様…」


抱きしめる力が強くなり、その分罪悪感も強くなる


「よし!なら18の時に大々的にパーティをしよう!ユリエルの体調不良で二週間後のパーティは中止だと…ダラス!」


「はい。そのように。280名の参列者には直ぐお手紙をお送り致します」


お父様の執事兼我が家の執事長のダラスさんが言った言葉にわたしは顔を青くする。思った以上の規模だった…。


「お父様ごめんなさい。沢山準備してくれてたのね…」


さっき以上の罪悪感に胸が潰れそう。あといくら掛ってたのかとか怖くて聞けない。公爵令嬢なのに貧乏くさくてごめんなさい。


「ダラスもお仕事増やしてごめんなさい」

「お嬢さま方が心地良く過ごして頂くのが我々の仕事ですので」


白い髭を蓄えた口でニコリと笑ってくれる。

思わずお父様を離れ「いつもありがとう」とダラスにも抱きつく。

「お嬢様はいつまでたってもかわりませんなぁ」なんてフォッフォッフォッて笑ってくれた。



「ではお誕生日の日は、家族だけで、ううん。ここの家の人だけでお祝いしてくれる?」


「お嬢様?家の人とは?」


「ここで仕えて働いてくれてる人よ!わたしをここまで育ててくれたのは、お父様やお母様、それに義弟のシルクは勿論だけど。

美味しいご飯を作ってくれる人達や、綺麗に洗濯してくれる人達。こんな大きなお屋敷を掃除してくれて、そうやって毎日わたしを笑顔にしてくれた人達がいたからでしょう?」


「お嬢様は変わったお考えをなさる方ですな」


「ふふふっ!ダラスもいてくれてありがとう!お誕生日だもの。お父様私の我儘聞いてくれますか?」


「仕方ないなぁ」と笑ってくれたから、御礼と頬にキスをしてルンタッタと部屋を出た。











パタリと扉が閉まり、きっと鼻歌でも歌いながら部屋に向かう彼女を想う。


「ダラス、どう思うかな?」


「素晴らしいお嬢様にお育ちで御座います」


「僕にはとても元気に見えたけど、君の目からはどう見える?」


「…失礼ながら申しますと、王家や王子も来られる大きなパーティになる事を察して、婚約、引いては結婚発表を上手い具合に引き伸ばしに掛かったと思われます」


「…まぁあの子も最初から乗り気では無かったけど、最近は仲良くしてるようだし、王子も立派に成長されてる。そろそろどうかと思ったけど、王子もまだまだということかな?」

クスリと笑えば「ワタクシからは何とも…」苦笑いで濁されてしまう。


「まぁいいか。あの可愛い娘がもう少し僕の元に居てくれる事が確実になったんだ。それこそ我が家でパーティをしよう。彼女の言うように、ここの家のみんなでね」


ダラスはそれは嬉しそうに彼女の出て行った扉を見つめてからこちらを向き、「至極光栄で御座います」とお辞儀をしている。


不思議な感覚を持つ我が子は、きっとアマテル様から分け頂いた天使なんだと心から思う。


「さて、可愛いわがままにお付き合いしようか。参列者リスト、頼んだよ」









その後、お誕生日会の日に突然ロイさんがやってきて、参加していた使用人達があたふたし、ロイさんからは贈る予定だったと豪華なネックレスを着けていただき、そのまま我が家の使用人溢れる不思議な誕生日会に参加した。


私の弾くピアノでお父様とお母様がダンスをしたり、何故そうなったのかわからないけど、めちゃくちゃ嫌そうな顔をしながらロイさんとシルクのダンスが見れて、沢山笑った素敵な誕生日会を、わたしはきっと一生忘れないだろう。




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⭐︎書籍情報です⭐︎
こちらの作品が書籍化致します!

仁藤先生の美麗な表紙が目印の、2025年8月発売
『悪役令嬢なんてもうちょい若い子に任せたい』

仁藤先生の素敵な挿絵が入ってます!
どうかご自宅にお迎えいただけると嬉しいです!
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タイトルまたは「そらいろさとり」で検索ご利用下さいませm(_ _)m
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